(産地の声)vol.1121                     2013.12.23
 今日は天皇誕生日ということでNHKが特集を組んでいました。戦争を体験し先
の大戦では
310万人という犠牲者を出してしまったことに思いを致し、平和を願い
沖縄や南方の犠牲者の黙祷を捧げたりする姿が映し出されていました。

 天皇陛下の思いとは逆に、一方で領土問題や戦争のできる国に、などとの動き
があります。昔何かの本で「戦争をやりたがる人は絶対に自分では行かない。煽っ
てやらせるのが戦争の実体だ」と言った指摘をする人がいました。今の世相を思う
とそうならないようにと願います。

 自然はやさしくも厳しいけれど、ウソをついたりだましたりはしません。人間は欲
望というやっかいなものを持っています。だから仏教もキリスト教も戒律を教えやっ
てはいけないこと、やるべきことを数千年にわたって人々に説いてきました。と思う
のですが、、、。

 12月も下旬となり本格的な冬到来!という感じになっています。早朝の畑は真っ
白な冬景色です。地上の野菜は雪化粧ならぬ霜化粧で凍り付いています。触ろう
ものならパキパキと葉が折れてしまいます。

自然の摂理は人間の意志を越えるものです。凍らないようにしろといってもできま
せん。ハウスを作って囲いをすればできることはできますが、それは自然のごく一
部であって、自然全体をそうすることはできません。

 太陽が出て30分もすれば霜が溶け始めます。そして今度が野菜達が凍り付い
た体を元に戻し始めます。人間で言えば凍り付いた体に血が通うようにすると言っ
たらいいのか、生き返るのです。そして日の陰るまで生命活動を続けます。

 野菜よりも麦類の方が低温成長力があって、我が家の畑の麦はこの霜続きの
日々でも緩やかですが、成長しているのが分かります。高崎に住む従兄弟がきて、
「麦畑というのはきれいだねえ、気持ちのいいものだ」という。で私「いいでしょう!こ
の真冬に緑輝くという感じで畑を見ると何とも言えないきもちになる。気持ちがいい
んだよ!」と返しましたが、真冬の凍り付いた季節に命の躍動があるのは感動です。

 昨日ハウスにサニーレタスを定植しました。さすが葉物野菜は露地では持ちませ
ん。マルチングをして一枚着物を着せないと生きられないのです。人間も同じく着物
を着て暖を取らなければ生きられません。そんな冬は野菜が美味しくなります。神
さまがそうさせているかのようです。

                         
(産地の声)vol.1120                     2013.12.16
 昨日は今年最後のイベント、アースデイ千葉で千葉駅ペリエと言うところで野菜の
即売会でした。年末なので主催者と多少の打ち合わせなどして参加したのですが思
い冬野菜には欠かせない野菜をと持っていったのですが、、、。

 年末の最後だからと、ネギや里芋、ごぼうそして三浦大根など持っていったのです
が、そうしたものの売れ行きが良くなかったのです。意外に里芋や八頭などが人気
がないのです。暮れお正月の定番野菜なのに・・・。

 以前は、年末ともなればそうした芋類など温野菜で人気だったのですが、時代が
大きく変わった感があります。一緒に新規就農した娘さんが「お父さん!ダメだよね。
今は料理しなくなったのと料理ができないのと、料理そのものが面倒くさいものは手
を出さないのよね」という。

 里芋、ゴボウは皮をむいたりしなければ料理できない-面倒くさい。八頭などはもっ
とめんどうです。何より料理の仕方が分からない。私などは「ああ、日本の食文化は
どこに行ってしまったのか、嘆かわしい!」などとほざいていると「今の人達はチンす
れば食べられるもの、マックでそのまま食べるという、それが普通になっているんで
す!」と言うことらしい。

 2日ばかり前にひまわりプロジェクトという会で残った若者も、今の人達はレシピが
ないと料理ができない、レシピに従って料理すると言うパターンが多いといってました。
私の知る農家のお母さんや昔の人はそうではなかった。

 昔の人はレシピに頼るのではなく、今あるもので何を作るかで料理したものです。そ
こにあるもので料理すると言うのは、経験の積み重ねがあって家族が美味しく食べられ
るように作る。そこに知恵や工夫、そして創作があります。だから近年料理教室が盛ん
になる一因があるのだなあ、と思った次第です。

 マーケットは、いろいろのご縁があります。以前ボランティアしていた娘さんが通りか
かって落花生の試食をしてもらいました。「美味しいですね!」と言うから「ならば、試食
用の殻むき手伝って!その代わり半分食べていいから」と頼んで歓談してたら、旅行カ
バンをひいた娘さんが通りかかりました。

 そして同じく半分食べていいからと誘って歓談。これから宮城へ行くという。災害ボラ
ンティアで行ったのだけれど、向こうに住み着いてしまって、一時帰宅しての帰りだとい
う。自分の生き様を模索しつつ頑張ろうとしている気持ちの伝わったひとときでした。そ
んな出会いがあるのもイベントの良さです。
            おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1119                     2013.12.9
 今年は落花生の不作の年のようです。近隣の農家が「今年の落花生はポンが多く
てまいったよ!」(ポンというのは、殻は一人前だけど中身がないこと)と言ってました
が、おかげさま農場の農家も「ポンとまではいかなくとも実入りがよくないなあ」と。

 今年の夏は雨が少なく高温が続く天候でした。落花生は7月の下旬から8月の上旬
にかけて花が咲きますが、その季節に水分が不足すると花粉が十分にできません。
それで受粉が不十分になって実が太らなくなるからです。そして受粉後も
10月まで
夏日が出現するほどの天候が災いしたようです。味の方は実入りはともかく、試食で
食べた人は「美味しいよ!」と言ってくれています。

 落花生だけでなく10月上旬まで夏日が続き、その後生き延びた野菜達を今度は台
26号が襲い野菜は大きなダメージを受けました。ホウレン草は全滅した畑が何枚
も出たり、人参やさつまいも、ネギ、チンゲンサイなど水没したりで今年の冬は欠品
だらけの冬になりそうです。

 今の現状で、チンゲンサイ、長ネギ、白菜、ブロッコリー、小松菜などが出荷不能、
生育停滞をおこしています。人参やさつまいもも出荷はしていますが小さかったり、
割れや傷みが出て、収量が落ち込むことが避けられない模様です。

 そんな中、今日は朝から新規就農者が7.8人集まって、竹炭作りを始めました。日
本中の山々が手入れされなくなり、あちこちで竹の繁殖が広がっています。

 日本の文化に慣れ親しんできた竹。 今は、石油製品に代わり、山に人が行かなく
なり、山は竹で荒れ放題・・・。
 自分たちの周りにある資源で土が豊かになるなら、こ
んなにありがたいことはないです。それでそうした竹の伐採と有効利用を兼ねての「竹
炭」作りです。その竹炭を畑に入れで土を肥沃にして環境の循環できるようになれば・・・
といった主旨で実践勉強会です。

 新規就農の30代の人達です。カーボンマイナスプロジェクトと称して「竹炭作り」-
炭を土に入れることによって二酸化炭素削減を目指した社会システム作りを始めよう!
と言う試みです。

 そうして炭を入れた畑で育てた野菜を「クルベジ野菜」と呼び自然の力で育った健康
野菜を食べてもらおう。地球にやさしい循環農業ができる、という発想です。地球が壊れ、
異常気象の発生が激しくなってきている中、どれだけの効果が期待できるか分かりま
せんが、試行錯誤です。若者に期待したい・・・。

(産地の声)vol.1118                     2013.12.2
 1120日に蒔いた小麦がようやく芽が出始めました。というか畝が見える位に育っ
てきたのです。ドリル蒔きという機械蒔きですので深めなのです。機械のない時代は、
クワで畝を立てて蒔いていました。クワが入ったところが一段低くなりそこに種まきし
ます。その後、足で蹴って覆土します。それが機械導入前の昔からの麦蒔きでした。

 そうして蒔かれた麦は浅いので霜にあったりすると霜柱が立ち麦が持ち上げられて
しまう恐れがあり、麦踏みという作業があったのです。麦を頭から踏むことによって
根がしっかりと土について根張りが良くなるからです。

 今はそんなことやってられないというか、採算的に合わないのでそもそも作る人が
いなくなってしまっています。日本人の食べているパンはほとんどが輸入小麦に頼っ
ているのが現状です。

 私の場合、作れるのに何故作らないのか、と言った素朴な疑問があります。分業
という考えもありますが何か違うような気がしてたのです。それに加え、かって残留
農薬辞典というのがあり、それには
50%から100%の確率で残留農薬が検出されて
いることを知り小麦粉の自給をしてきました。

 全国の都道府県で県民の食べ物検査が抜き打ちでされています。その検査結果
が基礎の辞典でしたが、何故流通しているのかというと基準以下なので流通してい
るわけです。それを皆さんは食べていることになります。麦というのは作ってみると
分かるのですが、非常に虫の発生のしやすい穀物です。

 そういうものを太平洋を越えてしかも赤道直下を通り抜けて来るのですから害虫の
発生条件としては最適です。そこでどうするかというと、よく言われたようにポストハ
ーベストといって小麦に殺虫剤をまぶして輸入されます。港に入って植物防疫官が
害虫を見つければ即ガス消毒をすることになります。

 そうした結果、小麦に残留農薬が検出されることになります。今アレルギーが問題
視されていますがその原因の一端に殺虫剤などの化学物質が影響していると推測
しています。全くの私見で科学的ではありませんが、、、。

 人という生き物も自然界の一員です。それがかって経験した事のない物質=化学
物質を食べるとどうなるか、という実験をこの
50年の間してきたのではないか、そん
な思いもあります。放射能も問題ですが、殺菌剤、殺虫剤、食品添加物といった化学
物質の氾濫も同じように大きな問題と思うのです。

                          おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1118                     2013.11.25
 昨日までの晴天がウソのように今日はどんよりと曇天です。しかも寒い。大豆の
刈り取りをしようと予定していたのですが、着手がためらわれる天候です。予報で
は、雨模様になるということですが、、、。

 11月も終わりに近くなって落花生の注文が始まっています。とは言っても当農場
の分はまだ畑で乾燥中で出荷には至らないのですが、近隣の自給農家が炒って
ほしいと着始めています。

 何度か書いていますが、庭先で落花生を煎っていますので「落花生を煎ってほし
い」と頼まれるのです。農家自体が少なくなってきていますが、自家農園で落花生を
作る人が案外多いのです。作るまではいいとしてもそのままでは食べられません。
煎り落花生にして始めて食することができます。

 おかげさま農場の分だけは自前でやろうと始め、頼まれ仕事はしないつもりでした
が、親戚から「少しばかりだけどやってくれないか」と頼まれたのでは断れません。
それが始まりだったようです。

 落花生業者さんはいるのですが、少量をやってもらおうとすると断られてやってく
れない。そこで我が家が標的となった感じです。昔は商売として落花生屋さんがい
てみなそこに頼んでいたのですが、お店をたたんでしまいました。そこらあたりから
「何とかやってもらえないだろうか」と頼まれ始めたのがきっかけで断れなくなって
続いています。

 最初は、代金などはいただくことはできない(親戚ですから)と親切心?で始めた
のですが、そうしたらそれでは良くないから、とタバコを持ってきたり折り詰めなども
のをいただくようになってしまい、これではまずい!となって料金をいただくことにし
たのです。それ以来仕事になってしまいました。 

 採算など考えていませんから、適当でいいといただいてきたのですが、業者さん
に聞きましたら、それでは安すぎると言われてしまいました。お付き合いの延長ぐら
いしか考えていませんでしたから、仕事担当の娘と相談するのですが、中々変えら
れません。

 うだうだと落花生のことを書きましたが、今日も落花生を煎っています。冷蔵庫の
点検をしていたら何故か去年の落花生が見つかりそれを販売に回すわけにはいか
ないのでおかげさま農場のみんなで食べようと言うことになりました。来月からは新
落花生が入りますので、本格的出荷が始まります。 

                                    おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1116                     2013.11.18
 霜が降り始め季節は冬に入った感があります。暦の上では既に冬ですがまだ秋と
いう感覚がありました。さつまいも堀やゴボウ、里芋といった根もの野菜はまだ掘り
取りが終わっていません。冬に備え忙しい収穫の季節です。

 里芋は霜にやられて地上部はすっかり黄ばみ茎がとろけ始まっているものもありま
す。早出しのものはいいのですが、貯蔵ものはいったん畑に掘った芋穴に入れます。
そうすると茎がとろけて芋だけが残ります。それを掘り出し泥を落とし、ゴボウ根と呼ば
れる根っこを取り除き皆さんのところに届ける形になります。

 さつまいもや里芋は栄養があって肉類と違ってコレステロールなどの心配がありま
せん。そればかりか野菜であるゆえに各種ビタミンやミネラル豊富な食べ物です。

 里芋ができると我が家では、味噌汁の具やイカなどと一緒に煮物にして食べます。
これが美味しいのです。毎日食べても飽きることがない食べ物です。しかも煮物にし
ておくと忙しい時の間に合わせ食にもなります。といっても程度がありますが、、、。

 さつまいもや里芋ゴボウ、そして人参などが出始め冬野菜が一応揃ってきましたが、
10
月の台風の影響が尾を引き、葉もの類などの品不足が続いています。我が家のレ
タスも生き残ったかに見えましたが、湿害にあったようで今一です。見かけは育ってい
るように見えますが、風で葉先が痛み、ところどころ黄ばんで、大きくなっているところ
は虫が発生して穴だらけになっていて、病気も発生しています。台風で風と雨ににや
られ無くなって残ったものも虫や病気では無残なものです。さっさと諦め、次の作付
けに期待するしかありません。

 異常気象ということを以前も言ってた記憶がありますが、今度は世界的な様相を呈し
ています。フィリッピンの台風禍は津波に匹敵するほどのようです。インドでもベトナム
でも砂漠の国サウジアラビアでも大洪水が起こっています。

 一体どうなっているのでしょうか。長期的にもかってない大型台風に襲われる可能性
があるという見通しを気象庁が言ってましたが地球規模の異常気象の連続です。世相
は、グローバル化へ向かって
TPPだの株価や円高などの論調華やかですが、地球が
悲鳴を上げているように思えます。それに加えて福島原発に代表されるように科学とい
う人間が考え出したものが人間の生存を許さないものを生み出しています。ブータン国
のように考えられないものかと思うのですが。

                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1115                     2013.11.11

 菜の花プロジェクトを始めて10年を過ぎます。何故始めたのかというと。当時の
キャッチフレーズは、食用油の自給とその廃油を原料にしたBDFをトラクターな
どの燃料にしよう!ということです。CO2の問題やエネルギー枯渇の問題に取り
組む試行として始まったのでした。

 千葉北総地区の有機農家が集まり一時は50名を超す参加者があったのですが
横やり?が入ったのでした。それは、菜の花を作るとその季節に咲く梨の花と菜の
花が競合しミツバチが菜の花にいってしまう!梨の受粉に影響が出るということに
なり、県当局から自粛を求められ縮小を余儀なくされたのです。地球的エネルギー
枯渇やCO2の増加による温暖化の問題は避けて通れない問題です。そういう問題
解決に向けてのささやかな取り組みが、利害問題といった形で縮小してしまうのは
何とも言えぬ思いを持ちました。他の解決策がなかったのか、県当局も単に利害調
節という視点だけでなく考えて欲しかった!

