炊き出しや弁当がもたらしたもの

(産地の声)vol.1732 一老農のつぶやき         2026.1.14

 厳冬が続く。日本海側は豪雪で大変のようだが、ここ北総地帯は天気がよいとはいうものの朝方の畑は、降霜で真白になる。歩くとバキバキと霜柱を踏むことになる。

 

 こんな厳冬の中、思い出されるのは1995年の阪神淡路大震災だ。最近の地震報道を見ると、日本のあちこちで地震に見舞われている。どこで大地震が起こっても不思議ではない。いつ起こっても不思議でない大地震のことが心配になる。

 そんな中、11日の農業新聞にジャーナリスト鎌田靖さんの投稿記事が載っていた。

 ・・・NHK記者としてたまたま神戸に赴任。震災に遭った。そのとき震災者を救ってくれたのが炊き出しだった。炊き出しだから大きな鍋で暖かい豚汁を作ってくれた。肉の野菜も、芋も入って炭水化物もとれて、炊き出しだから個食ではない。

 大人数で食べることによって会話が生まれ、人と人とのつながりが生まれて「しゃあないな。でも生きるか」と生きる希望がわいてくる。食べること、それも大人数なので絶望の中に生きる希望を見いだした、と。

 続けて、NHKでは震災の中、営業を続ける弁当店を見つけて局員向けに弁当を用意した。僕らは皆同じ弁当を食べ続けた。その生活をずっと続けたら、定期健康診断でほとんどの局員の血糖値が異常に。それだけでなく他の数値も皆同じような感じ。

 野菜もとらずに同じ弁当を食べ続けたら、体が同じようになっていったのでしょうね。衝撃を受けました。人間の体は食べ物で作られていることを、検診の数値で知らされたんです。食べ物の大切さを改めて実感した次第です。・・・・・と結んでいた。

 食の履歴書『炊き出しでつなぐ命、阪神大震災から学ぶ』からの引用だが、食べられることが生きる力を引き出すこと。NHK局員の弁当の経験から人体実験をしたかのような結果が出たことに驚く。

 正月の新聞で目についたのは、小麦と油をとらなければ健康になる、食べていい添加物と食べてはいけない添加物、といった類いの本の紹介が多かったことだ。

 偏食もいけないが、添加物も問題だ。地球に存在しなかった化学物質を、1万年前と変わらないと言われる人類が体に入れるということは不自然極まりない。

 体調が優れないのは食べ物のせいではなかろうか、と時には振り返って見ることが必要ではないか、と思う。今のマスコミは値段の問題ばかり取り上げ、一方でサプリメント、機能性食品、栄養補助食品などのコマーシャルに溢れている。

 健康食品ということが言われることは、そもそも健康ではない食べ物があるということではないか。よく見極めて、ホンモノの食べ物を食べて命を守ろうではないか。と思う。                               

                      byおかげさま農場・高柳功