(産地の声)vol.1172                     2014.12.22
 今朝は隣組のおばあさんが来て、お味噌の談義から始まりました。そのお宅から
味噌つきを頼まれてその味噌搗き賃を支払いに、と来たのです。「買った味噌は美
味しくない。毎日食べるお味噌は自分で作った物が一番だ!」
 「もう80才になろうとしているので何時逝ってもいい。ただ、穏やかに逝きたい、と
だんながいうの」我が家もその家も毎日味噌汁を食べています。「毎日食べると違
うように思うんだよな」そんな話しから始まったのですが、私もそう思うのです。
 私の曽祖父、祖父、祖母、そして母を見送りましたが、それぞれ95才、88才、92才
、86才と生き、父は89才の現役です。我が家は毎日三食味噌汁をつくります。それ
ぞれの逝き方を思うと全員自宅で、しかもそれほど苦しまずスッと逝った感がしま
す。なにより自宅で家族が看取ってあげられたことがよかったと思うのです。隣組の
おばあさんもそんな感じで味噌をを語っていました。
 ご飯に味噌汁そしてそれに合う惣菜を自前の野菜を中心とした食事は、ある意味
伝統的食事を守っているのではないか、と思います。「自己満足でいいんだよ。」と
いった話しで盛り上がりましたが、つくった味噌が100kg位になって3年位葉食べら
れそうです。お米と大豆の混じりけなしのお味噌ですからなおのこと自己満足100%
です。
 長崎や広島原爆で放射能に侵されて、味噌と玄米と海草類を食べて生き残ったと
いう話しがありますが案外当を得ているような気がします。抵抗力というか免疫力と
いうか、体の異変に対する復元力というか生命力というものがあるのかもしれません。
自前での身土不二ということもあるかも知れません。
 一年の一番短い日=冬至の日にこんな話しをするのもおかしいかも知れませんが、
明日からは毎日少しづつ日が長くなります。夏に収穫したカボチャを食べ、庭先のに
成ったゆずを風呂に入れる冬至の日を迎えました。
 今年は、夏の長期予報は暖冬予報でしたが、実際は寒冷前線が強力になって北国
は大雪の猛吹雪におおわれています。地球温暖化の影響が出ていることは間違い
ありません、と今日の気象予報官はいっていました。予報というのは過去の気象デー
タを元に予測しているのですが、これからは過去になかった天候に見舞われることが
次々に出てくるかも知れません、という予測も気になります。
 どんな事態になっても備えを怠らない、という気概は持っていたいものです。
                         おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1171                     2014.12.15
 一段と寒波が強まっています。マイナス7度を記録しています。
畑に植えるサニーレタスが育苗ハウスの中で待っているのですが、果たして大丈夫
か心配です。ビニールハウスといえども暖房をしていませんのでマイナスの気温に
なります。
 一方朝方の畑の大根は真っ白に霜におおわれ凍り付いています。私の家では三
浦大根を栽培出荷しているのですが、午前中は畑に入れません。太陽が出て霜を
溶かし、葉つゆが蒸発し生き返った午後でないと仕事にならないのです。
 それにしても大根は寒に強い。凍り付くような中でも生き抜くホウレン草や小松菜
も同じです。寒さを生き抜くには栄養をいっぱい貯め込んでいるからこそでしょう。そ
ういう野菜を食べることによって私たちの命があります。それを育んでくれる大地と
命に感謝!です。
 お手伝いに来てくれている坊さんと一緒にお昼の食事をするのですが、「この大根
の煮物は逸品です!」といってくれています。我が家の食事は野菜だらけでお肉は
ほとんど出ません。里芋やゴボウ、人参などの野菜づくしですが、美味しい美味し
いといってくれています。
 一方今年の天候は雨が多く、落花生の脱穀が遅れています。畑でノウと呼ぶ落
花生を積み上げた姿で乾燥をさせるのですが、雨があると数日の乾燥期間をおか
ないと脱穀には適さないのです。その乾燥を待ってさあやろう、とすると雨模様に
なって、のくり返しとなって遅れているのです。
 煎り落花生を待っているお客さんからいつ頃になるのか、と催促の電話が来るの
ですが、天候待ちの状態ですから何時とは返答しがたいのがつらいところです。
 本業の方は止まってしまっているのですが、近隣の自給農家が落花生を持って
来て「炒ってほしい」と来ます。おじいさんやおばあさんが多く、家庭菜園で育てた
落花生をもいで、10k20kと紙袋に入れて持ってきます。少量の落花生を煎ると
ころがなく我が家にくるのです。
 遠くは茨城県からくる方もあります。畑にいそしみ、年末お正月のこたつを囲ん
でのおつまみを楽しみにしている人達です。忙しい時は断りたくなるときもあります
が、「できたときでいいから」と頼まれたら断れません。また、楽しみをうばっても
いけないなあ、と合間合間に煎り作業をしています。今年も後半月です。夜は忘
年会のシーズンでもあります。体調を整えつつ今年を締めくくりたいと思います。
               byおかげさま農場・高柳