 それでも、私達のグループは取り組み続けて現在に至っています。小さな集団
ですので手作業によってつづけられ、我が家は以来食用油は自給しています。

 油の自給を広めようと、3年前からひまわり油に取り組み現在北総地区の有機農
家を中心に30名近くがひまわりを作付けています。市販の油はその99%が輸入で
す。それは昔ながらの圧搾する搾油方法ではなく、薬品を使って油を抽出していま
す。それらが大半で、安い食用油が出回っています。

 お米や野菜から始まって、お味噌や醤油そして小麦粉と自給体制を作ってきた我が
家ですが、油は自給できていませんでしたが、菜種、ひまわり、ごまと食用油のバリ
エーションも増えました。

 今ハウス内でひまわりの種とゴマを天日乾燥させています。水分を飛ばし十分乾
燥させないと劣化します。油を絞るにも乾燥が必要なのです。そして選別調整がやっ
かいなのが大変なことです。フルイをかけてゴミを落とし、唐箕を架けてさらにゴミを除
いて、という行為を繰り返し行って仕上げます。

 今年の菜種は豊作でよい油ができました。圧搾生搾りの一切の添加物使用無しの
食用油です。最初搾ったときはくせがあるかも知れないと思ったのですが、参加したメ
ンバーを試食会をしたところ見た目も食べても美味しい油でした。

 身土不二、医食同源を標榜して今日まで来ましたが、昔に返るのではなく自分を取
り巻く自然の中の恵みをいただく、そういう事なのです。
                 by おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1114                     2013.11.4
 秋はイベントの多い季節です。昨日は、隣の富里市で「太陽の市」に」参加してきました。
生鮮野菜のコーナーには北総地区の有機栽培農家の野菜が、ナチュラルフードのコーナ
ーにはお酒や干物ベーカリーやさんなどが、オーガニックなお食事コーナーには、食材に
こだわったおにぎりや飲み物などが、そして手作り市は染め物や手芸品など、小さなお店
を開店してのお祭りでした。

 心配していた天候も朝の家は曇っていたものの、お昼近くなってからは太陽も出て気温
も上がってよい大会でした。

 私はおかげさま農場の野菜と手作りのおにぎり、スープの販売、もう一方でひまわりプロ
ジェクトの搾油体験やら手作り菜種油、ひまわり油の即売など、芝山地区の燃料BDFの
紹介とPRなどに取り組みました。

 食べ物だけでなく自分たちの暮らしを考えて行こうという「みんなの未来に平和の種を蒔
く祭り」と題してのイベントでした。面白かったです。

 今日はあいにくの雨ですが、埼玉の方からお客さんです。当農場の野菜が美味しかった
ので野菜をお店に並べたい、というのです。今の日本人は安いか、高いかという値段でしか
評価できない人が多いし、今の日本に出回っているものはかっての食とほど遠いものに変
わってしまっていること自体認識していない。

 そうしたことを前提にしてみると商売としては成り立たないのではないか。などと話したの
ですが、それでも取り組んでみたいと言う。なので、それならばと言うことになりました。

 嘆きになりますが、今の日本人はグルメだとか値段の安いことだとか、食べることとは何
なのか、といった本質的な価値観は持っていないように見えます。(マスコミがそういう雰囲
気を作り出している?)それでいて放射能問題を見ると一部に神経質すぎるほどの警戒感
を持っている人達がいます。

 放射能は人間に制御できる問題ではないし、とても看過できない命を脅かす存在である
ことは間違いありません。が、仲間の言葉を借りれば、見過ごしてはならない問題だけれど
神経質になり過ぎてもいけない、ということだと思います。

 それでも、私達は生きてゆかねば成りません。どこら辺で折り合いをつけるかは難しいと
ころですが、
1を警戒して命に必要な10のものをとれなかったらそれの方が危険のような気
がします。たとえばですが、、、。はっきりしていることは、何があろうが人間は食べものを食
べて生きていることです。   合掌

(産地の声)vol.1113                     2013.10.28
 今日は久しぶりの秋晴れ!部屋の中はちょっと寒い気温になっていますが、外に出
ると太陽の暖かさを感じます。朝方、今日帰る埼玉の女の子とアメリカの男の子と研修
性とお別れのお茶をしました。これからの成長が楽しみです。
 農協の機械屋さんが来て修理中の部品を持ってきてくれました。何日か前に連れ合い
が工具を持って何か始めたな、と思っていたらモア(草刈り機)の修理を始めたのです。
そしたら「動かなくなってしまったの。何とかして!」と叫ぶのです。分からないのに始め
なければいいのに、、、とぶつぶつ腹の中で言いつつバラしてみたら回転部の部品がない!。
たぶん分解している内にどこかに無くしてしまっていたもようです。

 彼のムラも台風の影響であちこちで土砂崩れがあってまだ修復はこれからだというこ
とでした。彼も
50才を過ぎますがこれまで経験した事のない被害だったと言ってました
が、集中豪雨が大島と同じように土砂災害の原因だったように思います。温暖化は、地
球全体が暖まることでなく、地球のあちこちに寒冷化と干ばつ、砂漠と集中豪雨といった
地球の異常気象を生み出す事なのではないか。映画のデイアフターツモローを思い出
した、などと話しました。

 おかげさま農場の畑もその被害がだんだん明らかになってきて、ホウレン草農家の高
木は、「うちのホウレン草は全滅だ!」というので他の農家に聞いたら、露地のホウレン草
はみな全滅に近い様相になっています。ということは同じく小松菜や小カブ、春菊などの
葉ものも同じ影響を受けていることになります。

 おそらく全国的なものでしょうからこれからの冬にかけて品不足は当面続くと見ていい
と思います。葉ものだけでなく、畑のさつまいもや里芋、ゴボウ、ショウガなど低地にある
野菜はほぼダメになります。高台の排水のよい畑は生き残りますが、それも風によって
葉がちぎれたり蒔いたばかりのものは、雨にたたかれ無くなってしまっています。

  新聞にタマネギの輸入が2万トンと増加した、と書かれていましたが、一方で日本が食
べ残して破棄されている捨てられている食べ物は
1900万トンに達するそうです。その量
は、世界の農産物援助の総量を超えると言うのですから、いったいどうなっているのでしょ
うか。そんなことお構いなしに
TPPによる自由貿易の推進が図られようとしていますが、ど
のような意志が働いているかのか、疑問だらけの政治の動きです。天気も政治も私達は
蚊帳の外?のようです。

                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1112                     2013.10.21
 先週の台風26号はかってない大型台風でした。京成成田駅が土砂崩れのために
半分落ち、豪雨のためにあちこちで冠水、土砂崩れが起こり死者まで出しました。旧
大栄町地区での土砂崩れは百カ所を超えたと消防関係者から聞きました。
 16日は、
カナダからのお客さんを空港まで送った娘が「
51号線が大渋滞で動きなとれなかった」
と。ムラの前を流れる大須賀川というのは普段は
10メートルに満たない小さな川です
が、堤防が埋没し流量がどんどん増えて田んぼを覆い尽くして対岸の
ムラまで増水して海のようになってしまいました。

 市道が水没し崖崩れで土砂が道をふさぎ、あちこちで交通不能の状態です。16日の
朝お寺さんの近所の方が電話をくれ「お寺の裏山が崩れ車庫と納屋が埋まってしまっ
た!」と。それでお寺に駆けつけたのですが手の出しようもありません。

 総代代表に電話をかけ呼び対策を話し合ったのですが、土砂は大量の水を含みすぐ
に手を出せる状況にはありません。土砂に押しつぶされた棟が家族の住む庫裏にぶつ
かり、家がゆがんでしまっています。水道のポンプが埋まり、風呂に使う石油タンクが
つぶされ油が漏れ、トイレが使えない。石油は消防に中和剤をかけてもらい、水道は隣
の公民館からホースでつなぎ、とともかく生活ができる範囲の対応をして帰りました。

 成田市の降った雨量は400ミリということですが、私の60余年間の中では最も大きな
災害でした。平成3年台風被害も大須賀川周辺の田んぼが埋没し対岸のムラへの市道
が水没して行き来ができなくなりましたが、これほどではありませんでした。

 畑も心配です。普段は平らな畑に見えるところでも、あちこちで水たまり=池になって
います。
16日に降った雨が20日になっても抜けないでいます。
 そこへ台風27号ができ
これも大型の強力な台風だと言われています。緩んだ大地に再び雨が降るとどうなるか。
予測できない危険を感じます。

 大島では大量の土砂が流れ死者不明者を多勢出してしまいましたが、当市の倍の雨量
です。恐らく手の施しようのない天候だったのではないでしょうか。マスコミが取り上げるの
はいいのですが、取材合戦のように見えます。

 地球の自然がかってない動きをしていること、その中で人間活動の過ぎたること、至ら
ざること、そうしたことを掘り下げ、そんな地球の中で人間はどう生きればいいのかを探る
ことこそ大事なのではないか、と思います。

                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1111                     2013.10.14
 この通信もぞろ目のナンバーの記念と言えば記念の回ですが、野菜の方は苦
情をたっぷりいただきました。小松菜が黄変したり、とろけたりで使い物にならない!、
と。
 生産者は出荷場へもってきて、出荷スタッフが荷作りして発送となるのですが、
その時点では問題が見えませんでした。ところが、お店に着いて箱を開けると問題が
あった、というのです。
 最初生産者とその原因を見当した際は、小松菜は外葉が黄
変しやすいので、よく取り除いて出荷するのですが、その掻き具合が少なかったせい
か、と思ったのですが、どうもそうでないらしい。次に出荷調整した小松菜をそのまま
置いておいたところ、
1日目は大丈夫だったのですが、翌日か翌々日に黄変ととろけ
が見られたのです。
 何でだろう?と検討した結果、例年だと問題がなかったのに今
年始めて問題が連続したのは天候のせいかもしれない、となりました。夏日が
10月ま
である天候でしたから、生育が軟弱だったのです。やわやわと成長して、しかも夏日
のような気温の中での配送でしたから、そのせいだ、ということになりました。
 後に
なって、「そういえばいつもより葉がやわやわしてた!」というのです。冷え込んでくれ
ば低温でがっちりとしまった葉になります。これからは問題なくなると思うけれど、、、。
というところに落ち着きました。

 いずれにしても、お客さんにはご迷惑をおかけしました。これほどの経験は初めてで
す。小松菜やホウレン草は旬で言えば冬野菜です。当農場も無農薬栽培ということも
あり、夏には作らないようにしてきたのですが、
10月出荷になれば何とか出荷可能とい
うことで種まきしてきましたが、これまでの常識は通用しない気象になってきたのかも
知れません。
 根菜類は比較的順調なのですが、ジャガイモにも問題が出ました。外
見では分からないのですが、切ってみると筋のような黒変があったりしました。これも困
りものです。見た目で分からないものは注意しても仕切れるものではありません。かと
いって切って出荷するわけにもいきません。
 お客さんには問題があったらすぐに教え
て欲しいとお願いしています。どうか長い目で見て欲しいのです。私達も注意しているつ
もりですが、至らない時がままあります。因果な仕事です。そこをご理解いただきたい
と拙に願うものです。                      byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1110                     2013.10.7
 雨が続き、畑に入れない日が続いていましたが、今日は雨も上がってようやく畑
に入れます。人参と大根の間引き草取りです。ちょっと仕事が遅れているのですが
致し方ありません。
 草も大きくなると栽培した人参がその中に埋もれ、草をひき抜くときに人参も抜け
てしまうのです。ですから、そんな場合は鎌やハサミをもって草とりします。地際に
鎌を入れて人参を残し根を切り取るようにして草を取ります。
 昨日が千葉市でアースデイマーケットの参加しました。で同じ無農薬野菜を作る
新規就農者の娘さんが語るには、「疲れちゃった!草に埋もれた畑で草取りばっか
りしていたせいか、足腰が痛み出して!」と。
 無農薬栽培の何よりの難儀は雑草対策です。病気や虫は土作りや旬の作付け、
防虫ネットなどの対策で対応できますが(それでも普通栽培からすると手間暇がか
かります)草だけは自然の営みですので栽培と競合します。自然には無数の多種
類の種がこぼれて眠っているのですから大変なものです。
 今フランスのカップルがきてホームスティーをしていますが、EUでも有機農業が増
えているといいます。ですが、この日本では意識が低いのか中々広まりません。
 農薬がなければ生産力が落ちてまかなえなくなるという考えと、農薬という化学物
質を使い続けると地球環境の汚染が広がって持続的発展、食の安全が脅かされる
という考えが拮抗しています。日本はその中でも最も意識の低い国だそうですが、
アイフォームという世界有機農業連盟という機関の中でも評価は低い。
 先日、殺虫剤のネオニコチノイドという農薬をEUでは使用禁止にしたというのが取
り上げられていました。その毒が植物に吸収され、食べた虫が死ぬ、という強力な薬
です。人間には害がなく虫に効果があるとされているのです。世界中でミツバチの大
量死がおこっており、アメリカ、EU,日本でも問題になっているのですが、ネオニコチ
ノイドが原因だとは中々特定できない。
 ネオニコチノイドという農薬を使い出してミツバチに異変が起こり始めたことからEU
は禁止にしたのですが、推進派は(日本もそうですが)食料生産安定のためには必
要だとしています。 地球上の生き物の中で花を咲かせる植物は受粉なくして実を結
びません。放射能も問題ですが、地球規模の人類的課題だと思うのですが、関心を
持たない日本人が不思議でなりません。
                         おかげさま農場・高柳


