(産地の声) vol.1741 一老農のつぶやき 2026.3.25
今日は、種まきの日だった。10日前に種籾を浸種。十分含水させた種籾だ。
昨年と変わらず同じ日。知り合いに声をかけて合計9人での種まきだった。それほど多くなくともできるのだが、余裕を持って作業した方が安心できる。床土を入れる人、苗箱を入れる人、運ぶ人、並べる人と、種まきが自動になった分、人が多い方が安心できる。
機械は、待ってくれない。電気仕掛けで休むことなく駆動するので、分担して遅滞なく流れ作業を止めないように段取りをしての種まきなのだ。
それにしても、よくもまた続けてきたものだと思う。我が家の歴史をお寺の過去帳でたどると元禄時代まで遡る。それ以前の記録がないので確かなことはわからないが、家に来た客人が、庭先の石塔を見て(と言っても小さなものだが)、「あの石塔は鎌倉時代のものだよ」という。
同じことを言う人が前にもいたので、本当にそうなのかもしれない。それにしても毎年休まず稲作を休むことなく続けてきたことは間違いないだろう。なぜなら、人間は食べなければ生きてゆけない生き物だから、などと思う。
種まきも終わり、参加者みんなでお昼ご飯を食べながらのおしゃべりも楽しかった。養生の話になり、びわの葉療法はとても効果がある。マムシ焼酎は、打ち身に効く。熱が出て膿んだりするときはドジョウをが効果がある、とか民間療法の話に花が咲いたのだった。自分の健康は自分で守る。医者にかかるときもあるが、もらった薬は飲まないでしまう、などという強者もいて面白かった。考えてみれば、今時の民間治療というのは、漢方治療とも言える。江戸時代までは漢方は主流であって、その歴史の方がはるかに長い。いつの間にか近代医学?が主流となって漢方、民間治療は影を潜めてしまっているが、二百年前、五百年前の人たちの医療はどうだったか顧みることもよいではないかと思う。
先月、いとこがマムシを持ってきてくれた。一ヶ月近く少しの水を与えて体をきれいにして焼酎に漬けた。マムシ焼酎は打ち身によく効くので、生きたマムシを捕まえたら頂戴とあちこちに声をかけていた。足などに石を落とすと、たちまちにその部分が青なじみになるが、マムシ焼酎を塗ると、たちまち痛みも青なじみも消えてゆくのだ。
こうしたことも養生の一つだと思うが、昔の人たちの知恵なのだと思う。そうしたことが今の時代どんどん消えてしまっているが、なんとか伝えてゆきたいね、と。生き抜くための知恵や工夫は自然の中で暮らすからこそできることではないか、と思う。
おかげさま農場・高柳功