 (産地の声)vol.1169                     2014.12.8
 急激な寒さが来ました。台湾から来た娘達はその寒さに驚いています。この地
もマイナス4度を記録しています。野外に置いた車は霜がおりガラス窓が凍り付
いてしまい、出かけるにも出かけられずお湯をかけています。
 フェイスブックという便利な?通信手段ができてから、コンピューターを覗くとお
友達が発信した内容が提示されます。私はとてもつきあいきれないところがある
ので直接に便りがあったときだけにしていますが、それでも知り合いがいつまに
か増えて今は2百人を超す“お友達”ができてしまいました。
 その中で、<2014年の地球資源は8月19日で使い切りました>というのがあ
りました。それで見てみましたら、以下のメッセージです。
 「アース・オーバーシュート・デー」というものをご存知でしょうか。これは、人類
による地球資源の消費量が、地球が1年に生産できる量を超えてしまった日を意
味します。国際シンクタンクの「グローバル・フットプリント・ネットワーク」は、8月
19日に2014年のアース・オーバーシュート・デーをむかえたことを発表しました。
 人間が生きていくために必要な資源。地球環境によって生み出される「酸素」を
はじめとする「動植物、水産物」など、すべて地球の恵みにより我々人類は生か
されています。しかし、それら資源には限りがあります。地球が1年間で吸収でき
る二酸化炭素の量は、8月19日に限界をむかえました。再生産できる動植物はす
べて消費してしまいました。 では、足りない分はどうしているのでしょうか?、未
来の資源を食いつぶし、そして生産力そのものを削り取って消費しているのです。
それにより、森林破壊、砂漠化、野生生物の減少・絶滅、水不足、異常気象など
世界各地で生態系の悪化が進んでいます。
 2000年のアース・オーバーシュート・デーは10月1日。14年で1ヶ月以上も早い到
来となっています。いかに人類の消費が増大していっているのかお分かりになる
かと思います。
 地球温暖化は、海水温を上昇させ今回の大雪と寒波は日本海の海水温と上空
からの寒波の温度差が50度を超えたことが原因とTVで解説されていました。
 地球的レベルの災難と経済成長という問題は関連していると考えるのですが、こ
の国では全くと言っていいほど問題にされないようです。地球が、生存基盤が壊れ
たら人類はどうなるでしょう?分かる人は教えてください。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1169                     2014.12.1
 晴耕雨読。今日は朝から雨です。
 昨日、マレーシアから娘達が3人。3日前に台湾から大学卒業した娘さんたち
3人が来ていました。マレーシアからの娘さんを空港へ迎えに言った帰りに成田
山公園の紅葉を見に行こうとなりました。ちょっと遅き、の感がありましたがまず
まずの紅葉を楽しめる時間でした。
 「おー、おー」と感動?の言葉を聞きながら、松やヒノキの常緑樹の中にモミジ
の赤、そして時折の中にイチョウの黄色が映えている景観は見応えがあります。
成田山の紅葉祭は11月の15日から30日までの期間で公園内では琴の演奏
や、お茶会、写経などの催しもされていてその最後の日に当たっていたせいか、
いつもより人でも多く賑やかな園内でした。
 そして今朝は、ホームスティーの娘達がこうもり傘をさして、ぞろぞろと出てき
たのですが、「今日は雨なので、雨が上がるまで晴耕雨読にしよう!」といったの
ですが、日本語ができないのでコメ展の映像を見てもらっています。台湾の娘達
は一度見ていますのでマレーの娘達にいいではないか、と提案してくれたのです。
 最近の日本では、晴耕雨読というのは死語に近い気がします。そういう時間が
とれないシステムというか、段取りをしてしまっている風です。毎日出荷しなけれ
ばならない、という制約というか決まりにしていますので、休みが取れません。我
が家はたまたま出荷物があまりない時期なので可能なのかも知れません。
 雨が降っては畑仕事にはなりません。雨が上がってもすぐには畑仕事はできま
せん。そんな時は、ためていた本類を取り出し読む。私は乱読症?なので数冊の
本をまぜこぜで読んだりします。最近では孫が読んでいた日本昔話百選を読んで
いたらお客が来て、次に手に取ったのが司馬遼太郎の最後の将軍、昼ご飯を食
べてから手にとったのが、桐谷エリザベスの消えゆく日本、といった具合です。そ
れぞれ面白かったのですが、頭の中はゴチャゴチャ気味です。
 日曜日は仕事を休む日で買い物に出かけたりレジャーに出かけられる日という
概念だったのですが、ヨーロッパを歩いて日曜日は何もしてはいけない日であり、
1週間の自分の行いを反省したりする日、教会に行く日と聞いて、少なからずカル
チャーショックを受けた記憶があります。晴耕雨読を広めよう!という思いをする
この頃です。争うのではなく切磋琢磨の世になってほしいなどと思うのです。
                    おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1168                     2014.11.24
 青首大根は順調に出荷してきましたが、この季節だからこその三浦大根
が大きくなってきました。育ちを見ると今年は例年より1週間位育ちが早い
気がします.三浦大根の特徴は、煮物にした場合とても美味しいのです。
青首とは味わいが違います。
 ただ大きくなってしまうので重いのです。持ち運びが大変なのでしょう。時
代が変わったと言うことでしょうが、盛りの時は三浦大根でなければ、といっ
た声が強かったのですが、今は持ち運びに便利という都合が優先されるよう
です。昔は美味しい素材が求められたように思うのですが何なのでしょう。
 新しい物好きな日本人ということがありますが、野菜も時代と共に変遷して
きました。私たちの子供だったときにはない野菜がいっぱい出てきました。新
規就農者は若いですからそういう新しい野菜を知っています。だいたい横文
字の野菜は近年になって出てきたと思えばいいのですが、問い合わせがあっ
たりしても応えられません。「何ですか、それ?」なんて対応しかできないの
です。
 当農場は、おおかた伝統野菜の農場になってしまっているのだ、とお客さん
に教えられます。毎月中旬には翌月の案内をつくるのですが、12月の案内を
書くと、大根、人参、ごぼう、さつまいも、里芋、長葱、ホウレン草、小松菜、小カ
ブ、チンゲンサイ、ターサイ、白菜、キャベツ、春菊、ブロッコリー、カリフラワー、
煎り落花生、お米など、いわゆる大衆野菜がメインなのです。
 11月はイベントが続いてようやく最後のイベント<大栄ふるさとまつり>が昨
日終わりました。野菜の展示即売とけんちん汁、おにぎりを販売したのですが
、食べ物は用意したもの全て完売したのですが、野菜類は残りました。目の届
くところに野菜があちこち畑にあるのですから売れないのはしょうがないのです
が、ちょっと淋しい。
 我が家は、ベジタリアン風の食事がメインですが、聞くところによれば今の農
家も都市並みになって野菜を食べない風があるようです。お肉を食べることが何
か普通になっているようですが、我が家はたまにしか食べません、魚は海彦の
仲間がいますので、我が家が山彦になって物々交換をして食べています。
 生き物にとって食べ物は保守的だと言いますが人間はきわめて雑食性で革新
的?です。新商品に飛びつくのですから。その結果がどうなるか、。身土不二、
医食同源を標榜する当農場はちょっと古い?のでしょうか。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1167                      2014.11.17
 今朝の農業新聞。『「円安プラス」は間違い』という記事が目にとまりました。思
わずその通り、と思ったのでした。私たち農業者は当然のことですがいろいろな
資材を使っています。ここ1年で資材の値上がり通告が続いています。
 運賃、段ボール、FGフィルムなどの値上がりに経営が危ぶまれています。考
えてみれば70円台の円が今は110円台になっているのだからその影響は、石
油をはじめとした値上がりに直結しているのだから当然なのでしょう。その上お
米の値段などは急落しているのですから。
 小題として「大多数の人が損」。『円安は、油、ガス、各種鉱石、飼料、食材、中
国製の各種製品の値上がりで企業の経費や個人の生活費を増やしている。』と
書かれていますがその通りで実感としてもその通りなのです。
 で、『そもそも国全体の貿易赤字が増えている。安倍政権の発足前の2012年
の赤字が6兆円だったものが、13年には11兆円となり今年は13兆円を超えそう
な勢いだ。中略-つまりは国内の企業や個人の損がそれだけ拡大していると言
うことなのだ』と。その上に消費税の負担増が重なっています。
 そして『ちなみに、原発停止が赤字の理由というのはとんでもない誇張で、13
年の輸入増加11兆円の内、電力向け化石燃料の増加は1兆円に過ぎない。再
稼働があなたの使うガソリンや灯油や輸入飼料の価格を下げるわけではない。』と。
 書いているのは日本総合研究所主席研究員・藻谷浩介さんと言う人で米国の
大学へ留学し、全国の市町村を訪問して地域振興に関わって来た方です。
 やっぱりそうだったのかと日頃感じていた閉塞感、経営状態の変化をすっきり
説明してくれた感があります。田舎に住む私たちですが、日常の会話の中で、株
価が上がったといっても株を扱うのは一部の富裕層か機関投資家であり、しかも
そのうち7割が外資というではないか。円安と言ってもその結果はわれわれの消
費財が値上がりするだけではないのか。円安で利益を得るのは多国籍企業と言
われる大企業だけではないのか。われわれとは縁遠いことばかりだよなあ-など
という話しがしきりでしたが、わかりやすく説明してくれました。
 しかし、そんなことでは現状打開はできません。「資材の自給で自営を」と提言。
先例として、休耕田を牧草地に変え飼料を購入せず乳牛を自然放牧してといった
里山資本主義という考え方(規模を抑え、なるべく自給自足を取り入れる考え)を
紹介しています。グローバルではなく、足下からの変革が必要な時かも知れま
せん。                   おかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1166                      2014.11.10
 今年の立冬は11月7日。暦の上では冬の季節に入ったことになります。今年
は10月下旬に初霜が観察され、冬が早いと思ったのですがそれほどでもない
ようです。最も初霜といっても水霜と呼ぶ程度のものだったのでしたのでした。
(水霜というのは落ちた霜が凍るか凍らない程度のものです)
 ここ千葉北総地域はさつまいもの産地です。さつまいもの葉は、霜でたちま
ち黒変します。南方原産の作物ですから寒さにはめっぽう弱いのです。ですか
ら霜が降りたかどうか、翌日には分かるのです。葉が黒ずめば霜の降った証拠
です。水霜程度だとところによって黒ずみますが、何でもないところもあるといっ
たことになるのです。
 里芋ゴボウはさつまいもより少しは寒さに強く耐えます。とは言っても今が掘り
時です。生姜も南の原産ですが、じつは生姜の方が寒さに弱いので、畑に穴を
掘り埋けて保存する場合は最も深く掘ります。ですから、一番深く保存するのが
生姜で次がさつまいも、そしてそれほど深くしないでもいいのが里芋といった順
番になります。
 ですから家庭で保存する場合は、上の3種は冷蔵庫に入れてはいけません。
段ボールの中とか新聞紙で来るんで保存した方が長持ちします。何でも冷蔵
庫がいいと持っている人も多く気をつけてほしいと思います。今年の産地見学、
芋掘り体験でも話したのですが、案外冷蔵庫保存でいいと思っている方も多
いようです。
 長々と芋談義を書きましたが、ここ千葉北総の地はそうした根菜類の産地な
のですが、産地になるにはなるだけの訳があります。気候的に温暖であると言
うことだけでなく土質が火山灰土の細粒の土であると言うことです。同じ火山灰
土でもゴロゴロの土もあればさらさらのきめの細かい土もあります。
 当地は、さらさらの方です。今朝NHKの朝市で人参が取り上げられていまし
たが、日本一の産地と言うことで富里市が取材地でした。人参だけでなく大根
などもきめの細かい形も見栄えのよいものができるのです。
 冬野菜は温野菜として私たちの体を温めてくれます。陰陽でいえば陽の食
べ物です。季節の変わり目です。私たちの体調が自然の変わり目に崩れや
すいと言われていますが、季節に元気な野菜=旬を考えた食事はとても大事
なことだと思います。根菜類だけでなく、ホウレン草や小松菜、こかぶ、長ネギ
など、そして白菜と言えば鍋です。からだを暖めての食で冬を乗り切りま
しょう!      合掌
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1165                      2014.11.3
 11月3日文化の日です。別には憲法制定の記念すべき日でもあります。この半
年後の5月3日が施行日で憲法記念日とされましたが、決めなければ始まらない
わけでいわば今日の方が意味ある日であるとも言えるのではないか、そんな考え
も持ちます。
 農業をする人は本来的に平和主義者だと思います。なぜなら土地が第一で土
地を離れたら農民の仕事はできなくなってしまいます。産土神社を祀り五穀豊穣、
天下泰平、家内安全を祈願してムラを守り家族を守ってきたのです。
 当地は香取銀宮の氏子でもありますが地元の大須賀大神という神社をうぶす
な神社としてあがめてきました。今でも村中で行事が行われ総代が月1回は神
社掃除をしてお参りしています。
 先月、食と命の教室でそんな話を語りましたら、「そんな伝統的なことを今でも
やっているんですか?」と驚かれました。参加者のほとんどが都市生活者ですか
らなのでしょう。伝統を重んじムラを誇りに思うといった行事ははるか昔のことだ
と思っていたらしいのです。
 我が家だけでも氏神様をはじめとしてお正月にお供えする様は7つあります。家
の中の仏様と神さまには、毎日お茶、水ともにお供えしています。まず神さま仏様
にお供えした後にご飯となるのです。
 年間行事としての10月は17日にジンジと呼ぶ行事で、神さまにその年穫れたお
米を麹にして甘酒を造りお供えします。そして今はなくなりましたがこの家から出
た子供たちが集まり各々の無事を祝い語りあう日でもあったのです。で、食と命の
教室があったもので参加者全員に甘酒を飲んでもらいました。コメ麹に水を加え
人肌に温めて発酵させます。自然の発酵による糖化によって甘くなります。
 そしてこの11月23日にはやぶさめ=新嘗祭を大須賀神社でやっていたのです。
今は神社で神主さんが祝詞を上げるだけですが続いています。この日は全国の
神社が新嘗祭というお祀りをしています。それに倣っているのでしょう。
 伊勢神宮の天照皇大神が内宮で外宮が豊受大神ですが、その豊受大神はお
米をはじめとして衣食住の恵みを与えてくれる神さまです。瑞穂の国と言われた
この国を1500年という長きにわたって今でもお祀りしています。TPP、グローバル
化などと言って日本の伝統をないがしろにするかのような方向でいいのか、と思
うのです。  
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1164                     2014.10.27
 秋はイベントの多い季節。10月11月は毎週イベント続きです。当農場の25日
は、江戸川からお客さんを迎え産地見学と芋掘りツアーの日でした。お子さん
連れで、ホウレン草、春菊、大根、キャベツ、白菜、人参など秋冬野菜の出荷
間近の野菜を見てもらいました。昼食の用意のため当農場のお母さん方に声
をかけたところ10人も集まってくれて30人のお客さんの食事作りです。
 私たちのつくったお米や野菜での料理です。お客さんより、作り手のお母さ
ん方の方が元気で圧倒される感じです。声をかけたところ10人も集まってしま
い、それでもみんなでワイワイやって、野菜を洗ったり、煮物を準備したりとお
客さんが来る前の賑やかさも一つのイベントです。
 お金は別として農村の食は豊かです。それも無農薬の自然の力で育った食
べ物ばかりです。今の50代60代のお母さん方は先代のお母さん方から引き継
いだワザを持っています。それでも各家は違うのでやり方や工夫があります。
 「それは味噌加減はこれくらいがいい」「いや大根の味付けは私が」と言った
会話が交わされ、お互いがそれぞれの経験から学ぶいい機会でもあるので
す。お客さんも反応して、「これはどうつくったのですか」「材料は何を使った
のですか」と言った質問がでます。
 農村のお母さんは、料理教室に通うことなどしたこともなく自前の工夫で先
輩や仲間の教わりながら育ってきました。そして家族にそれなりに満足のい
くよう毎日三度の食事を提供をしてきました。すばらしき料理職人?たちです。
 昨日26日は、<太陽と地球と命のつながりを祝いの種をまく祭り>と銘打っ
ての「太陽の市」のイベントでした。テーマは「家族農の愉しみ」国連は今年
を家族農業年と定め、その役割と大切さを世界に広めています。
 有機農業や自然農などの農家や、素材におにぎりや発酵酵母を使っての
お菓子やパンなどを作るこだわりやさんが集まって、相撲大会や綱引き、ト
ークイベントなどそれぞれの角度から言葉だけでなく体を使っての出店、食
べ歩きなどもできるお祭りでした。それに加え、バンドも多かったです。農家
バンドやハワイアンとフラダンスなど多彩な芸能も出展者、来客を愉しませ
てくれました。
 当農場からは、3年味噌おにぎりや菜種油やひまわり油など昔ながらの、
作品?を展示即売してきました。皆さん意識が高く、どのようにつくったのか、
その違いは?などの質問もあって楽しくかつ勉強のできたイベントでした。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1163                     2014.10.21
 つらいことや困難なことから逃れることがいいことなのだろうか、と思うことが
あります。今の世の中、便利、快適、そして見た目の良さを競う世相。それで
いいのだろうかと思うのです。それが過ぎているというところが気になるところ
です。
 お客さんが来ていろいろな話しになったのですが、動物園の話になって思い
出したのです。それは、動物園も小動物や昆虫を飼うとその餌に緑の物が使
われる。そこで、市販の野菜を買うのだが、昆虫や小動物が死んだりしてしま
う。そこで当農場に注文が来たのです。
 とは言っても小さな生き物ですからそれほど量は必要ありません。少しはお
付き合いしたのですが、キャベツ3個と小松菜5袋などの注文では宅配代の方
が高くついてしまいます。で、自ら種まきしてつくったら、と提案?して今は
やってないのですが、虫は生きられない物を人間は食っている、ということに
なりますねえ、といった話しになりました。
 私たちの食べ物(例えば人参、ホウレン草など)が少々虫に食われたとて食
べられないものではありません。キュウリの形が少々曲がっていたとて、食べ
るのには全く問題がありません。50センチの大根に1センチの穴が開いたから
といって食べるのに何の問題があるのでしょう。
 調理のできないことがなんの苦もない時代になっていますが、料理作りにし
てもいろいろと苦労して美味しい!といってくれるとその苦労が報われます。
美味しいといってくれないことを悔やむより美味しいと言わせるだけのモノをつ
くる上げる努力を重ねることが大事だ、と教えられたことの重みが今になって
時代の劣化を感じさせます。
 自然のありようや自然のなせる創造に対して善し悪しの順番をつけるなど
傲慢の極みではないか。そう古くない時代には、根っこでもなんでも食べられ
るものは何でも食べて生きて来ました。
 化学と科学を使ってまっすぐなキュウリがいいとし、虫のつかない大根がいい
として農薬という毒を散布し基準以下だからとしています。ネオニコチノイド系
の農薬が世界中のミツバチを激減させている、という話を聞きました。蜂にとど
まらず虫媒花の植物に大きな影響が懸念されます。
 悪い方へと考えたくはありませんが、それでも地球の、自然の生態系があっ
てこその私たちの命です。負の遺産を残してはいけないという話しでした。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1162                     2014.10.13
 そろそろ冬の野菜、大根、ホウレン草、キャベツ、小カブが出始めました。ホウ
レン草の旬は秋冬です。10月はちょっと早めの作付けです。9月の蒔き付けは、
時期が気温が高すぎるため病気が出やすいのです。株間を広くして種まきした
り土作りをしないとうまくできません。
 キャベツは虫さんの最高の食べ物です。9月から10月にかけては虫たちの越
冬に向けての最も旺盛な食欲の季節でもあります。虫たち生き物にとっては冬
という季節を生き抜くためにサナギとなって生きながらえる準備をする時です。
今食べておかないと生き残れない、という時期なのです。
 そういう時期に普通に栽培すると、虫だらけの葉脈だけ残されてのキャベツに
なって食べられたものでありません。そこで今無農薬栽培をする農家は、ネット
をかけて物理的に虫を遮断して栽培、ということになります。それでも時々ネット
の隙間から虫は入り込み食べられてしまうのですが、そんな時は諦めるしかあ
りません。
 無理をしてまでも、という気持ちと、それでも求めるお客さんに少しでもちゃん
とした野菜を食べてもらいたいという気持ちが交錯しつつ、チャレンジしています。
それを食べたお客さんに「美味しい」と言う声をいただくと「やって良かったなあ」
と私たちの励みになります。
 ガン患者さんが一番使う野菜人参が今切れています。端境期を無くすため冷
蔵庫を設置しなんとか繫いできたのですが、傷みが出たり量的に不足していた
ため1ヶ月ほど出荷できなくなってしまいました。11月からは7月蒔きの人参が
出始める予定ですが台風が心配です。
 先週は、台風18号でしたが今週は19号が再び日本列島を横断しようとしてい
ます。天気予報が気になりTVを見ていましたが、既に沖縄、九州、近畿と豪雨
の報道がされています。今夜あたりからこの関東にも来襲するということです
が、被害のないことを祈っています。
 先週の18号はたいした被害はなかったのですが、隣の市では突風で屋根が
吹き飛ばされたり、瓦が飛んだりしたと聞きました。
 風が吹くと露地の野菜は吹き回されて葉がちぎれたり、ひどいと根本からちぎ
れなくなってしまうことがままあります。そこに大雨が重なると水に埋もれ根が
腐り枯れてしまいます。じっと通り過ぎるのを待つしかありません。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1161                     2014.10.6
 台風18号の来襲。孫の通う小学校からは昨晩の内に<休校>の連絡があり
ました。昨年の台風26号が思い出されます。26号は、市内で大小合わせて
100カ所に及ぶ崖及び土砂崩れをおこし、水田も道路も水没して通行不能にな
るなど大きな災害を及ぼしました。
 またか、と思い起こす台風の襲来ですが、現在朝7時半。予報に寄れば今現
在静岡県沖で、お昼にはこの千葉県を通過する見込みですが、案外雨風とも
穏やか風です。今のところ26号ほどではなさそうです。
 それにしても、温暖化というのは単に地球の気温が上がると言うことだけでな
く、海水温があがりそれによって台風がエネルギーを与えられより巨大化する
という。太平洋のそれも熱帯低気圧の通り道にその高温帯があるのだから次々
と台風ができるのは無理からぬことなのか、と思ってしまいます。
 日本というクニは、四方を海に囲まれしかも4つの海流が流れ、それによって
適宜雨が降り注ぎ、天からの水の供給がある緑豊かな地球的位置の国なのだ、
と教えられましたが、度が過ぎると災害の多発ということになります。
 また世界でも屈指の地震多発国であり、加えて火山の最も多い国でもありま
す。御嶽山の惨状を見ても地殻変動は止んだことはありません。
 そして地上も海上も常に止むことなく活動をしています。それはまた生物にとっ
て欠かせない動きです。が、それが人間活動(=自然環境の破壊)によって大き
くその変動を狂わせているとしたら、私たち人間の活動を制御するしかないので
はないか、と思うのです。
 今年はどういう訳か雑草の勢いが強い気がします。2.3日前に稲刈り後の田
耕をしたのですが、凄いことになっています。畦や土手の草がこれ以上ない、と
いう繁茂ぶりです。連れ合いと「これでは畝刈をしておかないと、という気持ちに
なるなあ」などとつぶやいています。
 WTOからTPPなど人間の経済活動、さらに言えば人間の欲望と競争心だけが
増長する人間中心主義の行き着ついたところに現在の現象があるのでは、とい
う見方もあります。私たちの生存基盤が大きな変化をしようとしているときに、その
基盤を壊しておいて経済も何もあったものではないのではないか。
 我が家は台風に備え、作業場に水路を、排水路の掃除などしましたが、後は
運を天にまかせるしかありません。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1160                     2014.9.29
 さつまいもや里芋が美味しい季節になりました。9月から出始めた野菜ですが
昔はもう少し遅れて10月頃からが旬でした。今は一年中野菜が切れない時代
となって野菜の旬が分からない人が増えています。
 生き物には本来の旬があります。何故旬がいいかと言えば、その季節に精一
杯生きている健康野菜が人間の体にとっても元気をもらえるからでしょう。寒さ
暑さの中で、人間も春夏秋冬の季節を生きる生き物ですから。
 それが今では夏でもホウレン草小松菜を食べることに違和感を覚えなくなって
います。本来は秋冬野菜なのです。寒さに耐える野菜は30度を超す環境では
育ちません。農薬をかけて栽培しないとできません。いわば薬の投与し続け、し
かもできたものは栄養の薄い?ものを食べることになります。
 夏野菜であるトマトやキュウリは、その反対で寒さから守るために重油を燃や
して暖房しなければ一晩で枯れてしまいます。冬のトマト栽培は、エネルギー
収支が全く合わないのです。1のエネルギーを得るのに100のエネルギーが必
要という勘定なのです。そうしたことで旬を大切にする考えは、有機、自然農に
関わる人達の永続的な人間社会へ向けた取り組みの理由の一つです。
 先週末は、イベントが続きました。美大の「Think The Earth」というゼミで20
数名が勉強していきました。食と農の現場で体験を交えて1日お付き合いさせて
もらいました。畑で土にふれ、マイ箸をつくり連れ合いのご飯を食べてという体験
を交えての学習でしたが、勉強になったかなあ、と心配です。
 翌日は「食と命の教室」で10名ほどが畑で大根の間引きをして体験。そしてお
昼は一つ位は自分でつくって、と言うことで竹を材料にして箸作り体験。それこそ
マイ箸です。手作りの箸を作ってもらいお昼ご飯を食べてもらいました。そして、
メンバーの一人がブータンに行って来たというのでスライドを使ってンブータン報
告です。経済ではなく幸福度という価値観を持つ国です。
 それが終わったら「農コン」で神崎町の寺田本家で酒蔵見物をしつつ近隣の農
に関心のある未婚の男女に声をかけてのコンパです。関東をはじめ遠くは大阪
の方から来られた方もいました。20代から40前後の男女50人が集まっての農
コンはとりあえず無事楽しくできたようで安心しました。
 ゆっくりと人生を語る機会、時間の少ない時代です。これを機に良きご縁のあ
ることを願って開催した農コンでした。              合掌
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1159                      2014.9.22
 いつも田んぼのことばかり書いてきましたが、ようやく稲刈りが終了しました。
最後に刈り取ったモミはまだ乾燥機の中にあるのですが、野良仕事を終えた
のでひとくぎりです。
 私が刈り終えたのでムラの田んぼはもう稲が残っていません。今朝は、連れ
合いが叫ぶことしきりです。「大根の中耕除草をしなければならないでしょ」「玉
ねぎを蒔かなければならないでしょ」等々せわしない言葉が続いています。
 昨日は、千葉公園で「日本酒バル」のイベントに参加してきました。野菜、お
米、油を持ってのテント販売と楽器を持って「The空」の演奏です。お店はパー
トの尚ちゃんにまかせウーハーの青年にまかせようと思ったのですが、日本
語があまりできないのであちこち歩いていました。
 私は菜種油の油絞り体験のための準備や試し絞りをしていたのですが、バ
ンドの準備が始まるとそちらにかかりきりで、ほとんどお店はやらず歌ってば
かりいました。
 台風の影響で天気が悪くなるとの予報もあって心配したのですが、うまく晴れ
て良いイベントになりました。野菜の高値の影響もあったのか比較的よく売れま
した。主催者がオーガニックを求めていることもあって意識も高いお客さんが多
かったようです。日本酒離れが進んだ近年ですが、県内の造り酒屋さんが多数
参加していろいろな酒を試飲して私も酔いが回り、イベントの終了時刻4時を過
ぎて5時近くまで勝手に歌いまくりました。
 お客さんも中々帰らないで聞いてくれていましたので気がついたら5時近くに。
主催者も終わりの号令をかけてくれなかったので気がつかなかったのでした。
 イベントは気分転換になります。田んぼや畑ばかりの毎日ですが人との出
会い、交流、意見交換など刺激のある勉強会のようなものです。お年寄りから
子供たちまでジブリの歌など一緒に口ずさんでくれて楽しい時間でもありました。
 これから籾すり作業になります。最後のお米にする仕事です。お米も毎年残
留農薬の検査をしていますが、これまで検出されないできています。栽培が無
農薬栽培でも結果も大事です。野菜もお米も10数年前から検査を始めて以来、
残留結果はないで良かったのですが、福島原発事故以来放射の検査もするよ
うになって、経費の捻出がちょっと負担なこの頃です。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1158                      2014.9.16
 むらの田んぼはほとんど刈り取りが終わり,稲のある田んぼは我が家の田んぼ
くらいです。誰もいない田んぼで連れ合いと稲刈り最中です。ツバメが舞い、今は
シラサギが稲刈り田んぼに集まりカエルやドジョウをついばみに来てます。
 9月4日に蒔いた大根は芽を出し本葉が出始めています。これから中耕、元よせ
,間引きの仕事となります。小さな草の芽が一斉に顔を出していますが,稲刈りが
先です。気持ちは、早く畑に出て中耕して除草したいところですがそうもいきませ
ん。稲刈りは天気の良い日でないとできないのですが、畑も同じです。
 食用油の自給のためのひまわりは,刈り取り収穫したのですが、雨上がりのた
め真っ黒に変色しています。種さえ良ければいいのですが、管理が中々難しい。
有機農家でひまわりプロジェクトと称して取り組んでいるのですが、何人かは腐
らせてだめだった、ということがままあります。
 なれないため重ねて干したりするとたちまち腐敗へとなってしまうのです。今年は
うまくいってほしいと願っているのですが、どうなることやら。同時に種まきしたゴマ
も刈り取りが始まりました。ちょっと早い感じですが,娘がやってしまおうとイギリス、
ドイツ、メキシコの青年たちと刈ってしまいました。
 ドイツから来た大学生は、ゴマ刈りが一番面白かった!といってましたが,なぜだ
か分かりません。その彼も昨日成田空港からドイツへと帰りました。
 菜の花ひまわりプロジェクトでは、食用油をまず自分たちが栽培、食べて廃油をB
DFにしてトラクターやトラックの燃料にして,エネルギーの自給を進めようとしてきま
したが、提携ワーカーズが今秋にBDF設備を一新して私たちの需要に間に合うように
なって来たのですが、今度は原料=食用廃油が供給不足となってみんなで集めよ
う!と取り組み始めました。
 環境中の水質汚染で一番分解しないのは食用油なのだそうです。台所で捨ててし
まうと水質汚染が進みます。捨ててしまうと環境汚染になるものを有効化して燃料に
するというアイデアは環境のためにも良いので回収に直売所で取り組んできました
が、なかなか思うように進まないでいます。
 一人一人の環境意識を高めるためにももっとその意味を訴える必要があるかと思
います。生活するとはある意味ゴミを出すことでもあります。人間自体が食べるとい
う行為の結果排泄が伴います。良い意味で環境汚染のない循環ができれば健康
的な環境が作れます。ずらずらと脈絡のない話題になってしまいました。    
                          by髙柳功