(産地の声)vol.1109                     2013.9.30
 稲刈りが終わって気持ち的には一段落です。福島双葉から避難してきた鶴見さん
は自然農をやってきた人ですが、田んぼを借りて今が稲刈りです。その稲刈りは、
コンバインによる収穫ではなくて、バインダーで刈り取りオダ掛けする稲刈りです。化
学肥料農薬は一切使わず、エネルギー消費も最小にという農法といえると思います。
 私も一部旧来のオダ干しをしての稲刈りをしましたが、既に取り込み脱穀してお米
になっているのですが、鶴見さんの田んぼは田植えが遅いこともあって今なのです。
で、昨日一昨日とお手伝いにいってきました。オダ足を麻紐でくくりつけて孟宗竹を植
えにのせて、それに稲束を架ける、という仕事です。
 この地域ではオダ掛けする稲刈りは珍しくなっていますので、地域での話題になっ
ています。近代的農法?が当然となっている中で「何で今さら?」という思いがあるの
でしょう。わざわざ手間暇をかけてということになりますが、TPP議論からすると非効
率な農法です。
 福島でもそうやってきたし、それがお米の味わいをつくる。いわば伝統的やり方なの
だからやるんだ、という考えです。自然農法という肥料もやらず自然の力だけで育った
稲を自然の気候の中で乾燥させて食べる、ということの思いで実践しています。
 私は、無肥料ではありませんが、その意味するところは理解できます。かっては日本
中で行われていたのですから。自然の力を最大限活かし、その恵みによって日本人は
生きて来ました。農法と言うより生き様の問題かも知れません。その大地自然の恵み
をいただいて生きられることに感謝をして、ほどほどに生きる。そうして日本人は生きて
来ました。
 そんな仕事の中に、田んぼの持ち主の鳥羽のおばあさんがこられお手伝いにきてく
れました。「大変そうで、少しでもお手伝いさせてください!」と。一緒になって田んぼ一
面に刈られた稲束を集めてくれました。無駄がなく体が生き返るようが動きです。若い
人に負けずに、というよりそれ以上の働きでした。謝謝。
 一方、畑の方は人参や大根の生育が進み間引きをしなければなりません。人参畑
は草が茂り、一苦労しそうです。連れ合いが始めた草刈りが「機械が動かない!何と
かして!」と叫んでいます。機械の修理をして午後は畑です。人参や大根、タマネギ
何とかしてくれ!と待っています。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1108                     2013.9.24
 ひまわりを収穫し、ハウスの中で乾燥しつつ今は脱穀中です。といっても手作
業で、大きなひまわりをガクから種を取り出し、という弥生時代的な仕事です。菜
種もそうですが、いつも仲間が言う、「これって機械は一切使わず道具と呼ぶもの
だけでの手作業で弥生式農業みたいだね!」
 そう言いながら「10年以上も続いているんだからたいしたもんだね!」と他人事
のように語るのも面白い。6月の収穫した菜種はNPOの搾油所にお願いしてよう
やく食用油になりました。食べた人は「市販の物とは味が違うね!」というのだけれ
ど、私にはよくわからないのです。そうすると食べた人は「お父さんはそれしか食
べてないから分からないのよ!」と。
 まあ言われてみれば食用油の自給を始めてから10数年経っていて市販の食用
油はほとんど食べていませんから、「そうなのかなあ」と答えるしかありません。
で、次のひまわりの脱穀中ですが、稲刈り中に娘達がごまの収穫もしました。ごま
も今年は不作気味で収量は期待できないと思っています。ごま油は少しになりま
すが、我が家の家族分くらいは穫れそうです。
 一方、米展のオダ掛け稲を田んぼから取り入れ脱穀を終えました。これですべて
の田んぼの脱穀終了です。米展のメンバー数人とミツバチ農場の娘さんらと作業し
たのですが、その後新米ご飯での夕食をしてその日は終了。
 その中で、「髙柳家はの自給率はどれくらいですか」と聞かれたのですが、たぶん
8割位は自給してるのではないかと思います。お米、野菜、お味噌、小麦粉、食用
油と常時使われると思われる食材は確保しています。必須食材としてお塩と砂糖が
どうしても自給できない部分ですが、これはまあ仕方ないでしょう。
 外からの一切の物資が入らないとしても、一年間家族の命はつなげる状態になっ
ているかな」などと話したら、「それはすごいですね」と言われましたが、我が家は昔
からそうだったんで、そんなにすごいということでもない感覚なのです。お肉はかって
の日本人と同じくほとんど食べませんが、お魚はよく食べます。
 「医食同源」「身土不二」を標榜してきましたが、どんな動物も自分の行動する範囲
のものしか食べません。というか食べられないのですが。
 人間も自然界の一員で、その気候風土の中で生きています。その気候風土の中で
育った食べ物を食することが生命力を強くするのではと、科学的根拠もないのですが
、何となく信じて生きてきたように思います。       合掌
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1107                     2013.9.17
 台風18号は日本列島縦断し各地に大雨洪水をもたらしました。皆さんのところ
は大丈夫だったでしょうか。かって経験したことのない大雨洪水が春先から続い
ています。異常気象も極端に激しくなっているように思えて不安が募ります。
 ここ千葉県は、各地からするとそれほどでもなかったようです。雨もありましたが
大雨と言うほどでもなく、風もけっこう吹き荒れましたが、大被害と言うほどでもあ
りませんでした。
 気温が急に下がり始め夏野菜のオクラやゴーヤなど穫れなくなってきたところで、
この風。夏野菜はとどめを刺された感じです。ナスも風でぐりぐりにされて成ってい
たものは傷だらけになってしまいました。もう夏野菜は終わりで、秋野菜に変わる
季節になりました。もう少ししたら小松菜やホウレン草が出始める予定ですが、この
台風の影響でどれくらいの被害になるか、もう少し時間が経過しないと分かりません。
 蒔き付けして芽が出たばかりのものは、風で振り回され  じく元からちぎれたり葉
が吹き飛ばされたりします。また大粒の雨は小さな苗をたたくようにして痛めつけま
す。ある程度育ち大きくなれば雨風に負けないだけの強さが出ますが、微妙です。
 今日の予報ですと、明日からは気温が20度前後となるようですが、そうなると秋冬
野菜の里芋やさつまいも、長ネギやゴボウなど温野菜の出番です。ジャガイモもそう
ですが肉じゃがや里芋の煮物などとても美味しいです。是非野菜を食べて栄養バラ
ンスをとって体力をつけて下さい。
 話変わって、ハザ掛けした稲はハザが強風でばったり倒れ、今日ほぐして修理立て
替えしました。台風さえ来なければ先週の土曜日あたりに脱穀作業をするはずだっ
たのですが、ハザが倒れ稲束が水につかったりしたので再度かけ直しです。
 連れ合いとお手伝いのカメラマンさんの3人で半日かかりました。
天気がよく風も適当に吹いていたので午後は最後の稲刈りをしました。これでコシヒ
カリの稲かりは終了。ムラで一番遅い稲刈りです。それでもあと酒米が残っています。
今年は寺田酒造さんにお願いして無農薬栽培の酒米をつくります。
 2.3年休んでいたのですが復活です。久しぶりに自前の自然酒を酌み交わそうと
来た人達を誘っています。自前の油で自前の野菜をつまみにして自前の酒を飲む
なんて贅沢だよね!と楽しみにしています。希望者はご連絡を!
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1106-先週に引き続き稲刈りのこと            2013.9.9
 40年ぶりに手刈りの稲刈りをしました。新規就農のK嬢が希望したことと東京か
らのチーム2121からリクエストがあったからなのですが、なにせ40年の間に稲作
は、手刈りからバインダー、コンバインへと大きく変わりました。
 機械が入る前の稲作は、鎌による稲刈りです。お米という字は八十八の手がか
かると書くんだよ、などと教えられたものです。何度稲を扱うかというとまずは稲刈
り。そして藁を使って束ね(両手でまわる位の小束)、その小束をハザ掛け(私の地
方ではハザ掛けでなく、オダ掛けと呼ぶ=以下オダ掛け)する。そのオダ掛けは、
竹山から竹を切り出し、足の部分と稲をかける太い竹竿(長さは5.6mから7.8m
のもので1.5m位の高さに据え付けます。田んぼの畦にぐるりと作ります。それで
稲刈りの準備が整います。
 その後は、1週間位天日干しをして乾燥させます。そしてオダから外して大束に束
ね、持ち帰り脱穀です。脱穀したら藁を束ね納屋に収納。脱穀したモミはムシロ(稲
藁を編んだ敷物)に干してさらに乾燥をさせます。1年食べ続けられ品質が保持され
るためには15%以下の乾燥が肝要なのです。
 次には乾燥十分なモミのカラをとり玄米にするための籾すりという作業です。機械
を使うのですが、籾殻と玄米ができますが、玄米はさらに選別機にかけて、秤にか
けて袋詰めされます。
 40年ぶりのオダ掛け仕事だったので記憶が確かでなく、どれくらいの竹材を用意し
ていいのかわからなくて困ったのですが、見当で足用の細竹200本、オダ用の竹竿
(6~8m位)を15本用意しての稲刈りでした。
 集まったのはみな素人で何をどうしたらいいのかまったく分からない人たちばかり
だったので、まず稲の刈りかた、束ね方をやって見せて開始。ふだんデスクワークし
たことしかない人達ばかりだったのでどうなるか、終わるのか心配だったのですが、
みな汗びっしょりで一所懸命だったのには感心しました。
 途中休みを取りながらやってもいましたが、へたり込む人はいません。曇り空から
始めた模様でしたが、夕方になり陽が差し込むようになってすべての稲刈りを終えた
時は、みんなで拍手!みなでやり終えた、ご苦労様という心情が伝わってきました。
 来年の2月から麻布の三宅一生さんの2121ミュ-ジアムで半年かけてお米を通し
ての文化探求?の展示会だそうです。是非ご期待下さい。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1105                     2013.9.2
 9月に入ったばかりというのに、ムラのの田んぼの大半の稲刈りが済んでしまって
います。台風が来ると言うことからなのか、せっかちなのか。
 私の田んぼだけが点々と残されています。それでも、稲はたわわに実り、しっかり
立っています。一部草に負けたところはありますがまずまずの出来具合ではないか
と思っています。とは言っても刈ってみないとわかりませんが。
 今年は全田無農薬栽培の内、一部はマット苗でなくポット苗で植えたところがあり
ます。それは、機械化以前の、昔ながらの手植え、手刈りで、ハザ掛けのお米作りを
したい、というリクエストがあったからです。
 数千年という歴史を持つお米作り。人はその中で知恵を絞り、工夫を重ね、ともかく
1年も休まず作り続けてきました。それはそれこそ生きるための所作でもあったので
すが、その中で五穀豊穣を、家族の安泰を、天下太平を願って一年を暮らしてきました。
 苦労はあったと思いますが、その中で道を作り、水路を作り、困難があれば村中で
取り組み、道を切り開いてきた歴史があります。時間は見えないけれど確実に刻んで
きた歴史があります。まあそんなことを少しでも感じられれば、ということで昔ながらの
農法に取り組むことになったのです。
 そこで、昨日はハザ掛けの材料をそろえるために竹山に行き、竹を切り、長さを揃え、
包丁で先をとがけて200本位のハザ掛けの足になる竹材、稲束をかける孟宗竹を切り
出す、という仕事をしました。
 東京から来た2人と新規就農の娘さんと私達2人の5人でした。久しぶりの山の中に
は、蚊がうようよいてアブも飛び交い、しかも蒸し暑い日でした。東京から来た娘さんは、
「頭がくらくらしてきて何を言っているのかよく聞き取れない位だった」という一日だった
のですが、一応所期の目標を達成して終えました。
 竹伐りは今は時期ではありません。11月12月が竹伐りの時なのですが、1週間後の
稲刈り予定ですからそんなこと言ってられません。昔の人のやってきたことは今流に考
えれば労働はきついし、効率も悪いかも知れませんが、野にある物を利用する知恵と
工夫は感心します。しかも翌年にはまた竹が生える再生可能な継続的持続的な利用
です。農という仕事は持続的思想の実践でもあります。
 いっぱい汗をかいて、山の中を吹き抜ける風のさわやかさを感じながらの稲刈りと
ハザ掛け準備でした。
                         おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1104                     2013.8.26
 そろそろ夏野菜が終わりに近づいてきた感じです。我が家のミニトマトも木が細く
なって実がなくなってきています。ゴーヤ、オクラ、空心菜なども枯れ葉が目立って
きたり、花が少なくなってきて終わりを告げているかのようです。
 野菜達も秋を感じて来ているのでしょう。熱い夏を通り越して木が堅くなってきた
り、モロヘイヤなどは葉を食べるものですが、花が咲いてしまったりと変化します。
近隣の有機農家にはトマトの片付けをしてしまった、という人もいます。
 一方で、サツマイモ、長ネギ、里芋、生落花生など秋野菜が始まっています。芋
類はまだ小さめですが、この夏でも何とか成長し、味もまずまずで順調に出荷でき
そうです。
 春に五穀豊穣を願いお祭りをしてその後、植え付けや管理、除草などをしてようや
く実りの秋を迎え、大きく成長した里芋やさつまいもそしてお米。作った者でないとわ
からないでしょうが、その実りに出会うことは感動です。太陽をめいっぱいに受けて
その輝くような実りの姿を見ると「売りたくなくなるよなあ!」という話が出ます。
 それが生活となると経済活動となって、採算や効率などを考えねばならないので
また違った側面が出てきます。そこが難しいところで悩むところです。
 昨日は、アースデイ千葉に出店してきました。研修性と新規就農の娘さん、我孫
子市とスペインからの娘さんといったメンバーです。スペインの子はビーガンと呼ぶ
菜食主義で食事が結構大変です。
 これまでもベジタリアンの人も来ていましたが、卵は食べる、あるいは魚は大丈夫
といった人は多かったのですが、彼女は魚はもちろん卵も乳製品も食べません。純
粋菜食主義でもあり、一切の動物食は食べません。
 我が家はお米と野菜、味噌醤油そして自家採取の食用油がありますからそれだけ
で何とかなると思っていたのですが、たまには購入もします。時々のパンや菓子類、
暑さの中でのアイスクリームなどこれまで何とはなしに食べていたものが彼女には
適さないことになってしまう。
 加工食品にはほとんどの食品に乳製品や卵は使われています。善し悪しは別にし
ていかに知らなかったか勉強させられています。で、自宅で握ったおにぎりやお新香
など持参でのイベント参加でした。私達人間はいかに多くの生き物の命を奪って生き
ているのか、勉強になる毎日です。
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1103                     2013.8.19
 当地はもう稲刈りが始まりました。猛暑の記録的な高温が続いたせいなのでし
ょう。生育がどんどん進んだと思われます。一人始めるとあちこちで始まります。
連れ合いと国道を走っていたら、コンバインが田んぼに入る姿が目に入り「おい!
もう刈り始める人がいるよ!」と話したのがお盆明けの16日でした。
 あれから4日目というのにあちこちで刈り取りが始まって、青田が白ちゃけた稲
藁の水田に変わって目につきます。
 我が家は地域の人たちからすれば半月から一月近く遅い種まきなのでまだです
が、気持ちが急いできます。昨日は、毎年稲刈りを頼まれている隣家から「9月の
2日か3日にお願いします」と頼まれました。
 そうなると、乾燥機やもみすり期などの整備をしておかねばなりません。刈り取り、
乾燥、籾すり、選別、計量など一連の機械の動作確認などもしておかねばありませ
ん。今年は乾燥機を取り替えての年なので、それぞれの機械の配置やら調整が必
要です。
 畑の雑草もまだ片付かず、トマトやナスなどの収穫も続いていて間に合うかどうか
、などと心配中です。
 そんな中、鉄屑屋さんが来ました。連れ合いが「鉄屑やさんが来たから古い乾燥機
持って行ってもらおうよ!」と。持って行くと言っても高さは3メートルを超えるし、重さ
は数百キロある物ですから簡単な物ではありません。解体して持って行くにも1日が
かりでしょう。特に重い部分は人間の力では無理で、重機がないと車には乗りません。
ともかく持って行くというので今解体中です。
 年に数度そうした鉄屑屋さんが来ます。いわば便利屋さんです。壊れた機械とか、
ハウスの鉄骨とか持っていってくれるので助かります。ちょうど自分で解体して始末し
ようとしていたところなのでタイミングのいいところでした。
 稲刈りの準備も始まりましたが、先日のお米屋さんの話だと今年はお米の値段がか
なり下がる見通しだそうです。そうなると田んぼを預かる米農家は赤字続出になりそう
です。
 実りの秋であり豊作を願い作り続けても経済的に合わない行為となっては何のため
にお米を作るのかわからなくなってきます。世界経済のために足下の営々と営まれて
きた伝統ある稲作は、農村はどうなってしまうのでしょうか。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1102                     2013.8.12
 猛暑が続き、ついこの間降った雨もどこやら畑がからからになり始めました。
ナスの木が、モロヘイヤの木が葉がよれよれの状態が出始めました。葉がし
おれるのは間違いなく水分不足です。畑が乾きすぎて枯れ始める兆候です。
 そんな中、日中1時間も仕事をすると汗でびしょ濡れ状態です。連れ合いが
温度計を見て「お父さん!43度だよ」と叫びます。「ウソだろう、太陽に照らさ
れているから温度計そのものが暖められて温度計が上がってるんではないか
」と言ったのですが、一応日陰だったので、TVで40度を超したというのはホント
かな、と思った次第でした。
 シャワーを浴びてお昼にしたのですが、只いるだけで汗がしたたり落ちてきま
す。我が家はクーラーはないので、自然の風任せです。戸障子を開け放ち風の
通りをよくして扇風機を回しましたが、汗は収まりませんでした。
 で、雨の降る見込みがなさそうなので灌水チューブを敷き水かけをしました。お
かげで今日のナスは元気を取り戻し葉もピン!と立って命が戻った感があります。
