(産地の声)vol.1726 一老農のつぶやき 2025.11.26
成田市がオーガニック都市宣言をしたことは前にも書いたが、今なぜオーガニックなのか、という本質的な問いかけにどう答えればいいのだろうか。
当市では、栃木県にある「民間稲作研究所」から講師を招いて、無農薬稲作の講義を受けている。その代表だった稲葉光圀さんという人は学校の先生だったが、農業高校に赴任して稲作で除草剤を使っていることに疑問を持った。
その除草剤の成分は、ダイオキシンという猛毒の成分が使われていた。食べ物を生産するのに猛毒を使っていいのか、と疑問を持ち、そういうものを使わない稲作を目指そう、ということで教師の職を捨て、除草剤を使わない稲つくりを探求し始めた。教育も大事だが、人間の命の方が大事だと、自ら田んぼを耕し、雑草を抑制するには、と試行錯誤して見事、除草剤を使わないお米つくり技術を実践完成させた。
その稲葉さんの指導もあって、県内のいすみ市では全国に先駆けて学校給食においてオーガニック米の完全供給を成し遂げたのだった。単に稲作にとどまらず、いすみ市の地域の皆さんは、かってのようにホタルの飛ぶ、秋にはトンボが舞う自然の回復によって豊かな自然を取り戻そうとしている。
日本有機農業研究会は1971年に誕生したが、その発起人の一人に梁瀬義亮さんというお医者さんがいる。京都大学で医学を修め奈良県で開業するが、農薬で亡くなったり、病気になったりするのを見て、農薬の恐ろしさを実感自費出版し訴えた。
○人間はいつも病気の中にいる。しかも病気にならずに健康でおれる力、それが生命力である。私たちの体の中には自然治癒力というお医者様がいて、知らぬ間に 病気を防ぎ、また、病気を治してくれる。
○生命力の弱りから起こった病気という結果現象だけを薬(化学薬品)で納めようとすることにどんな意味を持っているのだろうか。
○生命力が弱るその原因の究明と、弱った生命力の恢復の方法の追求こそが、今1つのより大切な医学の分野ではないだろうか。
梁瀬先生の言わんとすることは、命の不思議さと生命力が根源であること。それは農業の無農薬栽培、農産物の生命力を信じて栽培することと通底している。先生は、農法の研究もし、自ら実践した。
こうした先人がいるからこそ、今の自分たちの実践につながっている。当農場も設立して38年目を迎える。最後まで、精進なのだ、と思う。
おかげさま農場・高柳功