(産地の声)vol.1157                      2014.9.8
 収穫の秋となってようやく我が家の稲刈りも始まったのですが、連日の雨で作業
が止まっています。その雨は、全国的な野菜不足による高騰と冬に向けての作柄
の見通しの不安が報道されています。
 そうした短期的な見通しもありますが、先週だったかクローズアップ現代で温暖
化の問題を取り上げていました。みかんの北限は神奈川あたりまででした。それが
山形県でみかんの試験栽培をしているという映像がでて、そこまで来ているのかと
びっくりします。
 秋作のレタス作りを長年してきましたが、近年はうまく作れなくなってきました。同
じ品種を作って来たのですが、収穫間近になると薹立ちしてしまい結球しなくなって
しまう現象です。気温が高くて栄養成長が続かず生殖成長になってしまうと言うこと
でしょうか。
 みかんにせよレタスにせよ生育適温というのがあります。その範囲を超えるとこれ
までの生育環境と違うので同じように育たないのです。
 海も同じで海中のサンゴも温度が上がり今は千葉県の房州先端にサンゴが生育
し始めました。一方南方の珊瑚礁が絶滅の危機にあるという話も聞きます。地球の
自然環境が大きく変化しつつあるのでしょう。
 今NHKシリーズで地球温暖化がもたらす異常気象を海の海温上昇、巨大台風、
巨大竜巻など取り上げて放送中です。広島の豪雨による山津波とも言える土石流
の災害もそうですが、アジアではベトナムそしてバングラデイッシュでは海面上昇
で陸地がなくなり数百万人という人が避難しています。シリーズ2回分を見ましたが
目が離せません。
 米国の国務長官が、地球温暖化はこれからの外交問題の大きな課題だと講演し
たというのですが、災害当事国(日本)はどれほど問題意識を持っているのか気に
なります。東大や京大をはじめ各大学で研究者が頑張っているのをみるといくらか
安心?できますが、政治の世界ではどうなのでしょう。
 今朝は、お客さんから野菜がないか?と電話がありました。契約していた農家が
害虫に食害されとても売り物にはならない、と言われ困っている。あれば回してほし
い、と言われたのですが、希望の野菜は作っていないので、と断りの返事をしたと
ころです。多くの日本人はそれほど気にしていないのでは、気にするといっても値段
論しか出ないところにこの国の病巣があるのではないか、と思うこの頃です。  
                      by高柳功