10日に蒔いた人参とソバが芽が出るか、心配です。
 7月に蒔いた大豆は本葉4.5枚となってまだ小さいのですが元気です。大豆は
直根性の根張りです。野菜類は浅根性ですが大豆は真下に向けて根を張るので
少々の干ばつでも元気なのでしょう。
 そんな中、40年来の尊敬する知人から贈呈本が届きました。4人の共著ですが、
「東大闘争と原発事故」とたいそうな題名です。東日本大震災と原発事故で言葉を
失った経験を忘れないようにしたい。荒れ果てた廃墟を前にして、なにかが間違っ
ていたのではないかと私達は考えた。・・・そんな書き出しです。
 終戦記念日の月であり、広島や長崎の原発のドキュメンタリーや映画「終戦のエ
ンペラー」などを見ていたこともあって、終戦以来の歴史の中で何かが間違ってい
たのではないかと自分でも思うところがあったのでタイムリーな届き物でした。少し
づつかみしめて読んでみたいと思っています。
 世界が進歩するというのは、人種や国境を取り払い世界中の人々が助け合い生
きて行くことではないかと考える私からすると全然そういう方向ではなさそうに見え
ます。生き残りをかけて競争して勝ち抜くという考えは敗者をつくることであり、敗者
のゆく末のことなど考えないという冷たい心を感じます。我が家に来る世界中の若者
のことを思うと世界は一つ、としか思えないのですが、、、。合掌
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1101                     2013.8.6
 毎週月曜日に産地の声を書いているのですが、昨日5日は檀那寺のお施餓鬼会
で一日かかり、その上ビールをご馳走になったものですから頭の中がすっかり昇
天してしまいました。一日遅れの産地の声です。
 途中お客さんが来られ、お寺から抜け出したのですがお施餓鬼のことを話したら
「何ですか、それ?」という。都会育ちの彼にとっては何のことか分からなかったよ
うです。伝統と習慣の中で育った私たちは、生まれたときから毎年お盆月になれば
お寺さんに出かけ読経して卒塔婆をいただく行事であり、それを自家のお墓に供え
る。それを当たり前のこととして受け入れてきました。
 時間がなかったので施餓鬼会の話はそこそこに用件を伺いました。麻の実を搾っ
てまわる全国キャンペーンに搾油機を貸してほしい、と言うことでした。麻は日本人
の衣服の始まりの工芸作物です。同時に神様をお祀りする必要不可欠のものでも
あるのですが、この国では厳しく栽培規制されています。
 その理由は、麻は大麻に通ずることにあるようです。麻薬の原料ともなると言うこ
とでしょうが、日本では免許を持っているのがごく一部の地域で、千葉県内ではあり
ません。麻をつくり麻の製品にするには手間暇がかかります。ですが、日本の伝統
的なものなので復活伝承していきたい、との願いなのです。
 麻と同じく衣服に使われる綿も作られなくなって来ましたが、有機農家有志で日本
の気候にあった和綿を残そう、引き継ごうというプロジェクトがあります。
みんなで少しづつでも作り続け種を残してゆこう、と私も一時取り組みましたが、
これが結構面倒なそして手間暇がかかりました。そんなことで、今取り組まないと消
滅しそうな伝統的文化に目を向けることに心ある人達がいることを知ってほしいと思い
ます。そして応援をしてほしいと思います。
 話変わって、全国的には集中豪雨があちこちで続く中でこの千葉県は、その異常気
象を避けるかのように雨が少なかったのですが、昨日今日は雷雲と激しい雨が降りま
した。おかげさまで畑は十分に潤い、人参を始めとする秋野菜には恵みの雨となりま
した。それも北陸や東北のように豪雨とはならず一安心です。
 それにしても日本列島の異常気象、雷雲を伴う豪雨は何なのでしょうか。一時異常気
象のことをここで良く取り上げてきましたが、日本列島全体が、地球が、かってない変
動の時代になったのでしょうか。地下からは地震、地上は風雲が荒れ狂う阿鼻叫喚の
時代とならなければいいと願うのですが、、、。 
                     byおかげさま農場・高柳功
(産地の声)vol.1100                     2013.7.29
 福島県の田村市に有機農業研究会の仲間がいます。千葉県の有志で3.11以来の
事故被害を受けてささやかですが野菜の支援を続けてきました。その有機農家から
手紙を戴きました。
 ・・・原発事故以降、我が家は1才と6才の孫がいて野菜を作ろうとは思わいません
でした。ですが、昨年から少しづつ野菜を作り放射能検査をして、今はすべて検出せ
ず、でした。田畑の除染も家の周りの除染も終わり、何とか自分の野菜も食べれるよ
うになりました。そういう訳で、野菜も自給できそうですので宅配は今月で終わらせて
戴きたいと思います。本当にありがとうございました。・・・と段ボールいっぱいのお菓子
を添えて礼状を戴きました。。
 福島に生まれ、ふるさとの自然を愛し、環境や食の安全作りに心血を注いできた方々
です。数十年かけて培ってきた自然や大地が原発事故のよって一瞬のうちに汚染され
ました。あれから2年が経ちますが、ようやく自分の野菜が食べられる数値になったの
です。
 しかしながらまだ不安が解消されたわけではありません。原発事故によって生活や
先の見通しの立たない中での心労は、私達にはうかがい知ることができません。福島
からすればもっと遠いこの千葉県からも避難している人たちもいるというのに、福島県
内に踏みとどまって、除染作業に取り組み、検出せず、という結果が出るまでのこの2
年間は、ふるさとに対する想い、有機農業に対する志のたまものの結果だと想像します。
 まだ安心できませんが、これ以上の汚染が進まないことをただただ祈るのみです。
家族が安心して暮らせることがなによりです。
 話変わって、昨日今日と久しぶりの雨です。おかげさまで干ばつ状態だった畑は十分
に潤い、瀕死状態だった野菜達も生き返るでしょう。既に枯れ上がった野菜は別にして
ですが。
 雨の合間をぬって、ダイス蒔きをしました。畑の隅のスイカ畑、ナシウリを覗いたら、い
くつもの果が干ばつのため割れていましたが、正常なものもあって収穫しました。そこへ
隣町のニワトリ村の娘さんがイタリアのウーハーを連れて来訪。ティータイムにして、ス
イカ、トウモロコシを茹でて食べました。こだわりの野菜を好きなだけ食べるなんて消費
者に皆さんには申し訳ないのですが、農家の特典です。 それができるようになった田村
市の仲間達!
                        おかげさま農場・高柳 
(産地の声)vol.1099                     2013.7.22
 参議院選挙が終わりましたが、自分でこんな書き方をするのもおかしいと思う
のですが、私にはどうも政治というのが信用ならないと思っているフシがありま
す。というのも何度も政治に期待せねばと思ったことはあるのですが、選挙で
の公約というものがウソだった、とたびたび思ってきたからなのです。
 過去のことですが、米は一粒たりとも輸入しないといっていたけれど、ころっと
輸入をし始めました。それも衆議院参議院とも全会一致で決議したにもかかわ
らず、です。それも国会議員が全会一致で3度も決議しているのです。これで国
権の最高機関である国会というのはウソだな、と思った決定的な出来事です。
 また食料自給率の向上などといいながら私の農業歴40年の中で下がりっぱな
しで、政治は何をしてきたのかとしか思えないのです。かってG8先進国主要会議
の参加国の中で自給率をきちんとやっていない国は日本だけで、世界最大の農
産物輸入国に甘んじていましたが、その道は自給率低下と地方の疲弊への道を
進み現在に到っています。
 また沖縄の問題やオスプレイ問題など、この国の意志などお構いなしのアメリ
カの言いなりとしか思えない政府の態度は何なのでしょう。アジアではフィリッピ
ンあるいは南アメリカ諸国ももう自分たちのことは自分たちであるからと自立国家
の道を歩いている姿からすると言ってることとやってることが違いすぎるようにし
か思えません。
 消費税はやりません、Tppはやりません、と言いながら、いきなりトップダウンで
方針転換する政治の有りようはどう理解したらよいのかわかりません。過去の経
験でわかることは、公約というのは選挙用の言葉なのだという理解しかできないの
が残念なことです。
 しかも、狡猾になったのか福島問題やらTPPのことなど喫緊の問題を選挙の争点
にしない、という戦略なのか、興味の持てないつまらないポスト争い、勢力争いにし
か感じられなかった選挙でした。
 閉塞感がただよい地方は疲弊し農村社会が壊れ家族社会が解体しそうな時代に
なっているというのに。私にはそちらの方が気になります。農業従事者の平均年齢
が66才という現状。輸出して国際競争力をつければ農業も!などというセリフは実
体からかけ離れています。それでいて日本農業は守られているなどという論が幅を
きかせているのは政治の怠慢としか思えません。
 今回は、愚痴のようなことしか書けませんでした。ごめんなさいです。
                     おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1098                     2013.7.15
 うだるような暑さが続いています。(うだるようなという言い方はこのあたりの
方言ですが、たぶんゆだるようなという表現がなまってうだる、となったので
はないかと思います。寒さには使いませんから)
 今朝TVで農産物が暑さのため被害が出ている報道がありました。高原レタ
スがヤケドをして葉が枯れ上がり、桃は高温で夜温が下がらないので色が下
がらない。その結果、色がつかず赤くなるものが黄色の色しかでない、味は変
わらずともJAでは出荷を扱わない、となって農家は収入半減になっているとい
うのです。
 当農場でもその被害は甚大です。ようやく出荷が始まった小玉スイカが高
温、高日射のため膨張し、パンクしてしまうほどになりました。急遽出荷停止で
す。カボチャも同じく、高温高日射のため変色、痛みが入ってしまいました。
 生産者の遠藤の畑は、3分の2が廃棄せざるを得なくなってしまいました。私
の畑も同じくで、畑にあるカボチャの太陽が照りつけた面は、緑色であるはずの
果面が白く変色してしまい、手で押してみるとグワグワで指が入ってしまうのです。
 お客さんからクレームがつきましたが、今夏のスイカは数日で終了になりまし
た。おかげさま農場でスイカを始めて以来、こんなことは初めてです。
 スイカ、カボチャ、そしてキュウリも一気に枯れあがりが目立つようになり終わ
りに近づいています。ウリ類の方が夏の暑さに弱いようです。といってもトマトや
ナスなどのナス科の作物も水分不足となって木が細くなったり、部分的にです
が、しおれ始めて来ています。
 畑全体が高温、高日射のために干ばつ状態になってきているのでしょう。昨日
は、ナス畑に灌水器具を持ち込み水かけを始めました。適度な光線は生育に欠
かせない物ですが、こう暑くなると破壊光線になっています。紫外線は破壊光線
と言うことですがあらゆる物を破壊し始めます。
 細胞への破壊力は、ガンを引き起こすほどと言われます。地球温暖化によって
オーストラリアやニュージーランドでは紫外線が皮膚ガンを引き起こしている情
報もあります。
 私達はその暑さの中でも畑に出ています。百葉箱の中の35度は、畑では40度
を超します。先週まで米国の青年が、今週はイタリアの青年が一緒に働いていま
すが、帽子をかぶって水はこまめに飲んで、と頑張っています。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1097                     2013.7.8
 急に夏日が続くようになり体がきついです。今朝は連れ合いが、「朝方太陽が昇
る前のキュウリ取りは涼しいかな、と思っていたけど太陽が昇り始めたら一気に
熱くなり出して、もういられない!」と。
 30度を超すと一気に夏野菜が動き出します。ナスやキュウリ、とまと、ゴー
ヤ、モロヘイヤ、ピーマン、オクラなど夏野菜は気温の上昇で一気にとれ出しま
す。反対に、キャベツやトウモロコシなどは虫の大発生で終了へと向かいます。
 そんな中、昨日はアースデイ千葉で千葉駅前通りでの出店です。
研修性のミホちゃん、台湾からのラッチ嬢、アメリカの大学生ジョン君、そして
新規就農のツヤちゃんの5人で、10時から午後4時までテントを立て野菜の街
頭販売でした。
 ジョンもラッチもたどたどしい日本語で頑張りました。収穫とトマトのパック
詰めや午後は草取りの続く毎日でたまの外出出店は「面白かった!」と言う。
 ラッチが今日帰るというので、昨晩はささやかなお別れ会でした。「なんで日本
へ来たのか聞くと「日本大好き!」大学も英語を専攻しようと思ったのだけどお
母さんが日本語を進めたので日本語4年やった。だけどうまくならない!」と愚
痴ってましたが、なかなかです。
 ジョンも初めての日本訪問ですが、本やTVで日本のことが好きになってどう
してもと言うことで、大学の休みを利用してきた。「日本の芸術も音楽も、景観も
日本人もみんな大好き!」サンフランシスコ郊外の出身で、都市はあまり好きで
ない。自然豊かな田舎大好き、だという。
 翻って日本人は田舎でも都市に向かう若者が大半なのにどうしてなのかな、と
思います。大げさに言えば(あるいは偏見かも知れませんが)日本人の若者が嫌
う田舎に世界の若者が興味を持ったり、関心を示すというのはどういうことなの
だろうか、と考えます。
 これまで、EU諸国アジア、アメリカなど30数カ国からのホームスティーを
受け入れてきましたが、オーガニック農家への訪問は、日本の原風景、人のふれ
あいがあるから、ということのようです。今ではどこの都市でも世界中同じにな
ってしまって面白くない。ジョンは、東京は行きたくない、とまでいいます。
 次はどこへ行くかと尋ねたら、次は房州の農家へ行くという。中央へ向かうの
でなく、地方へと向かってなにかを求めての旅です。
                    おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1096                     2013.7.1
 田んぼの刈り取り後に最初に必要なものは乾燥機です。刈り取ったモミはその
ままでは水分が多すぎ置いておけません。そのまま置くと呼吸熱でたちまち熱を
持って消耗変質してしまいます。そこで刈り取って収穫されたモミはただちに乾燥
機に入れ風を通し石油を燃して熱風で乾燥させます。
 その昔、コンバインもなく手で刈り取りハザ掛けしていた頃は田んぼで自然乾燥
させ、家に持って来たときは仕上げ程度の乾燥作業で済ましていました。時間が
ゆっくり過ぎていたとも言えます。刈り取って半月から1ヶ月かけて自然乾燥させ脱
穀、もみすりしてお米にしていたのです。今は、刈り取って次の日にはお米にする
時代になってしまいました。
 昨秋は、2台の乾燥機のうち1台が老朽化のためあちこちが故障し、親戚の設備
を借りてお米にしたのでした。そういうことで新しい乾燥機を入れることになったは
いいのですが、今度はその乾燥機が今の作業場では入らない。今の乾燥機は循
環する方式なので高さが必要となります。そこで作業場の改築をすることになった
のです。あと2ヶ月で秋の収穫時期になります。それに間に合わせるために急いで
改築作業に入ってのですが、ようやくコンクリートの基礎打ちまでになりました。
 今日は、基礎打ちの職人さん、鉄工屋さんが最後の仕上げで、一方で庭先の植
木の手入れをする職人さんと5人の職人さんが来てくれています。田んぼや畑も今
が盛りで、トマトやキュウリ、カボチャなどの収穫作業や草取りなどの仕事に間に
合わないほど追いかけられているので、あわただしい日々なのです。
 そういう時間を過ごしている私達からすると朝晩、株価がどうの円相場がどうのと
毎日のように報道されていますが、毎日毎たび報道する意味がどれほどあるの未
だにわかりません。
 まるで異国のことのような他人事のような気がしてならないのです。私達が手を出
すこともできず、関わることもできず、私達の生活とは無縁のことがさも大事なこと
であるかのように報道されていることに大きな違和感を持ちます。
 基礎やさんは地面を平らにしてコンクリートを打つために地面を平らにして水平を
図っています。鉄工屋さんはドアの取り付けをしています。植木屋さんは庭先の植
木の新芽を刈り取り形を整えています。今を生きる人に創造、感動や安らぎ、そして
安心をもたらす仕事が疎んじられていく時代へと進行しているように思えるのは私
だけでしょうか。         byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1095                     2013.6.24
 一昨日の土曜日は、食と命の教室で、昨日はアースデイ千葉と2日続きの行事
続きでした。アースデイ千葉は初めての場所で、千葉駅からとなりのそごうへと続
くアーケードでの販売です。千葉駅と言えば県都でもありいわば千葉県の中心街
です。人通りはとても多い。
 販売を娘達にまかせてそごう入り口のちょっとした空間で人混みを眺めていたら
アリの行列とそっくりに思えてきました。と言うのも今我が家の母屋の周囲をアリ
の行列が数日にわたってなされていたのです。ずっとその列を眺めていたら同じ
方向だけに歩いているのでもなく逆に歩くアリさんもいます。
 絶え間なく歩き続けるアリさん達はどこに行くのか切れ目がない。いたずらをし
てほうきでちょっと掃いてみたら数分後には元にもどり再び行列が続くのです。駅
前の人間の行列も絶え間なく続き、そごう方面に行く人もあり駅に行く人もあり、
途中の信号が赤になるとピタと流れは止まるけれど再び元のように流れる。数日
前に見たアリの行列にそっくりの動きに見えるのです。
 「アリさんは何のためにそうした行列をするのか、人間も同じような動きをすると
すればたぶん同じような理由ではなかろうか。」「たぶん俺がアリの観察をしてたと
同じように他の生き物が人間を観察したらアリさんと同じだ、と思うだろうな」と一緒
に行った娘達に話したら、大笑いされてしまいました。
 私がそんな観察してた間、娘達は10時から6時過ぎまで立ちっぱなしで野菜を
販売してくれました。おかげでいつもよりよく売ってくれました。会場が変わってど
うなるか、と思っていたのですがとりあえず娘達のおかげで努めを終えることがで
きました。ごくろうさま!でした。
 畑には9日に刈り取った菜種が脱穀を待っていますが天候不順なため乾燥不十
分で仕事が進みません。その上雀に群れで種を食べられ、日が経ちすぎ上の方