(産地の声)vol.1156                     2014.9.1
 先週は、猛暑の干ばつ状態のことを書いていましたが、今週は一気に秋もようの
雨交じりの天気が続き今日も朝から雨です。隣の稲刈りを28日に予定していたの
ですが雨が降って中止。そのままぐずついた天気が続いていました。
 昨日は、太陽が出ないものの少し風があり、当家の旦那さんが見えて「今日は何
とか刈れるかな」と。稲に葉つゆが残っていると刈れないのですが、風もあり始める
ことを決断。3時過ぎには傘マークの予報でしたので「雨が降る前に!」と私はコン
バインを、連れ合いはタンクを乗せた軽トラックででかけました。
 雨が降ったらその時点で中止になります。そうなったら大変だからと「お昼抜きで
刈ってしまおう!」と、6枚の田んぼ計33aを刈り終えました。約2時間半で終了で
す。雨に遭わずに刈れました。
 耕作者である隣家の方は70代半ばとなって体力の限界とあまりの米価の低下を
嘆きつつ今年でコメ作りをやめと。毎年恒例で、稲刈りの時は、お茶だから、と自分
で作ったスイカを用意し、刈り終わった田の畦で包丁を当てて切り分けてくれます。
そこでは、今年の田んぼであったことや苦労話などに花が咲きます。父親が高校生
時代に体を壊し、2年で中退せざるを得なかった。そうでないと家の仕事がままなら
なかった。15.6の時から一人前の働き手として働いて来たことなど語りました。
 今年の米価はかってないほどの低価で「コメ作りは採算ラインを切ってしまったな
あ。これであのTPPが来たら壊滅的だね!」とは隣家のお父さんの弁ですが、本当に
どうなるのか先の見えない農村の姿です。
 同時に話した話し。「景気がどうのこうのと言うけど、踏んだり蹴ったりだねお偉いさ
んは景気回復してるなどといってるけど違うなあ」「販売物は2割下がって資材は値
上がりしているんだよな!」それが実体なのです。
 生き残るためというけど世の中の進歩というのは助け合って生きてゆくことではない
のか、それが人として生きてゆくことだと思うのですが、何なのでしょうか。自然界だっ
て競争もあるけど多くは棲み分けをして多種多様に生きてます。
 稲刈りを終えて自分の田んぼを見回りました。40数枚の田んぼは南北2キロに点
在しています。ムラのみんなより2,3週間遅れて種まきしているのでまだ青が目立ち
ます。もう1週間は置いた方がよさそうです。2週間遅れで始まったといっても稔りは
進んでいます。例年よりは早くなりそうです。
                      byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1155                     2014.8.25
 お盆が過ぎて今まで収穫出荷していたミニトマトもとうとう木が枯れ始めて実がなら
なくなってしまいました。トマトは、本葉7.8枚になって始めて花が咲きます。トマト
は花房と呼ぶ葉とは違う枝を出します。その花房に大玉の場合78個、ミニトマトの場
合は20個前後の花を咲かせます。
 トマトは3枚の葉が出ると一つの花房がつき成長します。それが連続していきます。
最初に咲いた花房を一段目の花、2番目にさいた花房を2段目と呼ぶのです。大体
が1段目に咲いた花房が色づき収穫するのは5段目の花が咲いた頃なので、進み具
合を農家同士で語るときは、「何段目の花が咲いている?」と聞くとその生育具合が
どの程度なのか分かるのです。
 時間をかけてですが次々と上へ上へと伸びていきますから限度があります。そこ
である程度の高さになったら成長点である芯を摘んでしまうのです。そこまでで終わ
りにすると言うことです。
 トマトの原産地は南米大陸の山中で雨の少ない地方だと聞きます。日本という国
は、雨が多くしかも夏は暑すぎます。(原産地と比べて)普通のトマトを露地栽培で
はうまく作れないと言うのも、防除が大変と言うこともそうした理由の大きな自然環
境的要因です。トマトは雨よけ栽培という言い方をしますが、そうすることで原産地
の環境に少しでも近づくことになります。
 私の場合、防除は一切せず水もほとんどかけません。ハウスに植えて根付くため
に一回だけかけたきりです。トマトは水を切った方が糖度がのりおいしくなるようで
す。ところが雨よけ栽培でも雨が降ればハウスの外側から水分が入り込みます。そ
うなるとその水分を吸ってトマトが割れてしまうのです。コントロールできないところが
あって、そんな時は捨てたり近所に上げたりしています。
 今年は全国的に見れば豪雨に見舞われたところもあって雨も多かったんですが、
ここ千葉県は雨に避けられ?干ばつ状態で夏を迎え今に至っています。今の私の
ミニトマトは芯が細くなり息絶え絶えの状態です。水をかければ生き返るのかも知れ
ませんが、次の農家が準備万端で収穫が始まりました。
 当農場の若手石橋君のトマトができてきましたのでバトンタッチです。彼のトマトも
順調に育っています。順番に野菜が切れないようにチームを作っているのです。今
年の夏野菜は高騰していると聞きますが、高温多湿の猛暑続きで野菜もくたびれて
穫れないのでしょう。あるもので間に合わせるしかありません。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1154                     2014.8.18
 我がムラの田園は稲が頭をたれ、穂先が黄ばみ始めています。早く田植えをした
田んぼの一部は早くも刈り取りが始まっています。昨年より1週間は早い生育ぶり
で我が家にも隣の兼業農家から、八月に刈り取りをしてほしいと頼まれています。
その家も今年いっぱいで田んぼ作りをやめる、という。そこで「来年からやってもら
えないか」と頼まれました。「とりあえず、誰か探してもらって誰もいないとなったら、
考えるから」と返事をしておきましたが、はっきり断った方が良かったかも知れませ
ん。
 お米の仕事も我が家の体制からすると限界に近くあまりやる気がおきないのです。
70才を過ぎ、からだが持たなくなって来たとは言うものの長年つくってきた田んぼの
ことを思うと荒れ地にするのは忍びない、という想いはよく分かるのです。土地に対
する愛着というか家族の食を支えてきてくれた田んぼです。
 50年という長きにわたってのつきあいのある田んぼでの思いは今の経済主義では
語れないところがあります。春には豊かな稔りを祈り、種を準備し田を起こし、水管
理やら畦の草刈りなどをして収穫。そして、秋には神さまへの稔りの感謝祭をして、
今後一年の食を得たことによる安堵。そうした一年一年の苦労が積み重なった田ん
ぼとのお別れです。
 今日は、東京から料理教室をしているというご婦人が見えました。いろいろあって我
が家の畑を見てもらい語りあったのですが、自分自身がアトピーになって食への関
心が深まり、料理教室をするようになった、といいます。
 食べ物がどういうところでつくられ、私たちの命が食べ物で成り立っていることをちゃ
んと知らなければ、といいます。日本人の食べ物は70年代から中身が変わっていっ
た。農産物は化学肥料、化学防除で、加工食品の増大は化学食品添加物の増大は
右肩あがりに消費、日本人の体に入っています。
 本来、人間も自然界の一員でありその生態系の中でしか生命活動ができない。そこ
に自然界に存在しなかった化学物質が入り込んで人間がおかしくならないはずがない
こと、など同じような思いであることを語りあいました。
 彼女は、自分自身のアトピーを何とか改善したいと食の仕事に就いたのですが「私は
少数派です」「こんなことを考えていると言うと中々受け入れてもらえないのです」とい
う。「私もそうですよ、でも自分が信ずる道を歩きましょう。」と言ってお別れしました。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1153                     2014.8.11
 台風11号は日本列島を突き抜けました。九州や四国そして北海道まで大量の雨
を残しましたが、この千葉は少しの雨で拍子抜けした感があります。7月から続く猛
暑、干ばつ気味の気候で畑は乾ききり雨がほしかったのです。
 特にこの成田地方では少なかったようです。東隣の香取市では豪雨があり道路
封鎖もあったと言うのですが、どうも雨雲に嫌われているようです。そんな話しをし
ていたら、「それでもどっちがいいかどうか分からないね。九州や四国、紀伊半島の
ように豪雨となって土砂崩れや冠水の被害を見ると程度というものがあるよ。天気だ
けはどうにもならないから、被害が及ばないだけ良しとしなければ。」と。天変地変は
地球の、宇宙の働きです。甘んじて全てを受け入れるしかないのでしょう。
 暦は、秋になりました。八月の月は、何かと行事があります。五日は旦那寺のお施
餓鬼で1日お寺に努めました。本堂には「お盆、ご先祖と出会う夏」という標語がかか
っていました。地元の役員なので本堂の傍らで受付をし、午後観音堂で檀家の皆さ
んとお施餓鬼会に参列しました。
 これからお盆になりますが、先祖供養をした塔婆を持ち帰り各家でお墓に供え、13
日にはお墓にお迎えをして盆だなを飾ります。盆だなには、キュウリやカボチャ、なす
など野菜をお供えします。旦那寺のお坊さんも一年に一度は各家を訪問して盂蘭盆
のお経を唱えてくれます。先祖の供養と同時に先祖あっての我が身を思う時間でも
あります。
 現代はそうした行事も省略、あるいは全くしない人も増えてきたようです。代々行い
伝えてきたことにはそれなりの意味が含まれている、と考えていいと思います。「昔か
らの行事やしきたりなど古いと言って片付けてしまうことが多いけど、俺は続けた方が
いいと思う。その時意味が分からなくても意味があるから続けてきたと思うんだよな。」
と私の友人が言います。 
 話変わって、台風11号の雨は畑にとって大いなる恵みでした。人参を蒔いた畑が水
不足で毎日のように水かけしていたのに助かった!と喜んでいます。秋冬野菜にとっ
てこの雨は本当に恵みの雨でした。秋野菜の人参をはじめ、キャベツやブロッコリー
、大根や白菜など秋野菜の種まきや畑作りが進む八月です。
 時々は雨が降って潤いを届けてもらいたいものです。豪雨や雷はいらないのですが、
と虫の良い願いを抱きつつお盆を迎える準備が進んでいます。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1152                     2014.8.4
 昨日は、勉強会に行ってきました。政府が上からの改革と称して農業改革をする
ということに危機感を抱いた農家、農協関係者、農学者、生協関係者などが集まり
ました。私も勉強不足でしたので今日本がどういう方向へ行くのか気になっていた
のですが、もう本末転倒というか私利私欲、経済主義者たち(それも一部)の画策
する方向へと舵をとっていることに愕然とします。
 為政者を取り巻く人達はもう国民のことなどまったく考えていない、としか思えま
せん。今の会議メンバーには、だれ一人として現場からの委員はいない。戦後の
農政は、農家や農村の側からの政策などなかった、と言っていいでしょう。 農協は
良き面と悪しき面とがありますが、それでも農業農村を支える存在だったことは間
違いありません。それがTPP反対の団体だからと言う理由で力を削ごうというのは
許せません。民からは遠慮なく消費税を上げ、利益を上げる企業には減税をする、
というのは本末転倒でしょう。その上農業を資本と企業のために規制?を外すとい
うのは理解できないことです。
 東大のS教授によれば、-米国を喜ばせることが私益・省益・国益になってしまっ
たG省と、起業の経営陣を喜ばせることが私益・省益・国益となっているK省と対抗
し、N省は、貿易自由化の流れから食と農を守ろうとしてきた。官邸を取り巻くパワ
ーバランスが崩れ「米国と企業のために食と農を犠牲にする」構図が強くなってし
まっているのが、今の危機的事態の根底にある・・・・これ以上一握りの人々の利
益さえ伸びれば後は顧みないと言う政治が強化されたら、日本人が大切にしてき
た伝統や文化が、さらに崩壊して行く。と。 
 猛暑が続く中、田んぼを見ながら行ってきたのですが、稲は穂を出し、早いもの
は頭をたれてたわわに実る豊かさを見せてくれています。一方日本の食生活も小
麦の消費が増えお米の消費量を上回りました。日本人の命の糧が太平洋を越え
た遠くから来たもので賄われていることを思うと頭の中はいろいろなことが思い出
されます。
 日本人も既に経済奴隷となって日本人でなくなったのかな、とか食べ物が作れ
ない訳でもないのに何故輸入が優先されるのかな、とか、地方が=農村が荒廃し
ようが経済主義者たちは自己責任だ、などというのだろうな、とかetc.
 先が見えない、と言うより危機感が増幅するこの国のありようが不安をかき立て
られます。それをよいしょするNHK会長をはじめとするマスコミに絶望を感じます。
                  byおかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1151                     2014.7.27
 梅雨も上がり、急な猛暑の連続で夏野菜が干上がりそうです。キュウリもすっか
り下葉から枯れ上がりはじめ、成長点近くに緑の葉が少し残っているのですが、全
体を見ると枯れ上がっている感じです。
 ナスも一時調子がよかったのでこのまま順調かと思いきや、葉が落ち始め黄色
の葉が目立ちはじめ、花が咲かない、と言うより咲けない樹勢です。気がやせ細っ
てきて、あわてて追肥をしたり水をかけ始めたのですが、どうなりますか。
 先週も書きましたが、大玉トマトは早くも終わってしまい、野菜が急に少なくなっ
てしまっています。品目もそうですが残った野菜達も収量が上がらず、出荷場は
てんやわんやです。待っているお客さんには申し訳ないのですが、どうしようもあ
りません。弱気になっているなあ!と自分を奮い立たせるのですが、この猛暑の
中で作業をする私たちの体が持たない感じもあります。
 田んぼの方も草の成長は早く畦の草は稲の高さを通り越し、畦を刈る機械が
つっかえ機械が止まってしまうほどなのです。それでも稲が穂を出し始めたので
早く刈り終えたいのですが、我が家の分はまだ半分なのです。
 村内では、昨日道普請の日でした。村中の人が集まり、道路と排水路、河原の
草刈りです。昔の道普請は読んで字のごとしで、採石や砂を入れたりしてデコボ
コを治したりする仕事でしたが、今は道もあらかた舗装されてしまったので、道路
脇の草退治が仕事が主流になっています。40軒ほどの村人が班ごとにあちこち
からきれいにし始め、木や藪が生い茂っているところはのこぎりや包丁などなど
を使って整備して行きます。
 都市と違って田んぼや畑と自然の中に集落をつくっていますから、村内が見渡
せます。草ぼうぼうの荒れ地も道ばたも、個人、村中で一斉に取りかかりますの
で村内が自然と人間が折り合いをつけて生活している景観が出来上がります。
 私はそういう姿を見るのが好きです。人と自然の共生の姿なのだ、と言う思い
に駆られます。ですが、農薬や除草剤のおかげかドジョウや魚は少なくなるし、
トンボや蛍もいなくなって久しい。私の息子が言うには「僕が小さかった頃は近所
にいっぱいいたよね。うちわで捕まえられる位いたもの」と言います。今40才にな
ろうとしている息子ですから30年位前にはそういう光景があった、と言うことです。
人間が便利さや快適さを求めて来た結果、生き物いっぱいの自然が喪失してい
ることが心配になります。
                      byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1150                     2014.7.21
 今年は季節が早く進んでいる気がします。例年ですと7月いっぱいは続いていた
トマトが終わりになってしまい、トウモロコシも7月上旬で終わってしまいました。何
ででしょう?田んぼの稲も心なしか早めのような気がします。私のムラの一部で
は、早生の稲が10日頃には穂を出し始めていたのも見かけました。
 私のトウモロコシは約千本植えたのですが、これはハクビシンに食害され、メイ
チュウに食害されほぼ全滅でした。ハクビシンの害はあちこちに出始め、自家用の
トウモロコシを作っている人達もほとんどが食べられなかった!と嘆いています。
 我が家も、ミニトマトや自家用スイカなどが食害され、対策として電気を張り巡ら
せました。感電させて撃退しよう!と。獣害が頻発するようになっています。昨年は、
落花生畑にイノシシがでて畑中転げ回られ作物はぐちゃぐちゃになって、収量は
8割減でした。
 昨年の26号台風は市内で100カ所以上の落盤土砂災害がありましたが、今年の
8号台風も日本列島を縦断し、かってない気象が続いています。
 気象の変化が作物や自然環境の変化となって表れ、かって保たれていた自然生
態系がバランスを崩し、人間社会の営みを攪乱しているのではないか、と思える現
象が気になります。 無農薬栽培や有機、自然栽培をする人達は、里山や自然環
境の守ろうと取り組んでいますが、情報交換する中で見えてきたことは、これらが
全国的な傾向だと言うことです。山間地だけの問題ではないのです。
 話変わって昨日は台湾から来ていた学生がウーフを終え東京へ向かいましたが、
お昼にはイタリアから二人の学生が到着しました。台湾から来た二人の内一人は
30代の小学校の先生です。もう一人が21才の大学生でした。
 台湾の学校は7月から8月と2ヶ月夏休みで、その休暇を利用しての日本滞在です。
フランスからも学校の先生が来たことがありますが、こちらはもっと長期で、1年の
休暇を取って世界巡りでした。カナダ、オーストラリア、日本、中国をビザの都合に
合わせて回るのです。
 「学校の先生が1年の休暇を取って大丈夫なのか?」と聞くと「復職できるから問題
ありません」と。この国では無理でしょう。組織に縛られる国と、人間を大事にする国
の違いをしみじみ思います。大言壮語するこの国のリーダーたち、強がりばかりを
強調し、福島原発大事故の始末もできずに平気で話題にもしなくなるマスコミ。地球
市民としてこれでいいのか、と思います。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1149                     2014.7.14
 この季節我が家の田や畑が大変なことになっています。田んぼも畑も草だらけの
様相です。果たして退治できるのかと言ったところです。面積は6ヘクタール余、圃
場の数は50余あるのですが、一部の草取りをしても他が背丈1メートル近いところ
も現れて来ました。
 ナスやトマトの収穫も毎日やらねばならず手が回らないという現状です。先週も
書きましたがあちこち出かけたりしている場合ではないのです。天気もあって、雨が
降ると畑に入れず、やることがあちこちにいっぱいあって頭の中はゴチャゴチャで
す。今、連れ合いが、植えたばかりのネギ畑が、草に埋もれてしまうと小型のモア
(草刈り機)で草刈りしています。機械力を使わないと間に合わないのですが、土の
状態が泥状態ですとは入れません。もぐってしまうのです。
 そんな中、昨日はソーラー発電の点検にと設置した皆さんが突然現れました。設
置して2年になりますので見てもらいました。昨年秋増設したのですがどうも設置し
た分の発電が少ない感じがしていたのです。今の機械は優秀で、過去の記録がメ
モリーされているのです。で、調べたら1機がほとんど発電していないことが分かっ
たのです。
 その原因は、なんとスイッチオンしてなかった、と言うものです。少ないのは当然
だったのです。3kWの能力分がオフ状態だったのですから。点検メンバーは恐縮し
て大変申し訳ありません、と言ってましたがともかく原因が分かっただけで結構、と
納得の点検でした。
 点検が続く中、連れ合いがトウモロコシを取りに行ったり、ハクビシンに襲われ始
めたスイカなど切って、点検を終わった皆さんとみんなで食べました。エネルギー
の自給の話しに話しが弾み、ソーラーも大切ですが、廃食用油をBDF化してデイー
ゼルエンジンの燃料にすることや、糞尿によるメタンガスで調理やお風呂の燃料に
することなど、化石燃料の頼らない道を、自前でできることを少しづつでも進めるこ
とが、現代的課題ではないのか、など。
 しかし、人類はその欲望と利便さの追求のためにエネルギーを使いすぎているこ
とが基本的問題ではないのか、「そこが一番の問題だよなあ!」と私も思います。
地球大自然のおかげで生かされている人間なのですから、大地自然に寄り添いな
がら生きることが大切なのではないか、ということでした。とはいうものの今はその
自然の生命力=雑草が驚異です。 
                    byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1148                     2014.7.7
 縁あって昨日「しろい環境塾」で「森の中でピザを焼こう&自然浴ヨガ」に参加
してきました。会場となったしろい環境塾は、退職された皆さんが中心になって
市内の有志が集まって活動してきたNPO法人です。
 「しろい環境塾」は、市内に住む皆さんがあちこちにあるゴミの山を何とかでき
ないか、と言うことからボランティアで始まったそうです。そして、地域を見渡せ
ば人が入らない里山の荒廃ぶりも目につき、里山の下刈りや伐採などもして
環境保全活動も始まりました。減反や農業後継者のいなくなる中、荒れ果てて
いる田んぼや畑も開墾、整備復活して農作業も始まっています。
 ごく一部ですが見学させていただきましたが、よく整備されている姿が見事で
した。現在登録メンバーは100人を超していると言うことですが、水田班や里山
班など毎日のように段取りして活動されている姿はただただ感心するばかり
でした。里山だけでなく環境全般に取り組むことで、環境塾としたと聞きました。
 その活動の中で、繁茂する竹伐りがあります。でも切ったはいいもののその
後の始末をどうするか。炭窯をつくり炭にしてしいます。
 炭は微生物にとって最高の住みかです。微生物の活躍によって畑や田んぼ
の土が豊かになります。最近の研究では、炭は空中の炭素を固定し、地球温
暖化の防止地球温暖化の防止にも役立つというのです。
 地域の山林や里山の整備をしながら炭を焼き、その炭を畑にかえし土を生き
物豊かな地にすると言うサイクルで回してゆけば、里山にとっても農業にとって
もそれを食べる人にとってもとてもいいことではないか、と言う大きな循環の輪
を作ろうという試みです。
 人間が自然から離れ、自然環境、住環境があれてゆくのを見てはいられない、
と言う活動をしているしろい環境塾の皆さん。ボランティアから地域の守り手とし
て実にさわやかな人達でした。
 参加者は、地元千葉県内の人達やら東京方来られた方もいました。家族連れ
が大半で、夫婦子供たちが元気に遊び、私たちは、トマトやキュウリ、ジャガイモ
を持って参加。地元の有機農家の自家小麦粉を使って野菜を盛りつけ、ピザを
焼いての食事会、そして自然ヨガ体験。
 ということで、塾の皆さん、生産農家、そして食べる家族の皆さんが集まっての
ゆったりとした時間と空間でした。
                     おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1147                     2014.7.1
 山形県に行ってきました。今は高速道路網が進み、1泊2日で山形まで行って
来られる時代になりました。良いことなのかどうか疑問が残りますが、便利にはな
りました。社会福祉協議会の研修旅行という名のもと鶴岡市まで行ってきたので
す。鶴岡市と言えば藤沢周平の生まれたところですが、私の思いは空振りで記念
館前を通り過ぎるだけでした。
 バス旅行は、窓外を見るだけで満足です。山にはどんな木が生えているのか、
急峻な地形の中で育つ木々の生命力、川の流れや田んぼや畑がどうなっている
のか。人が大いなる自然と折り合いをつけてきた姿がそこにはあります。文明が
人間の便利さ、快適さを求めてきた側面と自然の理を犯してきた側面が今後どう
影響するのか、その揺り返しがやがてどういう結果を生むのか、気になります。
 今回の旅で感じたことは急峻な地形が日本の緑豊かな姿を残してきたのでは
ないか、と言うことです。黄河流域地帯はかって緑豊かだった、カンボジアもかっ
ては密林地帯の豊かな緑地帯でしたが、今は広大な黄土地帯になってしまい、
流れのない黄河になってしまっています。カンボジアも今は緑少ないぱらぱらと
木々がある草原となって、空から見ると日本の方がはるかに緑豊かです。
 人間は水と空気、そして食べ物、重力など人間の意志を超えた地球の生命力
によって生かされています。30数年前のことですが、地球の酸素供給源の4割
がブラジルをはじめとする南米の密林のおかげだと聞いたことがあります。だと
すると密林を切り開いて大豆を作るなどという大規模プロジェクトは良いのか悪
いのか分からなくなります。
 日本が緑豊かな景観を残していることは、酸素はもちろんのこと水を蓄え不断
に供給できる自然環境があると言うことです。この国のここ50年を思うと自然環
境をどれだけ損なってきたか、と言う歴史でもあります。もし平地だったらカンボ
ジアや黄河地帯のように荒涼とした世界になってしまっていたかも知れません。
そういう意味では急峻な地形であったことが、いわゆる開発を押しとどめた理由
なのかもしれません。
 太平洋側から日本海側に至る道路の周辺には田んぼや畑があり、自然に寄り
添うように集落があります。人間と自然がうまく折り合いをつけて生き続けてきた
姿がまだまだ残っています。TPPだの集団自衛権だの言う前にそうして生きて来
た先人の知恵や伝統・文化こそ守るべき時代なのではないか、と感じた旅でした。
                      byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1146                     2014.6.23
 田んぼや畑が忙しくなってきています。田んぼの稲は夏の日差しを浴びてぐん
ぐんと成長し、植えたときは2..3本だったものが分けつして10本15本と増え続けて
います。私の田んぼは遅い種まきなのでちょうどいい感じなのですが、慣行栽培
の稲は、30本40本となって増えすぎの様相です。
 で、増えすぎないように中干しと言って水を切り、「もうこれ以上増えるな!」と
いった感じで生育調整を始めているのです。そうして7月の上旬近くまで水を切る
ことによって生育を押さえるという栽培がムラの主流です。
 私の稲は、種まきも植え付けも遅いのでもう少し水がほしいのですが、水利施
設は地域みんなの都合でポンプを動かすので、私の栽培と合わないのです。田
んぼの水が抜けて地肌が見えるようになると心配で管理の人に頼んでポンプを
かけてもらっています。
 それでも私の田んぼだけのためにポンプをかけるというのは少々気が引けま
す。連れ合いは「ポンプをかけてもらえばいいじゃない」というのですが、なかなか
頼みにくいのです。で、知らんふりしての我慢が続いています。雨頼みです。
 畑は、麦刈り、菜種の収穫が終え今ハウスで乾燥中です。小麦は自家用程度の
つもりが今年はいっぱいとれてどうしたものかという量になっています。菜種は仲間
と共同作業なのですが、今年は昨年より不作の感じです。これで搾油したらどれ
くらいになるか、後は結果待ち!
 夏野菜のキュウリやトマト、そしてナスな採れ始めています。娘が急遽「お父さん
!採れなくなって来たよ。動物に食害されているよ。」見たらどうもハクビシンのよ
うです。ハクビシンは、食べかす=トマトのへたや皮を畑にはき出して捨ててある
のです。まるで人間の食べかすのようです。
 早速トマト周りの草を退治して、電柵をめぐらしました。感電させて追い払おう!
と言う作戦です。今年は大丈夫かと思っていたのですが、甘かったです。聞くとこ
ろによるとハクビシンが増えているというのです。困ったものです。
 ナス、キュウリ、トマト、そしてトウモロコシやピーマンなど夏野菜が順次出始め
ています。夏野菜は天候がよいとぐんぐん生長しますので毎日の収穫が欠かせ
ません。忙しい日が続きます。一方で雑草もたくさん!成長を始めています。生
育競争を続けていますので、あっちへ行ったりそっちへ行ったり、収穫と草取り、
管理のてんてこ舞いの夏です。
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1145                     2014.6.16
 いま、おかげさま農場の直売所「かざぐるま」で感謝セールをしています。かざぐ
るまは無農薬自然栽培の野菜だけ置いてあります。小さなお店ですがお客さんは
遠くから来る人も多く店長さんが時々は感謝セールとしてやりましょう!との提案
を受けて14日から1週間の予定で始まりました。
 ちょうど夏野菜の出始めで、トマトやなす、キュウリ、トウモロコシ、ピーマンなど
夏野菜が揃い始めています。お近くの方は是非お出でになって感想をお寄せくだ
さい。「食は命」を標榜して25年。食が見かけはきれいになってきましたが、どうも
中身が変わって来ているように思えてなりません。 
 人も自然界の一員です。福岡ハカセの「動的平衡」を読むといっそう命が地球自然
と繋がっていることを認識させられます。福岡ハカセは分子生物学という難しい学問
の専門家のようですが素人にもわかりやすい形で「いのち」のありようを教えてくれ
ます。
 現在の農作物の栽培が、効率と人の側からの科学的マニアル?で近代農業が構
築されていることに一抹の不安を持っている者として、とても頷ける内容なのです。
基準値なので大丈夫というのが国や推進者の言い分ですが、生物的に見ればそれ
は、ストレスであり仮に排泄されるにしても、本来自然の存在しなかった(経験のない)
ものを体に入れることは過負担となって生体に影響を及ぼすと。
 かって山下惣一さんを思い出します。彼は、「私は農薬の安全性を信用していな
い」、と言っていたのですが、それはこれまでの農薬の歴史を見ればわかる。 全て
の農薬は安全だ、から始まる。だが過去の農薬の歴史を見れば10年から20年でそ
のほとんどが有害となって販売禁止、製造禁止となってきたことを思えばそうだろう、
と。そして、日本で禁止になった農薬を中国やアジア売り歩き、その農薬をかけた輸入
中国野菜が禁止農薬を使っていると騒ぐマスコミ。
 ともあれ人間も自然生態系の一員から逃れることは出来ない存在なのです。そして
いのちの不思議は、自分の意志で誕生することも出来ないし、自分がいつ死ぬかも
分からない。全ては天の思し召し。
 私達の命は60兆の細胞に生かされている生き物です。私達の意志で60兆の細胞
を作ったのではないし、頼んで心臓を動かし息をしているわけでもなし、体温36度を
調整しているのは私達の意志以外の生命力と言うしかないものに生かされているの
です。ということで極力自然の力で育ったものを食べましょう。
                      byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1144                     2014.6.9
 昨日と言うより昨晩のことでしたが、フランスの学生が2人ウーフに来ました。そ
れが空港内で行き違い、2時間もかけてお互い探し回って逢うことが出来たという
トラブルのようなそうでないような時間でした。
 羽田に着いてリムジンバスで成田空港に着いたと言うので迎えに行ったのです
。電話では、インフォメーション近くで待っているというので行ったのですが、私の
方は到着ロビー(1階)を1時間近く探せどもいない。彼らが持っている電話は国際
電話なので、こちらからはかけても通じない。かかってくるのを待つしかない。もし
かしたら、第2ターミナルではなくて第一ターミナルかも知れないと行って見たので
すがさすが10時過ぎると人もまばらの空港となって探しやすいかなと思ったので
すが、それらしい姿は見えずうろうろするばかりでした。
 9時に到着したと言うのに10時半過ぎても会えません。で、ついに電話があり、
彼らは出発ロビー(3階)にいたという。1階と3階でお互い探し回っていたという行
き違いだったのでした。
 我が家に到着したのが夜11時で、UKのウーハー2人とようやく合流して顔合わ
せし、ともあれ到着したことにほっとしてビールで乾杯!の夜でした。
 そして今日は早速農作業の始まりなのですが、4人のウーハーは日本語が挨拶
程度なので仕事の話は通じません。娘を呼んで、「あなたが担当だから何とか説明
して仕事して!」と今預けてきました。
 キュウリの誘因作業とゴーヤのネット張りの仕事です。娘も結局はよく分かってな
いので私が手順を教えて、娘が通訳して、やって見せてようやく手が離せてこの産
地の声を書いています。
 言葉が通じないというのは不自由なものです。意志が通じない、説明が出来ない。
でもやる気は十分あるのにです。娘には日本語の通じる相手を選べ、と言ってるの
ですが時としてこういうことがおきます。しかも4人もいるのですから私にとってはお
手上げ状態で、どうなるのか、、、と思ってます。
 畑の方は、麦がこんがり?と刈り取り期に入っています。きれいな黄金色になって
いるのですが、過ぎると色があせてきてきます。雨が問題ですが、晴れ間をぬって
コンバイン収穫をしなければなりません。これらはウーハーでは出来ません。連れ
合いとコンビでやらないと出来ないでしょう。いろいろあって焦っています。人はいる
のに仕事がはかどらないという矛盾をさばきつつ。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1143                     2014.6.2
 アレルギーの元になる表示がされていなかったとニュースになっていました。それ
は大豆を原材料に使用していたのに表示してなかったというものです。大豆に限ら
ず最近はアレルギー物質がどんどん増えてきています。
 近年先進国ではアレルギー、アトピーが急増しています。アレルゲンの元になる
特定原材料として卵,乳,小麦,そば,落花生,えび,かにの7種、これらは症例が
多くかつ重篤な病状になったもの。これらは表示義務があるものです。
 準ずるものとしてあわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、
さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
など、表示するよう推奨されています。(東京都)
 これらに最近は、ゴマやお米までアレルギー発症すると聞きます。だとすると食べ
るものがなくなってしまうのではないか、と思ってしまいます。近年の科学はアレル
ギー原因物質までは分かってきたようですが、過去数百年問題がなかったものが、
何故近年になってアレルギーが発生するようになったのでしょうか。
 アレルゲンが分かったとしてもそれで問題の本質にせまったとは言えません。人
類が地球的規模で食べ続けてきたもので、そのもので生かされてきた人の命に異変
が起こっていると考えると食べ物そのものが変質してきているのではないか、と言っ
た問題提起があっていいと思うのですがどんなものでしょうか。
 21世紀も人間は動物である、という小沢徳太郎さんのメッセージが思い出されま
す。人間も自然界の一員。自然生態系の食物連鎖の系の中に私達の命がありま
す。その自然の摂理を学ぶことから一気に飛躍して科学という人間の都合による食
料生産が近代農法と呼ばれる効率主義、グローバル化が進行しています。その歪
みとしての現象ではないか、と邪推するのです。
 例えば人参を作るとして我々の場合は堆肥や有機質資材を投入、連作を避けて
栽培します。ところが効率よい作物作りと称して同じ場所に作り続け、堆肥などは
やってはいけないと指導される、と聞きました。堆肥が病気の元だからやってはい
けない。土壌をきれいにするため畑を毒ガスで殺菌しその上で種まきする、そして
病気や害虫退治のための農薬での防除を徹底させる、というものです。
 栽培のために農薬肥料が、輸送のためのポストハーベスト処理に、食品加工の