はじけ始めていて、気だけが焦るのですがどうしようもありません。
 菜種を脱穀したら小麦の刈り取りが待っているのですが、そちらの方も手つかず
です。一方、雨続きと夏日の連続で作物も育っていますが雑草も勢いを持って来
ています。
 やることはいっぱいあるのですが、雨が邪魔をして仕事が進みません。1週間ほ
どあれば一通りのことが片ずくと思うのですが、天候は人知を越えた現象です。
恵みに感謝しつつ、などと言ってられない心境です。早く天気になあれ!
                      byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1094                     2013.6.17
 続く雨模様で「ほんものの梅雨の天気になっているな!」空梅雨だと思ってい
ましたが、お茶話でそんな会話が続いています。出入りしている職人さんも屋根
仕事中なので、雨だと仕事にならず、雨のやんだ合間にちょこちょこと様子見に
くるだけです。
 昨日は、お付き合いしている自然食品に働く数人の方が田んぼの草取り体験
に来たのですが雨なので中止に。キュウリの袋詰めやトマトの収穫を手伝っても
らいました。時間があったので、自家製の小麦粉と仲間の自然養鶏の卵を使っ
てパンを焼きました。 帰りは、「直売所に寄ってく-」と。
 彼らが帰り、家の周りの草刈りをしてたら知らないカップルが声をかけてきまし
た。「直売所の代表の方ですか?」と声をかけられお茶。
 聞けば、埼玉の方からはるばる直売所に来たという。わざわざ埼玉の方から来
たというので「ではお茶でもしてゆっくりお話を聞きましょう」と言うことでお茶になっ
たのでした。「こちらの方にきた折、一度寄って買って食べたら野菜が美味しかっ
たのでまた来てしまいました」と言う。
 小さな小さな直売所です。泥棒が入ったり経営も難しいところがあったりして一
度はやめようかと思ってこともありましたが、お客さんにガンの患者さんとかアトピ
ーやアレルギーなどの患者さんがいて、いつでも買い物に来られる場をやめては
いけない、という会員農家の声もあってパートさんに頼んでささやかに運営してい
るのです。
 そうしたらパートさんから「横浜からのゴルフ帰りのお客様が、おこの野菜を食べ
たら他のは食べられない、と妻が言ってます。」といって前よりたくさん買って行きま
したよ!」と。正直なところ、「そんなには違わないでしょ!」と言ってしまうのですが、
もし違うとすれば、私達の作り方は変わらずですから最近の経済性追求の大規模
経営の結果がそこに出ているのではないか、と思います。
 小規模から大規模へと変化する中で中身が変わって来ます。大きくなってくると仕
事が間に合わなくなって来ます。そこで原価主義、合理主義、市場主義が幅をきか
せ、機械化、省力化が進行します、そこで失われるものは、生き物に対する愛着、
命を育てると言う思い、食べ物は天からの恵みものだと言う感謝の心。 高度成長、
WTO、そしてTPPなどと経済成長こそすべての時代が進行していますが、親が子の
命を大事にする心は比して大事にされていないようです。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1093                     2013.6.10
 昨日は、菜種の刈り取りをしました。約2反近くに畑の蒔いた菜種は4月下旬
には花盛りになりそれから約40日です。実入りもよく上の方のさやがはじけ始
めています。はじけ始まると雀などに食べられ始めます。置いておくと鳥たちに
食べられるよりも自然にはじけて落ちてしまいます。
 で、青い内に刈らないと収穫にならないのです。2反近くとちょっと多めに種ま
きしてしまったので「一日かかるかな、」と思っていたら半日で終わってしまいま
した。お手伝いもあって11人で一人一人が手際よく刈り取ったおかげだったと
思います。これで畑での枯れ上がり乾燥を待って脱穀作業となります。すべて
手作業なので「出来上がった菜種油はもったいなくてなかなか使えないよね!」
と言う話になります。
 ひまわりプロジェクトの仲間も言っていますが、「手間ひまをかけてつくったひ
まわり油を、高い安いなどという人には売らない。買って欲しいとも思わない。そ
の価値のわかる人だけに分けることにしたの。」と言う人が多い。
 油に限らず、自分でつくってみれば作ることの大変さ、ホンモノの良さを実感し
ます。農業新聞にお米の生産費を10年間で4割削減する、などという国の政策
が書かれていましたが、果たしてそんな考えでいいのか疑問符です。物の価値
をお金でしか計れない時代になってしまって、果ては人間の命までお金で計る
ようになってしまった日本。
 人の思いや、伝統、誇り、郷土を思う心、そういった人間として大切な部分を切
り落としてした近年ですが、さらにWTOからあTPPへと仏教で言えば欲という餓鬼
の世界へと向かっているように思えてなりません。TPPは本当に嘘っぽい議論で
す。上から目線の下っ端は口を出すな、と言わんばかりの内容です。
 何のため、誰のため、なぜTPPなのか内容は秘密交渉などということが平気で
行われ、それが当然視する風潮を作り出しているマスコミをみているとWTOと同じ
ではないか。中央?だけが肥え太り、地方が疲弊してきた歴史的事実をまったく
意に介していません。
 まあ私達はちょっと耐えられないので、なるべく自分のことは自分でまかない、
壊された部分を少しづつ修復し、何をどうしたかわからないものを食べていくより、
少々手間や時間がかかっても正体のわかったものを食べていこうとするしかあり
ません。そんなことでお米、野菜から始まって油作りに精を出しているのです。自
然の恵みに感謝して・・・。         byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1092                     2013.6.3
 まだだろうと思っていたキュウリが採れ始めました。「おっ!初ものだね!」と
早速塩もみして食べました。連れ合いやら娘や息子と試食し「うん、美味しいね」
「うまいな!」と。
 定植したのが4月28日ですからちょうど1ヶ月で初収穫です。ナスやトマトは
初なりに4ヶ月近くかかりますが、キュウリは2ヶ月ちょっとでなり始めたことにな
ります。ウリ科の野菜は早くなり始めますが終わるのも早いのです。たぶん7月
いっぱいまででしょう。
 キュウリ生涯は短いので、次にはウリが植えてあります。キュウリが終わる頃
にはウリが採れ始めて、それがお漬け物になったりして秋を迎えます。「旬を食
べる」とはそうした季節ごとの実りを楽しみつつ戴くことなのだと思います。その季
節を満喫した野菜や果物は、私達人間の命にとってもその季節を生き抜く栄養と
生命力がいっぱいなのだ、と思います。
 私達は、ノーケミカル栽培なので農薬も使いませんが、一般的には病気予防と
害虫退治と称して1週間おき位に消毒のためと農薬がまかれているようです。先月
は誘いもあって、ネオニコチノイドという農薬の勉強会に行ってきました。人間に影
響がないとの触れ込みで急速に普及した農薬です。
 浸透性で植物体内にしみ込み、それを食べた害虫が死んでしまうと言った性質を
持った農薬です。ミツバチは開花植物の80%に関わっていると言います。受粉とい
う行為で花が実りになり、子孫を残す自然生態系の豊かさがあります。そのミツバ
チが減少し、受粉ができない。アメリカやEUそしてこの日本でもミツバチの大量死
が続出しています。その原因を探っていくと、ネオニコチノイドという農薬の使用し
た時期が一致する、というものです。
 バタバタ死んでゆくミツバチたちの姿を見るとこわいです。受粉植物の絶滅にも
つながります。世界中で蜂群崩壊症候群が広がっており、アメリカでは使用してい
るミツバチが4分の1にまで減ってしまったという。飼っているミツバチだけがそうい
う現象になっている訳でなく、自然のミツバチがどこに行ってしまうのかその原因は
特定されていないと言うけれど心配です。(*蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかい
しょうこうぐん)-ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象。
 自然の摂理の中から知恵や工夫を重ね培ってきた伝統的農法に学び、ゆっくり
と生きることはできないのでしょうか。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1091                     2013.5.27
 ようやく夏日が続くようになって,ハウス内のトマトが元気に育っています。仲
間のトマトは桃太郎で普通のトマトですが、とれ始めました。試食してみました
がまずまずの出来でおいしい!同じくピーマンもまだ木が小さいのですが、ピ
ーマンは熟す前に収穫して食べるものですから早めに採れます。。
 私のは、ミニトマトです。今3段目が花盛りで、1段目は実が太り始めて房な
りになっています。先週で、誘因作業を終えることができました。トマトにせよ
キュウリにせよ植えてそのままにすると成長して倒れ始めます。倒れ始めま
すが成長点=先端だけは垂直に上を向きます。誘因作業というのは、姿よく
成長するために手を貸す仕事です。子育てに似てます。
 露地栽培の場合は竹の杭を立ててネットを張ったり、ひもで茎を支えたりし
て上に伸びられるように仕掛けを作ってやるのです。そうすることによって生育
環境がよくなり、かつ長く収穫ができるようになります。
 それをやらずにほおったらかしにすると、新芽が伸びるままになり脇芽は出
てくるし、風に振り回されたりしてゴチャゴチャになってしまいます。ゴチャゴチャ
になると風通しが悪くなったり、葉が重なったりするので病気や虫がでやすくな
ります。
 成長に合わせて管理することがとても重要になります。トマトやキュウリは脇
芽が出てくるので、それを掻いたり、脇目の芯を止めたり,後半になると下葉が
黄色くなってきますのでそうした葉は取り除きます。
 夏野菜は成長が早いので、毎日成長具合を見ながら適宜管理することが大
切です。昨日は、新規就農者青年から「トマトの花が落ちてしまうのですが,どう
してでしょうか?」という質問を受けましたが、同じ苗を植えた私のは何でもない
ので、何と答えていいのか「わからないなあ」としか言えませんでした。
 相手は生き物です。話で植え方とか管理の仕方を語っても、その受け止め方
はその人なりです。私の教えたとおりに植えて管理したとしても、その人の経験や
見たことに規定されます。現場で現物を見ながらでないと判断できません。
 そんなことで、夏野菜が成長していますが、日に日に成長する姿を見るのは気
持ちのいいものです。田んぼの苗も夏の日に照らされぐんぐん成長している様が
見て取れます。育てている者しかわからない喜び、感動があります。お金では買
えない価値観だと思うのですが、今の世相は「そんなことは!」とそっぽを向かれ
ているようです。                    by高柳功
(産地の声)vol.1090                     2013.5.20
 2日前にようやく田植えが終わりました。約2週間かけての田植えでした。今年
は全田紙マルチによる無農薬稲作です。合鴨農法も今年はやりません。娘が
合鴨の世話をしていたのですが、最後にはお肉にしてしまうので「かわそうだか
らやめよう」と言っていたのです。
 合鴨農法も紙マルチ栽培も手間がかかる上に経費もかさみます。それでも自
然環境を保全し,危険な化学物質をまき散らさないことが救いです。稲作につい
ては除草剤1回位は仕方ないだろうとしていた時代がありましたが、10数年前に
研修で栃木の民間稲作研究所の稲葉さんにお会いしてからが無農薬稲作の始
まりでした。
 稲葉さんは、高等学校の教師をしていましたが,稲作に使う除草剤が猛毒のダ
イオキシンを発生させる。そんなものを使っていいのかと、教師の仕事を辞め無
農薬稲作を実践、普及のために奔走している方です。レイチェルカーソンの「沈黙
の春」ー化学物質(農薬)は、核物質と同じく人間が制御できるものではない。だ
からやめたほうがいい、と言うメッセージを世に出しました。DDT,BHCから始ま
る農薬使用の近代農業?ベトナム戦争の成果である殺草剤が除草剤となって、
一気に日本の水田に広がるのが70年代です。
 いわばベトナム戦争で使い残された殺草剤が形を変えて、田んぼや畑の除草
労働の解放のためと地上にばらまかれるようになったとも言えます。核がピース
オブアトムと言われて原子爆弾が夢のエネルギーなどともてはやされて原子力
発電へと世界が向かったことと同じです。
 そんなことで今は教育より命の方が大事ではないのかと生きる稲葉さんに共感
しての無農薬稲作の始まりでした。一時は人力に頼ってやっていたこともありまし
たが,それは大変なことで昔の人の苦労が身にしみた経験でもあり、とても困難
の伴うものだと言うこともわかりました。
 私の地域で無農薬稲作に取り組む人は私だけです。核も化学物質も人間には
制御できない。いずれその負の分が人間に報いとなって降りかかると恐れていた
のですが,あの大震災に続く福島原発の大事故はそれを証明してしまいました。
 その福島双葉町から避難してきた自然農法をしていた鶴見さんが紙マルチによ
る無農薬稲作をしていたのでした。それをお借りしての田植えでした。縁の不思
議さを感じます。植えた稲の苗は翌日から根を出し元気に育っています。
                        おかげさま農場・高
(産地の声)vol.1089                     2013.5.13
 ようやく我が家に帰ってきました。宮城県まで往復950kmの道のりを運転して帰って
くるのはしんどかったのです。12日に宮城県で菜の花プロジェクトの大会がありミニト
ークの一人に指名されいつもの調子で了解してしまったものの田植えは半分しか終わ
らず、11日にはミツバチ農場の企画した田植えイベントに参加したので、車で行くしか
なかったのです。
 10日までようやく半分の田植え。11日のイベントに備えたのですがあいにくの雨でし
た。それでも雨天決行でカッパを着ての田植えです。線引きを前の晩につくり縦横に
田んぼに線を引いて,初めての人でも植えられるように準備しての田植えでした。
 東京から来た娘さんがバスに乗り遅れ、成田駅まで迎えにいくというアクシデントも
ありましたが,何とか午前中に予定していた田植えが終わり、みんなでお昼ご飯を食
べ語らいをし、歌を歌っての楽しいひとときでした。
 初めての人も何人かいて感想を聞いたら「面白かった!」と言う。20代の娘さんから
60才前後の参加者もいましたが、やはり経験者である年配の方の方が一段と早い。
農の世界はリアリティそのものですので身体が動くか動かないか結果が出てしまいま
す。秋はハザ掛けで美味しいお米を食べよう!と散会。
 夕方5時半に出発し、宮城県の大崎まで直行し、到着は12時半過ぎてしまいました。
約7時間かかってしまいました。雨が降っていたので無理しないようにと休みながら行っ
たからかも知れません。
 12日の菜の花プロジェクトin宮城では各地で菜の花プロジェクトに取り組む人たちの
発表があり、とてもいい刺激をいただいた大会でした。菜種を蒔き油を絞って、一方で
使用済み食用油を回収し、BDF(バイオジーゼルフィーエル)にして化石燃料に頼らな
い試みを始めよう!という集まりです。
 会場である宮城県では、生産農家、大崎市、JA,生協が一体となって推進していま
す。各種団体がそれぞれできることをやって、エネルぎーの自給、推進をしようという
のはとても進んでいると思います。この国全体からすれば小さな小さな動きですが、
なにより一歩踏み出していることがすばらしいと思います。
 評論家では何も進展しません。まだまだですが、この千葉県でも菜の花、ひまわり
プロジェクトを始めていますが、これもまだ小さな運動です。少しづつでも知恵や工夫
を、そしてみんなで協力して希望を育てたいと思います。
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1088                     2013.5.6
 今田植えの真っ最中です。ムラの田んぼは、ほぼ植え終えて私の田んぼだけが
残っています。3回位に分けて植えるのですが、誰もいない田んぼの真ん中で一人
トラクターに乗り、ドライブハローとよぶアタッチメントをつけての代掻きです。
 代掻きと同時に畦の草刈りをするのですが、次女の婿さんが勤めが休みなのでお
手伝いで草刈りに来てくれています。少しは身体を動かした方がいい、と言って刈り
払い機で夕方まで頑張ってくれました。連れ合いは、畑仕事でネギを植えたり、ナス
を植えたりしています。
 5日の朝は神奈川出身の新規就農した娘さんのご両親が挨拶に来られました。一
人で畑仕事をして自立しようと頑張っているのですが、両親とすれば心配です。こん
な時代に好きこのんで農業をしようというのですから農業をしてきた私としても心配に
なります。
 この国は農業を捨てる方針のようです。選挙の時はTPPは反対ですというポスター
を堂々と貼って主張していたにもかかわらず、スルッと参加表明するのですから政治
は本当に信用できません。前政権時には公約違反を取り上げていながら、そのそう
言っていた政党も同じことをする。マスコミも取り上げず、グルと思われても仕方がな
いでしょう。
 先人が積み上げてきた伝統や技が消えてなくなりそうで将来がとても心配になりま
す。数百年数千年かけて作り上げてきた田や畑をないがしろにし、(いわばそれがこ
の国の財産だと思うのですが、)環境や景観が荒れていることがそれを実証していま
す。その姿は農業に限らず地方の疲弊、荒廃へと進行中です。
 職人さんとお茶しての話ですが、「農業もそうかも知れないが俺たちも俺の代で終
わりだな!」「伝統的工法の大工さんも、畳屋さんも瓦屋さんも先がなくなってきてい
るな」と。
 若い人たちが希望の持てる、そして生き甲斐のある人生を送れるような世になって
欲しい。一生懸命生きた人が報われる世になって欲しい。競争して生き残るなどと言
う考えはおかしいと思います。勝ち組負け組という言葉が一時氾濫していましたが、
そういうこと自体がおかしい。誰もが生きる、いきられる世をつくるのが政治の役目だ
と思うのですが、日本が生き残るためなどという戯言に惑わされないよう気をつけね
ばならない時代のようです。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1087                     2013.4.29
 今は田んぼと畑の仕事が重なってどうすればいいのか戸惑うことが多い状況で