保存旨味に各種添加物がと言った形で化学物質が私達の生命体に入り込んでい
ます。食物連鎖の系=生命体に自然界に存在しなかった物質が入り込んでいます。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1142                     2014.5.26
 田植えがようやく終わりましたが、連れ合いは毎朝田植えの補植をしてまわって
います。機械で植え付けられなかった場所が点々と出来、そこは人間が入って植
えるしかありません。私は、そのままで言い、と言うのですが田んぼどころで育った
連れ合いには合点がいかないようです。
 毎日の水見回りも続いていますが、先週に続いて土日はイベント行事でした。24
日は「食と命の教室」第4回の日でした。今回のテーマは食養生。食は巷にあふれ
かえるほど出回っていますが、一方で千万トンを超えて捨てられるこの国の食の
現状、そしてそうでありながら食材の質が大きく変わってきていることが知らされて
いないことなど話しました。
 食用油の現状に危機感を持って自作するようになった話しをして、みんなでひま
わりの種まきをしました。そして滋養に良いとされるゴマの種まきもしました。ゴマの
自給率0.1%。だから作っているのではなく、我が家では伝統的に自分の食べる分
は作り続けています。
 昼食は、自前の味噌、菜種油を使っての料理、お茶うけの揚げ菓子はとても喜ば
れました。レタスや里芋、エンドウ豆、新物のキュウリなどと白米、玄米ご飯と味噌
汁と、ここで採れた材料だけを使った連れ合いの手料理でした。
 座学では、参加者のガンになった快癒した経験など語ってもらいました。自分の命
が何処から来るのか。健康は医者に頼るのではなく、自分で養生することは本来の
姿であったし、それを超えたところでお医者さんがあるのではないか。と、我が家の
自前の養生の仕方や漢方剤となるゲンノショウコや人参ジュースなどの現物を見て
もらったりしました。
 25日はお寺さんの春の草刈りでした。菩提寺の手入れをする日です。檀家が少な
いお寺さんなのでみんなで盛り上げてゆかないと、と総代会議で決めて始まったの
です。単にお掃除や手入れだけでなく檀家同士の交流の場でもあります。
 今日は、娘婿が来て忙しいからと手伝いに来てくれました。サニーレタスやサヤエ
ンドウ、長ネギの収穫、荷作り。そしてまだ終わらない田植えの補植。モロヘイヤの
植え付けなどが待っています。あちこちの田んぼ畑の草も繁茂成長しています。
 寺尾聰主演のの「阿弥陀堂だより」に出てくるおばあさんが、長生きの秘訣を聞か
れて「ただ目の前の仕事を次々としてきただけ・・」と言うセリフが思い出されます。
                 byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1141                     2014.5.19
 まだ田植えが終わりません。終わりに近づいているのですが、最後になって田植
機が深みにはまりトラクターでワイヤーを使っての引き上げです。人間の力などで
は深みにはまった田植機はびくとも動きません。引き上げるとそこに大きな田植機
の車輪の溝が出来てしまいます。それを手で均すのですが、これが結構な力仕事
なのです。
 そんな深みにはまること5回!田んぼの状況がよければとっくに終わるはずだっ
たのですが、再度田んぼへと田植えに行かねばなりません。
 そんな時というのに一方で手植えの田植えイベントを計画してあったので、一時
私の田植えは中止です。みんなで30人ほどが参加しての手植え体験でした。 ふ
だん土にふれることのない生活をしている人達ですのでどうかと思ったのですが、
結構楽しんで3枚の田んぼを植えきりました。そして、我が家とみつばち農場の野
菜を使ってのお昼ご飯を田んぼの真ん中で昼食です。東京や埼玉、地元千葉か
らなど女性が8割ほどの参加でした。
 一人一人に話しをしてもらったのですが、食べ物や環境に関心があっての参加
です。子供が生まれ食べ物の元がどのように育ち自分の口に入るのか、そういうこ
とを教えられないようではいけないと思って、と言うお母さん方の参加もありました。
 続いて昨日は千葉公園でのワインバルというイベントに参加してきました。野菜を
出店し、The空でのライブ演奏も加わっての1日でした。幸い天気もよく、公園内では
ワインというお酒が日本各地から集めての飲み会の様相でしたので野菜はいつも
より捌けず、残ってしまいました。私達のブースだけでなく、野菜グループは何処も
そうだったようです。ラーメンや焼き鳥など食べ物のブースの方が遥かに盛況で、
どこも売り切れが続いていたのでした。ですが、ライブの方は酔っ払いながらも楽
しく唄うことが出来ました。
 18日は千葉でもいろいろなイベントが行われていたようです。仲間内では東京に
行く人もいました。初夏の天気のよい日ですからあちこちで人混みが生まれて人間
活動も活発になるようです。
 田植えがあるのですが、今連れ合いはゴーヤやオクラなど植え遅れている野菜
を植え付けしています。いろいろな仕事がみんな一緒になっててんやわんやです。
お手伝いがほしい!
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1140                     2014.5.12
 昨年収穫の芽の出たシワシワのジャガイモが美味しい!と。食と命の教室を始め
て2年目ですが、参加者におみやげ?で差し上げたら「とても美味しかった!」との
声をいただきました。そんなジャガイモをそれでも選んで出荷したらお店屋さんから
返品が来てしまいました。
 まあ知らずに見れば見てくれは悪いし仕方がないと思うのですが、評価は真反対
の評価です。おもしろいものだと思います。この辺の農家は(千葉の場合)6.7月
の収穫して縁の下などの日の当たらない風通しのよいところに置いて、一年かけて
食べ続けてきました。
 ジャガイモは時間がたつと芽が出ます。昔のことで言うと最初は、9月頃から芽が
出始め、取りやすい程度になったら芽掻きをしておきます。そうしても12月頃には
芽が出始め再度芽掻きをします。そうして冬を越し春になるとまた芽が出ます。それ
が自然の生理ですから当然なのですが、だんだん見かけが悪くなってきます。
 ですが、冬を越した芽の出るようなジャガイモは本当に美味しくなるのです。もち
ろん食べるときは皮をむいて芽を取り除いて食べるのですが見かけと違って美味し
さが増すのです。ほっておけば芽が出てしようがなくなるほどですが、、、。
 今は縁の下でなく冷蔵庫がありますので、春先までは何とか持つので管理は楽
になってきましたが、それでも3.4月ともなると冷蔵庫の中でも芽が出始めます。
表面にしわも出てきます。
 仲間と話すのですが、「見た目と形状保持を優先するために放射線や芽止め剤
を使って貯蔵するよりかは遥かに安心できると思うのですが、どんなものなのかな
あ」と。作っている私達はうまいうまいと食べているのですが、、、。
 ジャガイモの話を長々と書いてしまいました。自然のなせるワザを超えて評価す
ることはいかがなものか。また、農家は自分の安心できるものを、また美味しいも
のを届けたいと思っているのですが、それが難しい時代になってきたようです。
 自然のものが形や見栄えだけ優先の世相でいいのか。また、その中身を解ろう
としないでいいのか、そうした疑問を抱く事が多いのです。そんなことで、今回は、
ジャガイモが話題となって盛り上がったので書いてみました。
 3月に植えた今年のジャガイモも大きく育っています。あと1月ほどで新ジャガ
が出始めます。               byおかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1139                      2014.5.5
 昨日から始めた田植えですが、途中雨が降って来て中断中です。今日は2日目
で子供たちの応援もあって一気に植えようと思っていたのですが、ままならないも
のです。私の田植えは紙マルチで植えていますので、雨が降ると具合が悪いの
です。紙マルチが濡れてしまうと破けてしまいます。そうなるとちゃんと植え付けが
出来ないのです。
 周囲の田んぼは、ほぼ植え終わって根付いています。私の田んぼだけが取り残
されているかのように代田でいるので目立ちます。毎年のことですが私は私の農業
を引き継いだときと同じように5月の連休中を植え付け日にしているのですが、周囲
は年々早く植え付けるようになってきましたので、私が遅いと見られています。
 ムラの人には、「私が遅いのではなく皆さんが早くなったのではないの」と言うので
すが、苦笑されます。野菜にも旬があるように稲作にも旬があるように思うのです。
地方によってその時期は違ってくると思うのですが、それにしても早過ぎるように思
います。
 今日はこどもの日ですが、暦の季節では「立夏」となって今日から夏の季節となっ
ています。種苗店やホームセンターには、トマトやナス、キュウリの苗が所狭しと並
べられ、休日ともなると大変な人だかりです。
 店の人に聞くと、「家庭菜園の人が多いですね、大体が20本30本と買っていきます
から、」と言っていました。そんな季節に種苗店に行くと風体で分かるのか「プロの方
ですよね、どのような間隔で植えればいいんですか、植え方はどうすればいいので
すか?」などと尋ねられます。ドイツのクラインガルデンと呼ばれる家庭菜園のように
この国でも職業に関係なく畑を持つことがステータスになるといいと思うのです。
 土に親しみ、種を蒔き、命を育てる。私がミュンヘンに行って見たのは、その家庭菜
園の片隅の小さな小屋を建て、農具置き場でもありたまにはティータイムの場にした
りしているその姿がとても印象に残っています。
 自分で種を蒔き育てると野菜やお豆などに愛着がわきます。また食べているものが
どういうものなのか分かってくるようになります。商品としか見えなかったものが生き
物として、また虫や病気のことも理解が深まるし良い悪いの判断基準が違って見え
てくるように思います。皆さんも是非お試しあれ。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1138                      2014.4.28
 4月は農が忙しい時なのに、どういうわけかイベントがあります。自然の営みの
中で、花を咲かせ、新芽を出し一斉に命を躍動させる季節になったことを植物動
物だけでなく人間もその体の奥底から感ずるものを持っているのでしょう。
 1960年代の頃今頃は、農が忙しく、当地は農繁期休みというのがありました。休
みと行っても学校が休みなのであって、子どもが休みというわけではなく農作業
の手伝いをするための「農繁期休み」なのでした。学校が休みという楽しみ半分
と、仕事を手伝うと言う辛さの入り交じった休みでしたが、よい経験だったと思い
ます。今となってみれば生きた教育だったし、親や大人の仕事というものがどう
いうものだったか体験を通して教えてくれたように思います。
 そんな4月のイベント続きがあることを私は、なんでこんな時にとずっと思って
来たのでした。そう思いながら13日は「食と命の教室」を自家で20日は「農と地域
活性化のシンポジウム」を千葉大で、26日は「コメ展」で鼎談を東京ミッドタウン
でと3週続きで出かけてしまいました。
 そこで語ってきたことは、人は食べなければ生きていけない、農や地方が衰退
する現状をどう打開するか、WTOやTPPと言う国際グローバル化によって日本
文化が消滅してしまうのではないか、一度立ち止まって考えよう、と言うことが主
題であったように思います。
 40数年前に教えてもらったこと、職業に貴賎はないが、産業には価値を生産
するものと生産しないものがある。観光産業は金が儲かっても虚業である。太陽
エネルギーと水と炭酸ガスを利用して無から有を生産する産業は農業だけであ
る、と。今考えても持続的循環する産業は農業しかないなあ、と思います。
 今でも世界的に評価されている自然農業の福岡正信さんが言うには、人一人
が1年生きるのに必要な面積は、穀物中心で200㎡、ジャガイモだと600㎡、牛肉
で生きるとなると10,000㎡必要だという。1億人が生きるために1億ヘクタール必要
という事になってしまいます。日本は500万ヘクタールしか農地がありませんから
500万人しか生きられない事になってしまいます。
 何を書いているのか分からなくなって来ましたが、いろいろな話し合いをしてき
たので頭が混乱しているようです。ともあれ、私達が生きることとはどういうことな
のか、私達の生存基盤が危うくなってきていることだけは間違いなさそうです。
お金ではない、生命のレベルの話しです。 これから田起こしです!
                        おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1137                      2014.4.21
 今、トウモロコシを植えています。おかげさま農場の仲間で早い人は3月上旬に
は種まきします。遅いとメイチュウという虫がとりつき虫食いだらけになります。そ
れを避けるために時期をずらして作付けするのです。
 私の種まきは4月ですので虫食いの危険性がずっと高まります。昨年はほぼ全
滅。売り物は無かったのですが、自分で食べる分には多少虫食いであろうがかま
いません。誰が作ったって旬につくれば虫食いです。
 あえて虫の側から見ると、地球の長い歴史の営みの中で学習したというか、その
季節だからこそ(餌がある)成虫となって卵を産み付けられる事をしっているのでし
ょう。そして種の保存のため次の世代につなげています。
 それが人間にとっては不都合なことです。さあ食べられるぞ、と言うときに大発生
するのですから、たまったものでありません。そこで、その虫を退治しようと殺虫剤
の登場となるのです。虫退治の研究が進みますが、それは進化?して今は、浸
透性殺虫剤が普及しています。作物に殺虫成分を浸透させ、食べれば虫が死ぬ、
と言うものです。
 見た目はきれいなトウモロコシが出来ますが、いかがなものか、と考えるのです。
浸透性と言うことは、その殺虫成分をも人間が食べると言うことです。開発会社や
国は、人間には問題ないとしていますが、私はそうまでして食べたくないので、敢え
て虫食いでもいいか、と思って作っています。
 キャベツやレタスなど背の低い野菜は、防虫ネットをかけられますが、トウモロコ
シは上に伸びる(1.5m~2m)ので防虫ネットは出来ません。風雨に耐えられな
いのです。
 そうして無農薬で仲間は作っていますが、仕掛けが大変です。虫はよけられます
が、まだ寒い季節に種まきするので、マルチングをしたりトンネルをかけたり2重3
重の防寒対策を取らねばなりません。そしてだんだん季節は暖かくなってきますが、
そうなると今度は太陽光線も強くなってきますので気温が上がりすぎないように換気
をして焼けないようにしなければなりません。
 そうやってようやく出来たトウモロコシがお客さんに「美味しい!」と言ってくれた時
はとても嬉しいものです。でも時々、そうやって手をかけ資材をかけてつくったもの
も食べる時は、数分です。その数分の感動ために数ヶ月かけて農業なのかなあ、
などと思うトウモロコシ植えでした。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1135                      2014.4.7
 4月に入り、私の家では5日に稲の種まきをしました。この地域としては遅い方
です。大体の人が3月中に種まきをしています。親戚の種まきとフクシマから避
難してきたTさんの分と3軒分の種まきです。
 みんなで12人が集まり手分けしての種まきです。種まき機を設置して、箱を入
れる人、機械の管理をする人、蒔いた箱を取る人、運ぶ人、並べる人とけっこう
な人数が必要です。今は大規模化して1万枚も種まきする人もいると聞きますが
どうやってやるのか想像がつきません。我が家は千枚位であわてているのに。
それでもみんなでワイワイと楽しくやろう!と語っています。
 一方、カボチャやキュウリの種まきが始まっています。トマトの移植も終え一日
一日育っていくのが分かります。種まきはトロ箱と行って狭いところに一杯蒔きま
すが、それをポットに移植するのです。より大きな場所に移ってトマトも気持ちが
いいのでしょう。狭苦しいところから広い場所に移って葉を一杯広げて元気が出
ているかのようです。
 イギリスから来た青年が全部植えてくれました。少々心配したのですが1本も
枯れずに全部活着しました。
 そんな忙しいところですが、4月という月は行事が多い。お寺の総代もしている
ので、お寺に行ったり、村の会議に出たりお客さんも来たりで半分は野良仕事が
できないでいます。
 長期予報を見ながら段取りをするのですが、中々予定通りというわけにはいき
ません。予定を立てていたときに雨が降り、雨が上がって今日は仕事になるなと
思ったときは、客さんが来る日だったりして皮肉なものです。
 今朝は、新規就農の娘さんと青年が2人来て「種まきに来ました!」と。私は「今
日やろう!」といったことをすっかり忘れていて、お寺に行くことと会議が一つある
こと、この産地の声を届ける日だったこともあって、大慌てでした。お寺は連れあ
いにまかせ、急遽種まきをしました。というのも手植えの田んぼをしてお客さんと
稲作りをしたいということになると手植えようの種まきをした方がいい、ということに
なっていたのでした。
 何とか種まきをして、みんなで「手植え体験をしよう」というイベントを応援してい
るのです。少しでも食べることはどういうことなのか、育つと言うことはどういうこと
なのか体験を通して知ることは大切なことだと思うのです。
                     おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1136                      2014.4.14
 1週間前に蒔いた種籾が一斉に発芽し、緑の絨毯になってきました。この間、
肌寒い天候だった事もありましたが、天候がよくハウス内の気温が十分取れた
からでしょう。一部被覆が不十分なところがありちょっとで送れているところもあ
りますが、まあまあの生育状況です。
 村内の水田では代掻きが進み今にも田植えが始まる気配です。今朝来た友
人によると、隣村では「もう終わりになる人もいる」と聞きました。私はそれからす
るとずっと遅れ、5月の連休当たりが田植えとなりそうです。
 昨日は、今年3回目の食と命の教室でした。総勢が20名近くとなって会場の心
配をするほどになってなかなかの盛り上がりでした。午前中に「種の話」の座学
をし、昼食。昼食は我が家の食材だけです。玄米おにぎりと精白米のおにぎりを
食べ比べして、きんぴらゴボウ、里芋の煮転がし、大豆の煮豆、ホウレン草に鰹
節、レタスとハーブにひまわり油と使ったドレッシングまど。どういうわけかお昼
ご飯が目当ての方もいるようです。自分としてはいつもと変わりないような食事で
すが珍しいのでしょうか。
 午後は枝豆の種まきをみんなでやり、旬だからとタケノコ刈りをしました。最初
我が家の竹山に入って見たのですが 、まったく見つからずです。
 で、親戚に電話して孟宗竹の竹林へ移動探したら、ありました。みんなでワイワ
イと掘り取って人数分を掘ることが出来ました。我が家の竹林はマダケでしたの
で、親戚のおばさん曰く「マダケは1ヶ月も先でないと出ないでないか?」と言わ
れその通りと合点したのでした。おばさんに感謝!です。
 現場を終え、再びまとめの座学、種の変遷について少々話し、解散という頃に
なって、自前のお酒を飲むか?と聞いたらバスで帰るので「飲みます!いただき
ます!」と言うことで、無農薬米でつくったお酒を少しね、と言いながら始めたの
ですが、だんだん盛り上がってしまって、都合のつく方は時間の許す限り、となっ
てなんと10時過ぎまでの飲み会になってしまいました。
 ふだん本音で話すことが中々出来ないのでと言ったことから各自の想いや悩
み?など喧々諤々。たまにはいいかと思った懇親会もようでした。
 明日は、2回目の種まきです。今朝はモミ種を水から上げました。種まきには
少々乾燥させないと機械蒔きの中を平らに蒔けないのです。育苗箱を並べるハ
ウスも片付けをして整地しなければなりません。いよいよいざ田んぼです。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1134                     2014.3.31
 サクラの花が咲き始めました。昨日は、新規就農者の娘さんとワーカーズでハチ
ミツを採蜜している青年の結婚披露宴で隣町である神崎町に行ったのですが、会
場のある体育館のサクラが咲き始めていたのです。サクラは日本の桜です。当た
り前のことですがそれでもこころが癒されます。
 娘さんは、一人もくもくと自然農の道を歩いていたのですが、ちょっとした出会い
が二人を結びつけたようです。今年の正月にバンドメンバーが知り合いで、宴席を
盛り上げるために参加してほしいとなって、招待されたのです。
 ウーフに来ていたアメリカの娘さん、イギリスの青年も紛れ込んで一緒にご相伴
させていただきました。会場が体育館で、飲食は地元自然塾の皆さんの手作りの料
理で、総べて手作りの結婚披露宴です。千葉県最小の町で半月前には「蔵祭り」で
5万人も集まって各種イベントをしたばかりです。小さな町ですけど元気一杯、町長
さんも出席しお祝いしてくれました。
 合併劇が繰り広げられた近年でしたが、小さな町で市民がみんなが協力し合って
いる姿を見ると、大きくなることより小さな方が一人一人が大事にされる社会になる
ような気がします。
 そして今日は、昨日の雨模様がすっかり晴れ上がり、太陽がさんさんと降り注い
でいます。育苗ハウスのトマトが本葉をだしサニーレタスが芽を出して元気な姿を見
せてくれています。
 田んぼも植え付け準備のための排水路の泥上げが終わり、畦塗りや田起こし、種
まきの仕事が待っています。同時に畑の夏野菜の種まきもしなければなりません。
仕事に追われる中、入ってくる情報は、先の見えないことばかりがおおい。 アベノミ
クス効果などと報道されていますが、「お米も値段も下がっている。これでTPPやW
TOの進展?があったら農村は壊滅的だな!」「今でも後継者がいないのに」「村を
見渡すと、子どもがいないよね」「農家だけの問題ではなくて、地方と言われるところ
で、大人から子どもまでが減少し衰退の一途をたどっているよね」「多国籍企業やお
金を持っている人達だけの経済効果であって我々には関係ない。4月には消費税も
さることながら円安の影響で資材の値上がりが待っていてダブルでショックだね」と
いった声です。
 そんな中でのご縁が実を結んでの披露宴でした。そこにはみんなで支え合おうと
いう仲間、地域の人達があり、一筋の光を見た想いでした。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1133                     2014.3.24
 皆さんのお彼岸はいかがだったでしょうか。我が家のお彼岸の中日は、お参りに
来るお客さんを待つ日です。家族でお墓参りをして、一日中家にいて来客の接待
です。我が家からお嫁に行ったおばさん達、兄妹、親戚が来ます。母が亡くなって
3年目と言うこともあって朝から晩までお客さんが途切れずいました。
 伯父さんが亡くなったこともあって、中日でない日にはこちらからお彼岸のお参り
に行きました。行ったり来たりですが、その間日頃のご無沙汰もあって、近況を語
りあう時間でもあります。
 ここ4.50年は、本当に激動の時代だったと思います。高度成長によって生活環
境ががらりと変わり、私の親族をみても世界中に散らばって活躍?していました。
伯父さんや従兄弟達は、オーストラリアやアメリカドイツ、そしてフランスや香港、
イギリスなどの駐在員として出かけていたし、そのうちの一人の従兄弟はアメリカ
人と結婚しアメリカ人になってしまっています。
 そうした縁のある人達の動向も、お彼岸という日があることによって知ることが出
来ます。
 3月はスペインとアメリカから娘さんが来ていましたが、日本大好きと言うことで
す。先日帰った25才のスペインの娘さんは、「もう一度来る。そして日本で自然農
をしたい!」と言っていましたが、ビーガンで一切の動物食は食べません。「卵や
牛乳位はいいんでない?」と言っても口にしません。
 我が家は、もともとベジタリアン風の食事ですし、野菜のお米もあるから食には
困らなかったのですが、だからこそ自然農をして日本で暮らしたい、と言うのです。
無理せずよく考えて!と話すのですが、なかなか引かないところがあります。「また
来るからね」と帰って行きました。
 昨日は、今年最初の種まきの手伝いでした。長いつきあいの友人がガンでなくな
ったのですが、私のからだが続く限り種まきに行こうと思っています。彼の息子が
勤めをしながらなのですが田んぼをつくっているのです。
 種まきを終えて午後トラクターで田んぼの田起こしをしました。ムラの中ではあち
こちで田んぼの田起こしや畦塗り、畦草刈りなど景色が田んぼモードになって来
ています。
 周辺がそうなってきますと、こちらも田んぼモードになって来て、気持ちが落ち着
かなくなってきています。虫や雑草と同じように、私達もうごめきたくなるようです。
                  byおかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1132                     2014.3.17
 種籾が届きました。お米の種は業者さんから購入します。この国のお米作りは大
きくJA系統と業者系統という2通りのお米を取り扱う団体が主流となっています。私
の場合は業者系統から購入します。自分で種を取る自種採取という方法もあるの
ですが、購入した方が面倒がないのです。
 というのもお米を販売に出す場合、3点セットと呼ぶ表示問題があります。JAS法
という表示法があります。産地、年産、品種を表示できるのは種の出所が明示でき
ること、そして年産と産地は国の認定する検査をしたものに限られる、としているか
らです。簡単に言うと、種を購入し検査員に検査してもらって始めて、自分のお米
が、いつどこで何をつくったのか表示できると言うことです。
 めんどうな説明をしてしまいましたが、条件をクリアしないと自分のつくったお米を
コシヒカリですと言えないわけです。それも表示方法がやかましくて当農場の直売
所などにも監視員がまわってきてあれこれと指導?してくれています。稲作農家の
ことなどは心配してくれないで、管理監督だけはだけはしっかりするのが国の方針
なのですか?といったりするのですが、相手は「ほかでも言われました」などと言っ
て憚らない。字句の書き方とかいかにも些細に思えることまであれこれと指導しよう
とすることには閉口します。
 床土も届きました。種の準備、床土の準備、育苗箱、育苗ハウスの補修など、稲
作りの準備を準備進めていかねばならず、気せわしい季節です。来週は、友達の
種まきが予定されています。自分のは、遅いのですが。
 昨日は、神崎・蔵祭りに参加してきました。恒例になって来たお祭りです。隣の神
崎町に日本酒の造り酒屋が2軒あり、「発酵の町神崎」とPRにつとめ、実に人口6
千人の町に5万人という人が集まったというのです。当農場の出店と仲間とのTHE
空というバンドでのライブ演奏に参加しました。
 ご無沙汰していた人達とも何人も会うことができました。無農薬自然栽培の野菜
やお米、知恵を絞った食べ物、手工芸、お酒、伝統的草木染め、あるいは自給教室
などモノをつくることの楽しさや面白さ、何よりも活気が感じられていい勉強と刺激に
なりました。
 3月は野菜の端境期です。近隣の新規就農者も今の季節が一番しんどい、といって
いましたが、一方で今は、今年一年の作付けを準備する最も大事な時期です。季節
は待ってくれません。間に合うように準備、段取りに忙しい季節です。
                       おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1131                     2014.3.10
 季節はひな祭りも過ぎ、啓蟄の日(6日)も過ぎめっきり春らしい陽気になった
と思いきや、急な寒波が押し寄せてここ2.3日は肌寒い日が続いています。虫
たちも、「さあ俺たちの出番だ」と思っていたのでしょうがとんだ寒波でびっくり、
またもぐり込んでしまった感じです。
 昨年の暮れ、蜂蜜獲得のために養蜂の箱を設置したのですが、連れ合いが「
1匹箱の近くを飛んでいたよ!」というので行って見たら、まったくその形跡さえ
ありません。なにかほかの虫と見間違ったのでしょう。
 日本の養蜂家はほとんどが西洋ミツバチをやっていると聞きます。西洋ミツバ
チの方が効率がいいらしいのです。でも日本ミツバチというこの地に生き抜いて
きた蜂を残すためにも、日本ミツバチを、と挑戦しているのです。
 町内に2年前就農した若い娘さんが、自分の農場をミツバチ農場と名付けまし
た。なぜか、と聞くと、地球上の花を咲かせる植物にとって自家受粉したり風媒
花といったこともあるけど、ミツバチがその種を保存するために必要不可欠。今、
農薬過によってミツバチの大量死が世界中のあちこちで起きている。もしミツバチ
がいなくなったら地球上の植物の何割かが絶滅するかも知れない。ミツバチの大
切さの想いを込めて名付けたの!ということでした。
 私達人間は商品としてのお米や野菜、果物といった意識しかないように思えま
す。実は私達の生命は全て地球大自然のある生態系に依存しています。地球の
生態系の中で営まれる食物連鎖の系の一部分として人間の命が存続しています。
 先日ドイツ人が来ました。在日20数年という日本語ペラペラの50才を過ぎた方
だったのですが、「日本人は、食べ物を、美味しいとかグルメとかそんな認識ばか
り追っているようですね。もっと命だとか食物連鎖の系にいるということを考えなく
てはいけないんではないか、と思いますね」と語っていましたが。
 貿易だのTPPだのお金で物を解決する方向でしか考えが及ばないことが悲しい。
人間として生きることはどういうことなのか。犬やネコあるいは野生の動物の方が
ある意味、節度ある生き方をしているのではないか。より大きな利益のためにと土
を掘り返し、国土を自然の摂理を越えた改造を行って、食べ物も食べ放題そして
世界中から集めた食材を千九百万トンも捨てている状況はほめられたものでは
ありません。そして、こんな話を自由にできる日本人はきわめて少ないですね、
といったのが印象的で、今はそんな日本なのだろうなと思った時間でした。
                   おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1130                     2014.3.3
2月27日、28日から始まる「コメ展」の内覧会に家族で行ってきました。以下、
デレクターの一人竹村真一さんのメッセージです。
 「地球食」としてのコメの再発見
 毎年千倍に増える魔法。お茶碗一杯のご飯が約三千粒とすると、それはわず
か三粒から成った稔りということになります。しかもその元手は、光合成に必要
な光と水と空気(CO2)だけ。そんなありふれたものから、稲という宇宙器官は風
雨に耐えて、毎年こんな有り難い糧を私達にもたらす―。
 ”まったくのいきもの、全くの精巧な機械”という宮沢賢治のことばは、こうした
コメへのセンス・オブ・ワンダーを見事に表現しています。
 この豊かな稔りは、人と自然の共同作業の成果でもあります。約一万年前、
人類が原始的な稲作を始めた頃には一株に数十粒だった稔りが、今こうして
千倍に増える魔法となったのは、幾世代にもわたる人の努力の努力の賜であ
り、人間と植物の共進化の結果です。
 そして田んぼはコメを作るだけではない。それは、水と気候の調律装置であ
り、生物多様性のゆりかごでもあります。水田・里山の景観は、人が自然に手
を加えた人工自然ですが、この「工」という字は天と地を結ぶ人の営みを意味し
ています。
 今日本のコメは揺れています。日本食が世界に広がり、世界無形文化遺産に
も登録される一方で、米を主食とする一汁三菜の伝統は次第に日本の食卓から
失われつつあります。米を食べなくなったばかりか、糖質やデンプンを取らない
食事が長寿につながると言った考え方まで出てきている・・・。
 でもコメの持つ本当の力は、こんなもんじゃないはずだ。一見自明のコメ、私
達が慣れ親しんできた”知っているつもり”のコメを新たな視点で見直してみた
い。まだ見ぬ、未然形のコメ文化を発見してみたい。
 この星の、とてつもない生命器官としてのコメの未来を探る旅に、お付き合い
ください。
 ・・・ディレクターの佐藤卓さん、竹村真一さん始めスタッフの皆さんが私の田
んぼで種まきから刈り取りまで体験しての取り組みです。私も少し登場します。
恥ずかしくもあったのですがよくまとめられています。感動もあり勉強にもなる
コメ展です。東京ミッドタウンにて6月15日まで開かれています。  
おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1129                     2014.2.24
 先週は中々忙しかったのです。と言っても自家の畑や田んぼのことではなくて、
フクシマから避難してきたTさんのお父さんが亡くなってお葬式になってしまいまし
た。お風呂での事故でしたが、あれから3年の避難ですが福島に帰るわけにはい
きません。ここ成田で仮の居を構えて生活するしかない、と近くに住んでいたので
すが、何とも無念なことだったと思います。
 避難して1年半仮の住まいを提供していたのですが、来られたその時そのお父
さんが「これで先祖のお墓には入れないかも知れないなあ」と語っていたことを思
い出します。郷里ですることも叶わずこの成田での葬儀でした。
 そんな中、電話が1本あり、福島原発の影響が風評被害となっていましたが、と
の取材です。県や国は風評被害は収束したと言うけれど、実際はどうなのか、と
言う問いでした。私達のような有機農家の場合は未だ事故前の時点まで戻ってい
ません。そこを取材したいという。
 未だに「福島、茨城はもとより千葉の野菜は食べない」という風評?が消えない
でいます。問題は複雑で、福島の原発事故が収束せず未だに原子炉の中がどう
なっているかが誰にも分からない状況があることや放射能は目に見えず知覚する
ことができない、と言うやっかいなものだということではないか、と思います。
 一方、福島も茨城も千葉も農家は線量検査やベクレル測定などして浄化と安全
確保に努めて安全確保の努力をしていても、その結果は消費者に届かないいら
だちがくすぶっています。そんな実体を語りました。
 週末は「食と命の教室」の2年目です。毎月の開催で時々の農作業を体験しなが
ら食と農への理解を深めることが主旨です。昨年は8名でしたが今年は13人の参
加があり、日頃の食べ物や健康に関心のある皆さんが集まってくれました。朝9時
から夕方5時頃まで、熱心さが感じられた教室でした。
 そして昨日は、アースデイ千葉への参加で当農場の野菜を持って即売してきま
した。途中昨年ホームスティをした青年が、再びの来訪です。昨年は茶髪のイケメ
ン風でしたが、今は黒髪に替わり「会社努めをしているので、」という変身しての参
加でした。
 新規就農の娘さんの育苗ハウスの建設を手伝っています。初めてのことなので
連れ合いとコンビで何とか今日の内に仕上げようと思っていますが、どうなるか。現
場仕事ですのでどんな不都合が出るか分かりません。では。
                       おかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1128                     2014.2.17
 アメリカの国務長官が、これからは世界で最も二酸化炭素を排出する国アメリカ
と中国が合意して世界に向けて地球温暖化対策を外交の中心にしてゆく、と訪問
先のインドネシアで講演していたという。