す。育苗ハウスではトマトやナスオクラやキュウリなど幾種類もの野菜の苗が育っ
ています。先週までは田んぼの代掻きをしていたのですが、苗が育ちすぎて植え
なければなりません。
 いったん代掻きをお休みにして昨日は、カボチャ、トマト、トウモロコシを植え付け
ました。野菜の苗も過ぎてしまうと老化が始まります。限られたポットの土では生育
する限度があり、それを越えると下葉が黄色くなったり全体の葉色が黄ばんできた
り、木が固くなったりします。
 ですから植え付け適期ということがあり、生育状況を見ながら植え付け準備を進
めておかないと順調な生育は望めません。野菜の生育に合わせての仕事になりま
す。
 今朝は農協から紙マルチが届きました。無農薬栽培のお米作りの為の資材です。
農協には2.3日前に田植機の修理が終わったからと田植機が届きました。田んぼも
ムラの人から頼まれて田んぼが増えてしまって代掻きを急がなければ、と思ってい
るのですが、前述のように野菜が育ってしまっているのでてんやわんやです。
 まだ植えてもない田んぼですが、昨年もみの乾燥機が壊れ入れ替えすることにな
りました。ところが小屋が小さすぎるというので改修工事をすることになりました。そ
のための基礎工事が始まっています。乾燥機というのは立ちが高いので普通の高さ
では入らないのです。で軒を高くして乾燥機が入る高さにするための改修です。
 そんな忙しい時ですが農家以外はゴールデンウイークということで昨日は是非現
場を見せてほしいとお客さんでした。忙しいのでと言ったのですが、どうしてもという
のでお茶しました。
 ゴールデンウイークという季節は人間も気持ちがいいのでしょうが自然界の生き
物たちにとっても躍動の季節です。人は自然界の動きに合わせて生きて来たはず
ですが、この季節イベントや遊びに忙しい季節になっているようです。(お客さんが
気にされたら困るのですが、そういう世相が人としてそれでいいのかなあ、と思って
しまうのです)
 稲やカボチャさんの側にたって私達は仕事をします。自然の恵みをいただこうと
すればそれが当然のことなのですが、、、。
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1086                     2013.4.22
 昨日は、村祭りでしたがあいにくの雨で中止かと思ったら、朝6時にには花火
の音が!。私達の村は四区に分かれていて、四つの地区が回り番でお祭りし
ます。ですから四年に1回当番が来て、当番区として祭りの準備から全てを担
当することになります。
 で、今年の私の区は当番でないのでただ参加するだけです。郷社である大
須賀大神に奉納するという形を取るのですが、他の区民はいわば観客として参
加することになります。で、私も村の一員なので傘を差してお客さんを案内しな
がら行ってきました。
 神さまに奉納する榊を先頭に神主さん区長さん達が先導し、まんどうをねり回
しながらその後を踊り子さん達が笛太鼓の下座連の曲に合わせて踊り進みます。
それが、大雨の中ですから皆さんは薄手のビニールカッパを着ての踊りです。
着物の裾は汚れるし、下座連は上のブルーシートをかけながら雨の中を2時間
かけて神社へと進みました。
 今年のまんどうの祈願文は「五穀豊穣」「家内安全」「災害復興」「交通安全」で
した。300年続く伝統行事ですが、「五穀豊穣と」「家内安全」欠かしたことがなく、
あと二つは時々の村内の話し合いによって変わります。
 「災害復興」と「交通安全」は当番区の意向が反映されたのでしょう。未だ続く災
害復興に思いを託した祭りにしよう、ということだったのだと思います。雨と寒さの
中で大変でした。本当にご苦労様、です。
 今日は昨日の天気とは打って変わって晴れていい天気です。乾燥機の導入の
ため改修工事を始めたのですが、職人さんとお茶して懇談。田んぼの話になっ
て、「俺も稲を作ることになってしまってちょっと遅れるからよ!」と。「おかしな話だ
よな。60過ぎて稲作るなんて」「俺も同じだ。誰かにやってもらおうと思ってたんだ
けど、逆に増えてしまった」「頼む方でなくて頼まれる方になって作る(面積が)方
が増えてしまってるのよ。」
 農村地域もどんどんやめる人が増えて田んぼや畑だけが取り残される現象が
進行しています。採算を考えたらあわないのです。「これでTPPなどとなったら日本
中の農村、稲作は壊滅的だね」「誰かが、美しい日本などと言ってるけど、草ぼう
ぼうの荒涼とした日本へと進んでいるね」「今だってあちこちに荒れ地が増えてい
るんだもの」「どうなるのかね。」お茶話でした。
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1085                     2013.4.15
 遅い朝食を取りながらTVを見ていたらアレルギーアトピー対策の番組です。
アレルギー対策をしてくれるレストランが出てきているようです。アレルギーの
ある子が給食で亡くなってしまったニュースが出たばかりですが、そうしたお
子さんを持つ人にとっては安心ができることです。
 ですが、と思ってしまいました。かってこれほどのアレルギーが問題になった
時代があったのだろうか。30年前50年前はどうだったのだろうか。そう振り返っ
てみると現代病であり、何故そうなってしまったのか。そうなってしまった原因を
突き止めることの方が大切ではないのか、と思うのです。
 人間が何10年も何百年も食べ続けてきた食べ物でアレルギーになるというの
は何故なのでしょうか。人という生き物の体質が変わってしまったのか、それと
も見かけは同じ大豆や小麦と思っていたものが実は中身が変わってしまってい
るのか、といった疑問を解明することが大切なのではないか、と思うのです。
 対症療法ではなく根本的対策です。
 人は何を食べて生きて来たのか。何を食べて生きていけばいいのか。以前、銀
座の野良猫野良犬が成人病にかかっているという話を聞いたことがあります。ネ
コや犬は人間の食べ残しを食べていた。人間も成人病が多発しているのだから
同じ食べ物を食べているのだから当然だ、といって済ますわけにはいかないでし
ょう。人間が食べているものをサルに与えていて奇形ザルが生まれているという
レポートを読んだことがありましたが、そうした現象がじわじわと進行しているのか
も知れません。
 食べ物を育てる私達農家ももっと自覚を持つ必要があるように思います。農と食
は表と裏のような関係です。食べる人と作り育てる人がいるから食事が成り立つ。
先祖から続く私達の命の連続があります。
 昨日から吹き荒れた風も収まり、今日は久しぶりに穏やかな日になっています。
昨日はアルゼンチンから来たウーハーを成田駅まで送るついでに新勝寺を案内し
ようとしたら、大混雑の中に入ってしまいました。成田太鼓祭りというイベントだった
のです。成田山の境内に全国から集まった太鼓たたきの人700人という。 それぞ
れの団体が少しづつ競い合ったのですが、最後は全員で演奏したのです。そのボ
リュウムというかパワーはすごかった!体中に響く演奏でアルゼンチンの彼らも
感動、日本のいい思い出になったでしょう。
                      おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1084                     2013.4.8
 庭先のチューリップが咲きました。真っ赤な色鮮やかさがとてもきれいです。
黄色とピンクの色もありとりどりの色が楽しめます。チューリップの花の周り
には昨年植えたパンジーも黄色や紫など咲いていますが、それもまたいいで
す。
 房州では咲き終わったと言う菜の花がこちら北総では満開で黄色のお花畑
になっています。また昨秋蒔き付けられた麦も茎立ちが始まり生長し、畑に緑
が満開でこれもまたそれなりにほっとする光景です。野の花ではタンポポがあ
ちこちに咲き始め鮮明な黄色で自己主張をしているかのようです。
 これが春なのでしょうがあれだけの嵐のあとは全ての物が洗い流されたから
こそ原色のいろいろな花が鮮やかに咲き誇る姿は、忙しさやあわただしさのな
かでとても癒されます。きれいなものはきれいです。
 家の前のジャガイモは植え付けられてちょうど1ヶ月ほどになり、芽を出し始め
ています。黒のマルチングをしてありますので、ちょこっと黒ビニールを持ち上げ
ます。そこを破って芽を太陽にあたるようにする仕事が今の仕事です。一斉にと
言っても全部が揃うわけではないので、時々見回り芽が出たのを見つけては芽
を出させてやります。
 2月に蒔いたトマトは、鉢に植え替えたのですが、季節を感じてどんどん成長し、
鉢に移植したのはいいのですが育ちが間に合わずすぐに混んでしまいました。
それなので一昨日ずらし作業をしました。ずらしと言うのは、鉢に植えられた苗が
育って葉が重ならないように鉢の間隔を広げる作業です。一気に育苗面積が2,
3倍位になります。
 その他トウモロコシやなす、モロヘイヤ、カボチャなど蒔いたので、急に育苗ハ
ウスが賑やかになってきました
 3日に蒔いた種籾も芽が出始めました。昨日一昨日の強風と大雨で育苗ハウス
が心配だったのですが、何とか持ちました。研修性のMさんの研修棟は「風の揺
れが激しく眠れなかった!」と言ってたほど風が強かったのですが、今の季節に
台風のような嵐が吹くとは意外でした。何とか春の嵐を乗り越えてくれたようです。
 これから本格的な植え付け作業が始まります。ムラの中では田んぼの代掻き
作業が始まり田んぼが水面にかわりつつあります。私の場合遅いのですが、水
利の都合上そんなに遅くするわけにはいきません。さあ!頑張ろう!です。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1083                     2013.4.1
 我が家のサクラも今が満開です。昨年より10日早い満開です。夏になって茂る
木が欲しいと庭師の友人に植えてもらったのがサクラの木でした。夏は生い茂っ
て冬は葉が落ちて日差しが欲しい。そんな木が欲しいと植えられたのがサクラだ
ったのですが、夏の日陰で縁台を持ち出し木の下で涼を取るという状況が生まれ
るには5.6年はかかるだろうけれど、成長を待つしかありません。
 木と言えば隣町の友人が嘆いていました。「町の道路計画で1町歩の山がある
んだけれどその真ん中を道路建設計画に入ってしまった。」「その山は手入れをし
て80年の杉山なんだ。」「よく育ってもったいないから路線を変えてくれればいい
んではないかと了承しなかったんだ」「だって他は手入れもしてないし、俺にはよ
けても作れる道路計画だった」ところが、「路線変更はできないと副町長がきて説
得に来てね!」「結局了承せざるを得なかったのだけれど、その木の補償が1本
千円だと!」「1本千円だよ!80年の木は80年かからないと80年の木にならない
んだよな。」と。
 山や木の価値が全くわかっていないことに嘆いていましたが、彼の言い分はもっ
ともだと思いました。今の日本を象徴するような出来事です。自然のなせる成長し
た財を、こともなげにお金で、市場流通の価値観でばっさり切り捨て、自然の恵み
を大事に大事に守りながらそれを生かしてきた日本人の伝統的価値観を無視する
行政、くにのありようが悲しい。
 稲作りが始まりますが、日本中で山を切り開き、沼や沢を開墾し田や畑を作りこ
の国に住む人々の食を支えてきた文化を、国際競争という外からの力が押しつぶ
す姿は先人の苦労を考えない、とんだ親不孝者と言ってもいいとおもいます。
 ともあれ季節は種まきシーズンです。あちこちで田耕が始まり、田んぼの稲株が
掘り起こされ土色に景色が変わっています。私も頼まれて2カ所で種まきしました。
1ヶ月後には田植えです。我が家は3日に1回目の種まきです。
 今年はいろいろなプロジェクトを始めたのでなにかと混乱しています。菜の花ひま
わりプロジェクトで食用油の自給とエネルギーの自給、「食と農の教室」「食と命の
出張講座」成田有機の里プロジェクト、お米の展覧会、など経営とイベントが計画
されていますのでその対応にも気をもみながらの一年になりそうです。
 稔るほど頭をたれる稲穂かな・という句がありますが、そうありたいものだと思い
ながら自らを戒めていますが、難しい、、、。
                      おかげさま農場・高柳 
(産地の声)vol.1082                     2013.3.25
 先月蒔いたトマトがすくすくと育っています。私の場合温度をかけない、いわゆる
常温育苗なのでなかなか芽を出すのに時間がかかりました。それでも3月の太陽
光線は強くなって光合成の能力も高まっているせいでしょう。子葉から本葉が2枚
3枚と成長し、そろそろ移植の時期を迎えています。
 蒔き床は、狭く株どうしの葉がふれあうようになっていますのでより大きなスペース
を確保して、のびのびと育てることが肝要です。徒長のない根ばりのよいがっしりし
た苗に育てたいのです。
 人間も似たようなことかも知れません。身体ばかり大きくても自力で育つことがで
きないようでは困ります。植え付けて自力で根をはり命をまっとうする自活力のある
苗作りが目標なのです。
 ビニールハウスで育苗しているのですが、毎日の温度管理は大変です。太陽が出
れば換気をして、気温が上がりすぎないようにしなければなりませんし、今日のよう
な雨や曇りで気温が下がると、ハウスを閉めて気温を下げないようにします。毎日天
気模様を見ながら対応しなければならず、気の抜けない日々です。
 移植や植え付けはなるべくなら天気のいい日にします。太陽が照っているときは日
に照らされて発根が促されるからです。植物は同化作用と蒸散作用を行っているか
らでしょうが、そんなに蒸散作用をしなくともいいとなったら、まあいいか(と考えている
かどうかはわかりませんが、)と無理して頑張らなくともいいと思ってしまうせいか、根
ばりがよくありません。
 太陽にさらされると頑張らないとしおれてしまう!と根を張り水分や養分を得ようとそ
の力を発揮するようです。仕事の都合で天気が悪くともやらざるを得ない時もあります
が、なるべく天気のいい日に植え付けするように心がけているのです。田んぼでも畑で
も同じで良苗であれば、翌日には根が動き出します。
 最初が肝心ということがあります。何もしなくとも生きられるとなったらそこで動きを止
めてしまいます。しなくとも水分も栄養もとれる、そんな環境が続くとそんな苗は、大風
や雨のせいで根ばりも悪く軟弱になっているので吹き飛ばされたりしおれて枯れてしま
うこともままあります。
 春の今時は、一年のはじまりであり、もっとも大切な季節です。草も育ち始めていま
す。やることはいっぱいあって圃場50枚のあちこちを見て回り、順番を間違えずに段
取りをとって間に合うように気ばかりがせいているこの頃です。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1081                     2013.3.18
 今年の春の風は北総地区の畑を荒らし回っています。今の季節の植え付けや
作付け中の物は、トンネルやマルチングなどの栽培が始まったばかりです。人参
は畑のトンネルの中でようやく芽が出たばかりの人参の赤ちゃんです。ジャガイ
モも植え付けてマルチングされて芽だしを待つばかりの状態です。
 そうして畑一面に貼られたビニールやポリフィルムが強風にあおられてはがされ
てしまってばたばたとあおられてしまうのです。我が家の植え付けたばかりのマル
チングフィルムがはがされました。強風の中での修復は大変なものです。下手す
れば直したあとから次々とバタバタとはがされます。風が収まるまで待って直しま
したが、次の日のまたの大風で再び全部はがされる、と言う状態でした。
 誰もが同じ状態で風の強さを語ります。「風の砂ぼこりが数メートル先が見えね
えよ。まいったなあ。」「そこいら中ホコリだらけになって家の中も土が積もってしま
ったよ」「鍬を持って直すんだが、直した尻からまたはがされるのであきらめた」「中
国の黄砂どころではないよな」人間の方も「顔も髪の毛も鼻の中も砂ぼこりだらけ
だよ」「お風呂で身体を洗うと洗い水が砂だらけだ!」ですが、黄砂と違うのは風が
収まれば砂嵐も収まるところです。
 そんな春一番の風も一昨日の雨で土が落ち着き大丈夫かと思いきや、今日も朝
から風が吹き始めています。ビューびゅーと風が鳴り始めています。またか、と思
うのですがどうしようもありません。予報によれば今晩のかけて雨と強風が予測さ
れていますが、早く収まってほしい。
 そんな強風で、野菜がホコリだらけになってしまっています。ホウレン草や小松菜、
レタスなど葉にホコリが積もって、ばさばさとはたきながらの収穫です。どうかお客
さんにはそういうところを理解して欲しいものです。
 そんな中ですが、昨日は珍しく穏やかでいい天気でした。隣町の神崎町で「オク
ラ祭り」に参加してきました。臨時列車が出るほどの人気ですが、私達のブースで
は昨年と同じく野菜の出店です。オーガニックな集まりです。県内に限らず関東
近県からも出展者がいて、久しぶりの出会いがあるのも楽しみの一つです。
 我が家に研修にきていたTくんは結婚して農をやりながらカフェをやっていたり、
ウーハーにきたOさんもオーガニックカフェをやっています、その作品が店頭に並
べられていました。若い人たちが頑張って自らの道を切り開くすがたは頼もしい、
と感じたお蔵まつりでした。
                       byおかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1080                     2013.3.11
 奇しくも今日の産地の声の日付は3.11です。あれから丸2年の時が過ぎま
したが、未だ震災地の復興が、原発事故が解決されていません。テレビも新
聞もそんなことよりお笑いとTPPだの景気対策が先だ、と騒いでいるようにしか
思えないのは私達の思い込みなのでしょうか。
 大震災と原発事故は私達に大きな衝撃でした。人間の知識や科学といった
ものが自然の猛威、地球の動きに遠く及ばないものであること、人は家族や
域と共に生きてこそ暮らしが成り立っていることをあらためて教えられまし
た。
 昨晩のテレビで津波によって流された漂流物がアメリカ、カナダにたどり着
き、その漂流物である漁具を拾った人が「日本に届けて欲しい」との願いを
える日本の漁師さがしのドキュメンタリーを見ました。
 岩手、宮城、福島、茨城、千葉と歩き回ったドキュメンタリーでした。地震と
津波は家を根こそぎ奪い、流された船は2万隻を超すという。その上2万人
超す人が亡くなりました。一部復興の兆しはあるもののがれきの山、船の

骸がそのままで、復興というにはほど遠い現場の映像に見えました。
 昨夜は疲れて眠ってしまい、つけっぱなしの深夜番組を見始めたら目を
せず終わりまで見ていたのでした。2年経ってもまだ復活していない町、
漁港、
そしてそこに生きている人たち。まだまだ終わっていません。
 私達も複雑です。直接の震災被害はそれほどでもありませんが風評被害
いったことなのか、放射能が心配と言うことで千葉県の野菜が嫌われてい
るよ
うです。福島はもとより茨城も千葉の野菜もこだわる消費者は買わない、
関西
の野菜なら安全だ、といった傾向が続いているようです。
 当初は、東北や福島のことを考えたら自分たちの方が遙かに、自分の家はあ
るし仕事もできるのだからまだまし、できることの応援をしようと支援を
していた
りしていましたが、じわじわと影響が及んでいるように感じられます。
 社会に閉塞感が漂っていることにこの国の指導者は気づかないのか、気づ
うとしないのかわかりませんがともかく、ますます先が見えなくなってきてい
るこ
とは確かです。民主党であれ自民党であれ政治が茶番のように感じられ
てしま
うのです。そして政治もマスコミも専門家という人たちもみな責任をとら
ない。
 ともあれ人参の種を蒔き、ジャガイモを植え、田つくりの準備を始めていま
す。寒さを耐えた麦が3月の日差しを浴びて、緑豊かな畑にしています。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1079                     2013.3.4
 1月に作っておいた米麹がそのままで、いつかはやらねば、と思っていた味噌
つきを昨日やりました。いつものことですが前の日に大豆を水をつけておき、半
日かけて大豆を煮込みます。ドラム缶を半分に切ったものがカマドになります。
釜は直径52Cmの深さ40Cmの大釜です。この釜は、浸して膨らんだ大豆が1斗
5升入ります。
 煮炊きは、薪です。薪を用意して新聞紙で火をつけて煮込み開始です。研修生
の美穂さんが火の係で薪をくべ半日かけて煮込みました。その間私は山から切
り出したクヌギの丸太(直径30~40Cm)の薪割りです。最初は人力で斧を振り上
げて挑んだのですが、全く受け付けません。斧が跳ね返ってしまうのです。
 そうしたら、福島の鶴見さんが「俺に家に薪割り機があるよ!」という。それで借
りることになり、機械で薪割りです。電動の機械です。ところが木が堅くて機械が
止まってしまう。そんなところへ持ち主の鶴見さんが見えて、「最初は、端っこか
ら割った方がいいよ」と言うアドバイスをうけて何とか薪割りを終えることができま
した。まだ生なので次の煮炊きのための薪割りです。
 家を建てたりすると出る木っ端を日頃私は、ゴミなのだから燃してしまえ、と言っ
てるのですが、」連れ合いは何でもほしがり、大事にしまっています。よく言えば
「もったいない」精神なのです
 私は整理して綺麗にしようと燃すのが一番と考え、連れ合いはそんなものでも
取っておけば煮炊きに役に立つ、と考えるのです。そんな時はいつも2人の考え
が衝突します。で、煮炊きの時は「ねっ!役に立つでしょ」と言われます。
 考えてみれば日本人は長い間ご飯や味噌汁などはタキギでの暮らしが当たり
前だったし、遙かに長い時間そんな暮らしをしてきた。自然にあるものをいただき、
それを無駄にせず暮らしに生かしてきたのだった。
 杉や松、楢やクヌギの木は、毎日休まず太陽エネルギーを貯め込み成長して、
それを人間が伐採と称して木を切り燃料にして、調理や暖炉にと役に立ててきた。
しかも楢やクヌギは伐っても2.30年すれば元のように成長し、再び炭や薪となっ
てエネルギーの供給元ととして循環していたのです。
 山林はエネルギーだけでなく、生き物に必要な水や酸素も供給しています。地
球の自然循環・生命維持にとって山林は欠かせない存在です。そんなことを考え
た味噌作りでした。お米と大豆が各1斗5升、塩10kgで82kgの味噌でした。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1078                     2013.2.25
 その昔、といっても10年か15年位前か記憶に定かではないのですが、司馬
遼太郎の「この国のかたち」というのを読んだことがあります。今再び読んで
みたいと思ってもいるのですが、皆さんも一度は読まれたらいいと思います。
 日本がかって第二次世界大戦に突入したのは何故であったのか。司馬さん
は戦車隊に属していました。終戦近くなって本土決戦と言うときに、命をかけて
戦えと言われる。決戦となれば戦車隊のその地は道が狭くて一般の国民も非
難したりしなくてはならない。そこで上官に、逃げ惑う国民はどうしたらいいのか
問うたら、そういうのは踏みつぶしても戦え!と言うことだった。国民を踏みつぶ
してでも勝てばいい、そんな馬鹿な戦争を何でやってしまったんだろう。と言って
たように記憶しています。
 今度のTPPを見ていると武器は使わないけれど今度はかたちを変えて、お金を
求めての経済競争に勝つことだけしか考えていないように思えます。WTOも自
由化へと進めたシステムです。その結果、地方は疲弊し、山や畑は荒れ、限界
集落とよばれる地域が出現し、都市は非正規雇用者が3分の1を言われるほど
になってしまいました。WTOをさらに進めるのがTPPです。
 先週、強制避難されているTさんと一緒に双葉町へ行ってきたのですが、ゴー
ストタウンです。双葉郡に入り始めてからは持って行ったガイガーカウンターが
鳴りっぱなしです。Tさんの自宅を除くと家財道具は座敷一面に散らかっていて、
風の影響かとおもったら「違うよ、これはけものに入られて散らかったんだ」と。
よく見たら獣の足跡があり、ネズミにも入れられてかじられた跡があります。
 畑や田んぼも草が鬱そうと生えて、それが冬になり枯れ上がって人が入れな
い状態でした。1昨年4月に事故直後に入ったハウスがどうなっているか見てみ
ようと行ったのですが、草が絡まりドアがすぐには開きませんでした。以前はレタ
スや豆が植えられていたのですがそんなおもかげはありません。事故前のハウ
スは建てたばかりという立派なハウスで「さあこれから」と言うときに事故は起こっ
たのでした。
 「大震災と原発事故でもう2年になるけど国は何にもしてくれていないな」「逃げ
ろ、と言う指示だけは受けたけどな」「それも間接的にだけどね」「そのままでもし
ょうがないので自然農の仲間で東電に補償交渉はしているけど、、、」「国は推進
はするけどその責任は取らないんだよね」TPPもそうなのじゃないか。
                     おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1077                     2013.2.18
 有機農業をしている知り合いが、豚肉を届けてくれました。ブロックのロース
です。「髙柳さんはハムを作ると聞いてましたから持ってきました!」と届けて
くれたのでした。彼は、数頭の豚を飼い、野菜くず、残飯など自分の家でとれ
たものだけで豚を育てています。いわば効率主義の育て方ではない昔ながら
の人間と同じものを食べて育った自然豚です。
 となればわざわざ持ってきてくれたお肉ですからハムにしないわけにはいか
ないな、となって今熟成中です。あとはボイルと燻煙して仕上げます。どんな
ハムになるか楽しみです。新規就農のN子と黒こしょう、塩、ハーブを使って仕
込んだのです。
 私は市販のハムはほとんど食べません。スーパーなどで時々見るのですが、
裏表紙を見れば添加物のオンパレードです。とても食べる気になりません。子
どもにも食べさせませんでした。
 腐らない肉、腐らないパンなど大塚先生の話にありましたが、一度は自分で
作ってみたらいいと思います。自分で粉からパンを焼きどのくらい持つのか。自
分でハムを作り市販の物と比べたらわかるようになります。
 無着先生は、「腐るものは良いものだ」と言っていましたが、そう思います。ど
んなものでも生きている物は必ず時間が経てば腐ります。それを傷まないうちに
食べることが命をつなぐことであり、調理することなのだと思います。薬品で腐ら
ないようにして持たせると言うことは不自然です。人間も自然界の一員でありそ
の食物連鎖の系から逃れられない生き物ですから、工業製品(添加物などの)
とは相容れないと考えるのですが、どうでしょうか。
 とはいえ外食するときは気にしないようにしています。出た物を食べています。
我が家は、自宅調理率8.9割ですから毎日3食ご飯と味噌汁はつき物です。
長崎に原子爆弾が落とされ、そのとき患者の治療に関わった秋月振一郎医師
が書かれた「死の同心円」に、放射能の影響が同心円状に表れ次々と亡くなっ
ていった。だが秋月医師は自分の体験から、そこにあった玄米と味噌を白米に
せずに、玄米ご飯と味噌汁を濃いめにしてそこにあった海草と一緒に食べさせ
た。結果、食べさせた人たちは発病せずに済んだ、と言うことでした。
 我が家は、お米と味噌汁それに野菜とお魚が主体の食事スタイルです。久し
ぶりにハムが加わります。
                                    おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1076                     2013.2.11
 金ゴマの油絞りをしたら500gで240CCの油が摂れました。娘がクリーム
代わりにつけたいと言っていたので絞ったのですが、油の量に驚きました。
菜種だと同じ方法でせいぜい150cc位です。黒ごまより油量が多い感じ
です。
 成分的には50%を超える油成分があるとは聞いていたのですが、これほ
どとは思いませんでした。絞り方は圧搾生搾りです。生ですから香りがない
のですが、フライパンなどで炒めに使うとゴマ特有の香ばしい香りが漂って
きて、ああ、ゴマだなあと感じます。
 ついでに米ぬかを絞っています。これもクリーム代わりに使ったり場合に
よっては髪に使ったりしています。一見べとつくようですが、刷り込むとなじん
できて気にならない。薬品や添加物なしの純粋生搾りですから安心して使え
ると思っているんですが・・・
 先週、玄米ご飯の講習をしてもらいました。ふくしまのTさんのところでいた
だいた玄米ご飯が美味しかったのです。娘や連れ合いは玄米派ですが、私
と父は白米派で頑張っていたのですが、いただいた玄米ご飯は餅米のような
炊きあがりで玄米特有のぼそぼそ感がなくもちもちして美味しく食べられた
のです。
 昔タイ東北部へ行って食べた餅米ご飯を思い出しました。タイの餅米は手
づかみで丸めて食べていたのですが、これが意外と美味しい。日本での玄米
ご飯はそうはいきません。タイでは美味しく食べていたのですが、日本へ帰っ
たらすぐに白米へと食返り?してしまったのです。
 しかも、そうして炊いたご飯はジャーに入れて3.4日かけて食べると発酵し
て発酵玄米として食することができるという。早速購入し、以来食べ続けてい
るのですが、赤飯を食べているような感じです。炊きあげるときに小豆をコップ
半分位入れるのでまるで赤飯風です。もちもちしていて玄米のように思えない
食感。
 来るお客さんに食べてもらっているのですが人気上々です。講習してくれた
方は、炭素循環農法を推進している城雄二さん。城さんによれば「無農薬米と
無農薬の小豆でないとうまく発酵しないよ。」と。
 私の場合はどちらも自分ちにあるからいいけど、「誰にでも進められないね」
と連れ合いが言う。お薦めしたいけれど難しいものです。塩ゴマをかけるより鰹
節で醤油味のゴマの方が私には好みです。小豆の代わりに黒大豆も試してみ
ようと思っています。
                     おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1075                     2013.2.4
 とうとうというか、既定路線というか牛肉の規制緩和?が決められました。2月
1日から米国産牛肉の規制緩和です。20ヶ月齢以下の牛肉の輸入は許されて
いたのですが、30ヶ月齢以下まで輸入しても良い、ということになったのです。
 BSE(狂牛病)が日本で発表されたのが2001年9月10日。あの9.11テロの前
日の日でした。<ある意味ではアル・カイーダよりも震撼すべき不吉な風の上
陸・・・後になって人々は知ったのだが、それは人間が環境に対して行った操作
的な干渉に対して、自然がその平衡を回復するために開始した、長い報復の
第一歩が日本に立ち現れた日だったのである。>と福岡教授は言う。
 狂牛病の発生が日本で発生した為、食の安全性を巡る大問題に発展し、翌
月には食肉に供される全頭の牛に対して検査が行われることになったのです。
そして現在までそういう対策を取って来ました。
 その間、米国からは24万トン輸入してきたのが12万と減少。米国にとって規
制を緩和することがTPPの参加条件となる。つまり今の日本の全頭検査、20ヶ
月齢以下、という規制?がある内はTPPに参加させないよ!ということだった。
 テレビでは、大手のスーパーが規制緩和で米国産の牛肉の価格2割下げセ
ールを、牛丼チェーンも大歓迎という報道。そういう報道のされ方しかしないこ
とに、一体日本人は何を考えているのだろう?と思います。
 12年前にはあれだけ大騒ぎした食の安全の議論が全くなくなっています。な
ぜ20ヶ月齢以下、全頭検査をしてきたのか、そう決めた論拠は何だったのか。
日本人の食の安全のためではなかったのか。
 BSE(狂牛病)は、元はといえば羊のスクレイピー病(脳が犯される)が牛、人に
感染する病気。羊の病気が牛に感染することはなかった。それが感染するよう
になったのは、羊や牛も食べる肉以外の残渣物がでる。それの有効?利用がで
きないかと加工され、蛋白源をはじめとする餌として加工を始めたことによる。
 早い話が牛や羊の死体を蛋白源として餌にしたことがが始まりだった。しかも草
食動物に、です。牛や羊の食べ残った物を加工し再び牛に食べさせる、というい
わば牛にとって共食いの食物連鎖が強制されていた。自然に背く行為です。
 関心のある方は、福岡伸一著「もう牛を食べても安全か」(文春新書)がお薦め
です。科学の進歩、効率主義、人間のご都合主義、栄養学?といったことが人間
を滅ぼすかもしれない。そんな思いがする規制緩和事件?です。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1074                     2013.1.28
 一面真っ白な雪化粧の朝でした。積雪量は2週間前の雪より多く10センチは
積もっています。夕べ12過ぎに家に帰ったのですがその時は星も見えていた
のです。連れあいの話だと、降り始めに気がついたのが4時頃で朝方には降り
積もる雪の多さに戸惑った!と。
 今日の最初の仕事は、路肩のU字溝にはまってしまった仲間の軽トラックをあ
げることでした。ともかく雪が一面なのでトラクターしかないかと思い、ロープを
持って出荷場に行ったら、仲間達が3人いて「人間が一番いいのでは」と言うの
で、連れあいも連れて現場に行き、みんなで「よいしょ!」と持ち上げることがで
きました。
 登り坂のところでスリップしてしまい上がれないのでバックしたらコントロール
ができずに落ちてしまった、と言う次第。我が家の後ろを走る国道51号線も車
がほとんど動かず止まった状態です。パートさんも電話があり坂が上がれず回
り道をしているのですが11時現在まだ到着できていません。
 昨日は、イベントが重なり若手は,アースデイ千葉でマーケット参加、私は、有
機ネット千葉の種苗交換会、総会と午後の特別講演会元中学校長大塚貢さん
の「給食を変えて子どもが変わった、優秀校になった!」に参加しました。
 年に1回の総会は、種苗交換会をします。種苗会社の利益優先、種を制する
物は世界を制する,などといって憚らない種苗会社に対して「そんな馬鹿な話が
あるか、種は地球からの贈り物。みんなで共有するものではないか。種は、地球
が生み出したものであり人間が作れるものではない,と言う思いから有機農家
での自家採取を奨励して、みんなで分け合っているのです。
 講演会は、とても勉強になりました。中学校の校長先生として当時荒れた学校
を建て直してきた実践を語ってくれました。赴任した中学校は児童数1200人の
生徒だったが、不登校児が80人近くいて授業中の居眠り、教室を出てしまう子
もいる。校外ではオートバイを盗んだり、脅しで金品を奪ったりする子がいたりし
て,その始末をつけ家に帰るのが12時を過ぎるのが当たり前だった。
 そこで語られた話は書き尽くすことはできませんが、先生方の授業の改善、学
校環境の整備(花壇作り)、そして食べ物の改善をして,本来の姿にすることが
できた、と言うものでした。話を聞いた中で感じたことは、子ども達が問題では
なく,それを取り巻く親や学校社会という大人の無知や無責任が招いたのでは、
ということでした。             byおかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1073                     2013.1.21
 先週14日の産地の声を書いていた朝方は雨が降っていたのですが、その後雪に
変わって今冬最初の雪が降り積もりました。その雪はたちまち道路渋滞を引き起こ
しました。関東南部は雪対策が脆弱です。
 その日は娘が市内のイオンへ行ったのですがあまりに雪がひどく「帰れなくなった
ら大変だ!」と用を足さずに帰ってきてしまいました。小学生の孫娘の買い物だった
ようなのでスノータイヤをはいた車で連れて行ってやりました。
 市内までは約15kあり、途中はもうのろのろ運転が始まっていました。買い物がま
だ済まないとき事務所から電話があり、隣町から通勤している事務員さんが「途中
の坂道で動けなくなっている!」というので「30分もすれば行くから、」と返事してお
いたのですが、2時間近くかかってしまいました。
 自分の車はスタッドレスですから注意して運転すればどこでも動くのですが、道先
に動きがとれない車が1台でもいれば止まってしまいます。で、坂道にさしかかると
とたんに渋滞です。で、回り道しながらようやく事務員さんのところに到着したのです
が、ノーマルタイヤなのでつるつる滑って動きがとれません。
 連れ合いも一緒になって車を押して何とか路肩に寄せて、事務員さんを自宅まで
送り届けました。後で聞いたのですが直売所のパートさんも少し早く帰ったのです
が、「家に着くまで8時間もかかってしまって大変だった!」と。
 全くこのあたりは雪には弱いです。その雪は気象庁は5センチ位ということでした
が、実感では10センチ近い積雪です。 
 そんなわけで翌日の露地野菜は収穫が不能になってしまいました。雪が溶けない
ので収穫できません。特にキャベツやホウレン草は雪がかぶって、凍り付いたまま
です。天気が晴れても低温なため雪が溶けずに凍り付いたままなので仕事になりま
せん。
 あれから1週間経ち、一応今は収穫できるようになりましたが、あちこちで雪の残骸
が残っています。暦の上では昨日20日が大寒の日でしたが、季節のうちで一番寒い
時の雪ですからしようがないのかもしれませんが、それにしても今年はいつになく寒い
冬のような気がします。
 大根の地上部は完全に凍り付いたままで何日もすると痛みが進み、抜こうとすると
スポット首が取れてしまいます。上部はダメでも土の中の部分は食べられるので、連
れ合いが「切り干し大根にするんだ」と寒中干しを始めました。
                      おかげさま農場・高柳