 地球的の環境問題を考えればアメリカの見識だと思います。今の地球は地球規
模の気象変動=大洪水、大寒波、大干ばつが地球のどこかで同時に起こってい
ます。数年前にはゴア副大統領が「不都合な真実」という形で世界中に発信してい
ましたが、より問題が深刻化してきたと言えるのかも知れません。

 この国もかってない全国的な大雪に見舞われています。今朝のTVでも各地で
交通がマヒし、コンビニの棚は荷が届かず空っぽの映像を映していました。
3年前
の大地震を思い出させる光景です。

 地球の循環機能を遙かに超えたエネルギーや資源の消費が原因です。原子力
CO2を出さないからと言うのも詭弁であって、ウラン採掘から核のゴミを始末す
ることは原子力では始末できない。エネルギー循環の途中部分だけを切り取って

CO2
がでないから環境にやさしいなどという論理はいただけません。
 私達は便利
な効率的なそして快適?な生活を送るためにどれほどの資源やエネルギーを使っ
ているのでしょうか。全くの感覚ですが「使いすぎている」、と言うのが
 実体ではな
いでしょうか。

 3040年前に有機農業を始めた人達の間では、このままでは人間の営みが破滅
へと向かって永続的でなくなる。永続的な始まりとして環境問題とリンクして有機農
業への道を模索し始めたのです。

 それは、レイチェルカーソンの「沈黙の春」の農薬をはじめとする化学物質の環境
破壊、
72年のローマクラブの「成長の限界」という良識ある科学者の警告等があり
ました。先日、録画してあった国際協力でつくられたスペースシップアース「客室維
持装置に異常あり」という番組を見ました。
 そこには「成長の限界」を発表した学者
が出ていました。彼が言うには「残念ながら
72年に予測したことがその通りになって
しまいました」と言っていました。客室維持装置という概念は、人間をはじめとする地
球上の生き物にとっての生命維持システムのことです。その維持装置が元に戻せ
ないほどになっているというものです。 そういう時代を私達は生きていると言うこと
です。お金を追いかけていたら地獄の底に落ちていた!なんてことにならないよう
に、、、。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1127                     2014.2.10
 20年に1回という雪が降りました。当農場でも宅配で送る野菜が結構あってそれ
が配達不能となっています。農家は、何とか収穫、荷つくりしたのですが、お客さ
んに届けられないとなると困ってしまっています。

 関東一円が雪また雪で20センチも30センチも積もったと言うのですが、ここ成田
というところは雪の途中で雨が降ったりして積雪がそれほどではなかったので、千
葉方面へとトラック輸送できると出発したのですが、運転手さんから「
5時間かかっ
て佐倉市まで来たけれど、車がまったく動かない!」と。お客さんに電話して届か
ないことを伝えるハメになってしまいました。

 そういえば、直売所のパートさんから「雪が積もって家から出られない!」と電話
をもらっていたのですが、農場の近辺はそれほどでもなく渋滞も見えなかったので
何とかなると思っていたのですが、甘かったようです。

 まったく関東は雪に弱いです。車のタイヤはスタッドレスに変えて万全を期してい
たのですが、前後が動かないことにはどうしようもありません。

 そんな雪もようの時だからか風邪を引いてしまいました。咳がでて微熱が中々収
まらず、体の節々が痛いのです。
3日ほど寝ていたのですがまだ頭がふらふらす
るような感じでだるい感じがします。近所の薬屋さんに言って漢方薬の葛根湯と抗
生物質的な効果のあるという薬をお湯で溶いて飲んでいます。

 実は息子が先週から寝込んでいて、お医者さんの診断ではインフルエンザだとい
うので注意はしていたんですが、もらってしまったのかも知れません。息子は医者
に行った方がいい、と言うのですが、自宅治療で何とかしようと思ってます。

 今日は何とか起き上がってこの産地の声を書いて、若干の事務をしていますが、
頭がぼーとしているところがあってお茶を飲んだりの休みを取りながら過ごしてい
ます。

 そろそろ、夏作の準備の季節です。ナスやトマトの種まきです。育苗ハウスの点
検や種の準備なのです。人参やジャガイモの植え付けの準備も始まります。今年
の作付け計画をしっかり立てないとうまく仕事が回りません。

 農家の仕事はお天気に左右されるので中々予定通りゆかない。今みたいに雪が
あると予定を立てていても畑仕事はできません。種まき機の点検や道具の点検
など家の中の仕事しかできません。

 あれこれ考えると気が急くのですが、考えないようにして今日は休みます。
                                            おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1126                     2014.2.3

 今日は2月3日、節分の日です。節分の日には豆まきが恒例ですが当市の成田山
新勝寺では名士を招いて盛大な豆まきが行われます。その量は?トンに及ぶと言
われます。たぶん大勢の参内者が訪れるでしょうが、私は行ったことがありません。
いつも
TVで見るだけなのです。

 と言うわけだからというわけではありませんが、今、12月に収穫した伝統的大豆
小糸在来と呼ばれる青大豆の選別をしています。今は、香港とアメリカから来た23
才と25才の青年達がホームスティーをしています。その人達の仕事で、手仕事で
傷んだものと正常な粒とをより分ける仕事です。

 私は、その大豆をさらに大小を分けるためのフルイ(篩)作りに挑戦してみました。
8ミリの目にしてつくったのですが、中々骨の折れる仕事でした。錆ないようにとス
テンレスの針金を用意して、古材を使って45センチ角の木枠をつくって始めたの
です。

 針金の太さが0.9mmですから9mm感覚で1mm巾ののこぎりで刻みそこに針
金が入るようにすればほぼ8
mm巾になります。(針金の太さ役1mm弱を引いて)
それを縦横に十字になるように針金を張れば8ミリ角のマス目のフルイ(篩)になる
はず、でした。

 ところがやってみたらこれが中々うまくいかないのです。針金の張りの強さが難し
い。縦線を張って、横線を始めたら縦横を編んでゆく際に一定の緩みがないと上下
に張ってゆく横線がうまく張れないのです。ペンチやドリルなどの小道具を駆使して
何とか仕上げましたが、ちょっと不満足な仕上がりです。連れ合いと客人達は「良く
できたじゃない!」と言うのですが、やってる本人は張りが緩いところがあったり巾が
均一にならなかったり気になる仕上がりです。

 何でもやってみるとその価値と職人さんの苦労がよく分かります。フルイも買うと
けっこうな値段がしますが、それもそのはずと納得します。道具類はむしろ安すぎる
んではないのと思うこともしばしばです。値段だけでものを見ているとその価値が見
えません。想像力が出てきません。

 篩に限らず手仕事の文化には、つくる人の工夫や想像力が働いています。そして
作り手の想いや技が込められています。そういうことがわかる日本人が少なくなって
きているように思います。皆さんも何でもいいから手仕事を始めてみませんか。うま
くいったら感動ですよ。うまくいかなくとも勉強になります。

                                                おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1125                     2014.1.27
 昨日は、今年初めてのアースデイ千葉で出店してきました。研修生と台湾の学生、
娘達5人での出店です。冬場は野菜が少なくなって出店仲間は少なく、野菜の出展
者は3店しかありませんでしたが、夕方6時まで頑張りました。

 先週も書きましたが、コメ展がいよいよあと一月にせまりました。伝統的な日本文化
が消えようとしている時にコメを通して日本の文化の見直し、理解を深めようという試
みですです。食べ物としてのコメを考察することいいのですが、稲作という面からも見
直すのも面白いのではないでしょうか。

 日本人がどのように生きて来たのか。食としてのお米もさることながら稲という植物
を悉く利用してきた歴史があります。古老に聞けば「稲作は捨てるものがなかった」、
と言います。お米を育てた藁は、それを編んで俵にしてお米の入れ物として使い、その
ことによって流通を可能にしました。また縄にして結束に使い、編んでムシロやコモに
して敷物や包みものとして利用、編んだものを袋にしてカマスという入れ物にして利用
しました。

 また生活面では畳の床に使ったり、わらじや草履という形で履き物にもなりました。私
の小さい頃はスグリ藁という形で布団の替わりもしましたし、それが実に暖かいのです。
また壁土に混ぜて強度を増したり、屋根材にもしたり実に多様な利用があったのです。
そして今でも欠かせない年中行事である年末年始には神社仏閣のしめ縄は藁でつくら
れます。

 また藁から麹菌を見つけ、発酵文化の元となる麹を培養し日本酒が出来、日本独特
の調味料である味噌、醬油、そしてワラに包んでできる納豆など伝統的日本食の源を
作り出してきました。

 もちろん日本文化がワラだけが元となっているわけではないでしょうが、稲作=ワラ
文化が何らかの形で関わって来たことは間違いないと思います。
 かって京大の祖田
先生という人が、日本人の勤勉性、器用性は稲作にあるのではないか、と言うことを書
かれていました。お米という寺は八十八と書く。お米作りは八十八の仕事があるから必
然とその所作が身につく。だから何をやっても適応して自分のものにしてしまうのでは
ないか、と言ったことのように記憶しているのですが、、、。歴史に学ぶことは多いと思
います。グローバル化ではなく、日本人がどのような文化と伝統を築き上げてきたのか。
そういう視点があってもいいのではないかと思うのです。

                          おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1124                     2014.1.20
 大寒の日。一年で最も寒くなる節です。豪雪で家が倒壊したり亡くなった人もいるとい
うことからすれば千葉県はまだいい方なのかも知れませんがともかく寒い日が続いて
います。

 寒が強いこの季節は、畑も凍り付き、太陽が出て午後にならないと畑仕事になりませ
ん。連れ合いが、畑に残った大根を切り干し大根にすべくせっせと刻んで庭先に天日
干しをしています。市場に出回る切り干し大根はそのほとんどが機械化で電気やガスで
干し上げていると聞きます。

 自然の中で天日干しをしたものは、ビタミンやミネラルが醸成されます。1週間もする
と干しあがりそのまま食べても美味しく仕上がります。手間がかかり市場の価格だとと
ても合わないなあ、と連れ合いはこぼします。

 毎年作った切り干しを我が家のお客さんにあげるためにやっているようなものです。や
めた方がいいと言っても聞きません。「損得はともかくホンモノがいいのよ!」というので
すが、、、。

 昨年、春から始まったコメ展がいよいよ日程が決まりました。ロングランの展示開催で
すので是非とも一度お立ち寄りください。関係者が当農場で、種まきから収穫まで参加し、
映像や写真を撮りまくりました。以下開催概要です。

 会期:2014年2月28日(金)~6月15日(日)
 休館日:火曜日(429日、56日は開催)
 開館時間:11:00~20:00
 入場料:一般1000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
 開場:21_21DESIGN SITHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)
  107-0052東京都港区赤坂9-7-6 Tel:03-3475-2121
 主催:21_21DESIGN SITHT、公益財団法人三宅一生デザイン文化財団
~日本ではコメを中心とした食文化を深めつつ、稲作の歴史と共に様々な文化が発展して
きました。しかし私達は食としてのコメ以外の姿を、どれほど知っているのでしょうか。~か
ら始まる呼びかけ文ですが、幅広い知見から取り上げる試みです。

 「まったくのいきものまったくの精巧な機械」宮沢賢治の言葉ですが、そうした視点からも
取り上げています。お米を日本文化という大きな視野から新鮮な目で見ようとする企画展
です。是非ご覧ください。     

                            おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1123                     2014.1.13
 厳冬の朝、マイナス5を記録する寒さです。地表はさらに低くマイナス7.
になっています。夕方暗くなると庭の水たまりが凍り始めます。外の水道
が破裂しないよう紙袋をかけますが、翌朝は霜が降り注ぎ霜が針のように立っ
ています。

 今日は穏やかなのですが、穏やかなほど冷え込みも激しい。家の前の麦や
小松菜などもパキンパキンに凍って白く化粧しています。太陽が昇り徐々に
霜が溶け始めて1時間もすると緑が現れ生き返ります。

 我が家の三浦大根の葉っぱはあまりの寒さに萎れ枯れ始めました。年内は
葉っぱも食べてもらおうと葉付きで出荷していましたが、今は切り取って出荷で
す。それでも、トンネルにビニールをかけている大根はまだ生きています。三浦
大根は露地なので葉無しですが、青首大根はまだ葉付きで出せています。

 先日、有機農業の研修先に行ってみたら、研修生が大きな袋に入れていた
ので、「袋が大きすぎるんじゃない」と言ったら、「今のホウレン草は葉が広が
っているので」という。

 特に今時のホウレン草は、寒さに耐えるために体にいっぱい栄養(デンプン)
を蓄えます。それも冬の太陽をいっぱい貯め込もうと葉を広げます。そんなホ
ウレン草を袋に詰めようとすると広がっているものだから詰めづらいのです。
葉にデンプンを始めとする栄養を詰め込んでいるのでマイナス10
でも細胞
が破壊されずに生き残れる力ができます。だからこそ美味しいのです。 

 これがハウス栽培などで気温の高いところで育てると葉が広がらないで葉が
立って生長し見栄えもいいのです。そうすると収穫もやりやすいし袋にも入れや
すいのですが、締まりが無く栄養も今一なので美味しさが半減します。

 福泉寺の餅つきに埼玉から来たお客さんが「髙柳さん!市販のホウレン草
は食べられない。」と。「なんで?」「美味しくないんだもん」「分かるよ。全部では
ないけれど市場では見かけが優先されるからだね。見かけさえできれば良いと
されているから、見かけよりも葉の厚いごつごつした野菜を選ぶといいよ。」と話
しておきましたが、日頃ホンモノを食べていると違いが分かる感性ができます。

 千葉北総地区には新規就農者が多いのですが、その彼らは「有機栽培の野
菜を食べて感動した!」と言う人が多いのです。私はそんなに違わないだろう、
と言うのですが、違うようです。

                                                             おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1122                     2014.1.6
 新年明けましておめでとうございます。
 地元の大須賀神社のお札を神棚にお供えし、お正月様を飾り、縁のあるお寺さん
に元朝参りをしてお正月を迎えました。

 今年のお正月は穏やかな天気でした。一方我が家は、父そして私達夫婦、子3人
とその連れ合い、そして孫達7人の総勢15人が集まり、賑わいのお正月でもありました。

 3日には、お土産にと孫達と畑に行き人参を掘り、大根を引き抜きブロッコリーを収
穫しました。自然と子どもはとても相性がいいものだということを改めて感じた時間でした。

 厳冬の人参は寒さよけのために人参にたっぷり土掛けしてあります。それを手で取
るには土をどけて人参の頭を出させて引っこ抜くことになります。一度やって見せて「
さあみんなでほろう!」と言ったとたん夢中で掘り取りを始めました。おもしろがってや
るのです。

 人参と大根取りがすんで途中新宅のブルーベリー畑を見ようと立ち寄って車から降
りたとたん、かけずり回るようにちりぢりに。そこは山あいの日当たりの良い日だまり
のような場でもあり居心地のいいもありました空間でもありました。

 ついたとたんトラックから飛び降り、めいめいが木の枝やしのだけなど拾ったり、崖
に絵を描いたりチャンバラを始めたりかってに遊びを始めたのです。一緒にいた連れ
合いと、野や山というのはそのままで子どもの遊び場になるんだなあ、と関心しきりで
した。
 そんな正月三が日も終わり4日には当農場の初出荷の日でした。ホウレン草
や小松菜、大根といったいつもの野菜が出荷場に届きました。今年は昨年の台風の
影響がまだ尾を引いて欠品がでています。やむを得ないところですが、事務をやって
いるパートさんが「欠品があると困るんだよね-。断るのはいやなんだけどねー」とぼ
やいています。

 お店に商品が無くては困ります。その通りなのですが、どうしようもありません。お店
が困るのも分かりますが農家の畑の様子も分かります。工業製品のようなわけには
いきませんし、自前のもの以外を集めるわけにはいきません。

 そんなことが始まりの当農場の新年ですが、どうか今年もよろしくお願いいたしま
す。「食は命」「医食同源」「身土不二」を標榜して
26年目になります。

                                                              おかげさま農場・高柳