(産地の声)vol.1072                     2013.1.14

 今日は久しぶりの雨です。冬の雨は冷たく寒い。今、当農場は研修性が一人
とウーハーというホームスティーさんが4名が滞在していますが、今日は晴耕
雨読ということで仕事はお休みにしました。
 研修性には、川島四郎さんの「食べ物さんありがとう」を、そして福岡伸一さん
の「もう牛を食べても安心か」を紹介しておきました。人間は地球にとっては害
虫のようなものだから、なるべく欲望を抑え生存基盤の損なわれないように生き
ることが大切なのだ、などと脅かしながらお茶を飲み笑いころげて?いました。
 ウーハーさんは香港から3人、隣の韓国から一人の青年達です。大学生です。
尖閣列島のことや竹島問題も、領土争いの様相をマスコミはあおり立てていま
すが、彼らは冷静です。今までは数十年と問題にならなかったのに何故今問題
にしているのか、が問題です。どうしたら地球市民が平和に、協力して生きられ
るかそういう方向への議論が大切だね、というところで一致してます。
 人間社会が進化するとすれば国家間の壁を取り払い、温暖化や地球環境の問
題解決のためにこそ、叡智を持ち寄り解決を図って行くことがより大切なことでし
ょう。尖閣や竹島の領土の何倍もある福島の地を人間が住めない場にしてしまい
ながらどういうことなのでしょうか、といった指摘もあります。
 人間以外の動物は、それぞれの関係の中で棲み分けたり、時には弱肉強食で
食ったり食われたりしていますが、地球環境を破壊したり必要以上の殺戮はしま
せん。今の世は競争一本主義で生き残りをかけている姿が異常なのであって、
競争もあるけれど共生もある、そういう姿にするかしないかが問われているので
はないか、などと、、、。
こんなことを書こうと思っていたわけではありませんが、お茶した時の話の流れ
を引きずっているようです。
 2013年も半月が経ってしまいました。季節は小寒からあと1週間で大寒にな
ります。暦の上では一年のうち最も寒い時です。畑の大根はそろそろ痛み始め
クレームがくるようになってしまいました。零下8度、10度の中で生き返れない
ほどの低温となり芯が凍り付いてしまっています。
 見かけは大根なんだけれど切ってみると、ピンク色や黒ずんだ色に変色し始
めているのです。畑で半分以上捨てているのですが、それでも見逃す物が出て
しまいます。ごめんなさいと謝りつつ収穫、出荷しています。
                        おかげさま農場・高柳
(産地の声)vol.1071                     2013.1.7
 新年が明けました。今年もよろしくお願いいたします。
 年賀状は、年内に書くつもりでしたがとうとう書けませんでした。風評被害に
見舞われ、畑仕事が少なくなっているというのに時間はあったはずなのです
が、どうした訳か余裕がありませんでした。
 いつものように年内は大掃除や、挨拶やら支払い、餅つきなど例年のように
こなして新年を迎えてしまいました。年賀状が届き「今年は素直に、おめでと
うと言えない気分があります。」というのが何通かありました。
 本来、暮れにはその年の厄を落とし、片をつけて新年を迎えるのが通例だっ
たのにそれも叶わないことが自分や身の回りにあったからかもしれません。
 大自然は雄大に、そして自らのつとめを果たし、全ての生き物と共生してい
ます。人間のように欲張ったり、物をほしがったりはしない。ただただ太陽の恵
みを体いっぱい受けて光合成をして蓄え成長しています。
 人間が人間の都合で殺虫剤や殺菌剤、除草剤で駆除しようとも一時はなくな
りますが、時間が経てば復活します。野菜につくやっかいな虫・アブラムシは
いったんは殺虫剤で全くいなくなるけれど耐性の子孫を必ず作ります。病原菌
も同じです。だからどんな新薬、強力な殺虫剤、殺菌剤を使ったとしてもいなく
なりません。その生命力には感心させられます。
 人間はといえば、法定伝染病やらはほぼ駆逐して来たようですが、近年のノ
ロウイルスやらインフルエンザなどの感染が心配されていますが、感染しない
人もいます。感染した人の原因を追及することも大事でしょうが、感染もせず
丈夫な人もいます。
 感染の原因だけでなく、一方の感染しない人の方も研究することが大事なの
ではないでしょうか。同じ条件・環境にいながら健康な人がいるのです。免疫力
だとか生命力をいわれる力をどうすれば身につけることができるのか、といった
書籍が並ぶようになりましたが、お米や野菜と同じで薬やお医者さんに頼らな
い生き方や環境作りが求められているように思うのですが、、、。。
 それは有機農業に通じる考え方のように思います。「農薬なしでは野菜は作
れない」が標準的農業技術の考えの世の中です。私たちの生存基盤は大自然
です。自然が上位の条件であって、人間はその次です。その原理は過去も未
来も変わりません。なぜなら地球が人間を生み出したのであってその逆では
ないのですから。
 本年もよろしくお願いいたします。合掌    byおかげさま農場・高柳