食の秋

(産地の声)vol.1717 一老農のつぶやき           2025.9.24

 暑さ寒さも彼岸まで、ということがあるが、かろうじてお彼岸になって秋風が吹くようになった。今日は最後の稲刈りだったが、おだやかな晴れの中、最後の稲刈りが終わったのだった。後半は、モチ種なのだが、これが面倒なことなのだ。

 

 稲刈りの手順は、コンバインによる刈り取り、そして刈り取った籾を乾燥機に入れ乾燥する。そして水分14.5%設定し灯油を燃して乾燥する。次に乾燥の終わった籾を籾すり機で籾からお米にし、計量袋詰めをして終える。

 もち米の場合、面倒なのはハテさせること。ハテさせるというのは、もち米はうるち米と違って米粒が白くならないと検査が通らない。(その白くさせる事をハテさせる、という。)いったん乾燥機にかけ、途中時間をおいて再び乾燥機にかける。そうすることによって米粒がハテるという理屈なのだが。

 だが、やり方が良くないと、うるちと同じように半透明のままでうるち種と同じ状態のまま、ということがままあるのだ。そうした場合再び時間をおいて再度の乾燥をしてもち米状態にするのだが、これが中々上手くいかないのだ。

 だから稲作農家はもち米を作りたがらない。あまりやりたくないのだが、契約してしまったので続けている。、、、。でもモチは美味しいな。

 昨日はお彼岸で、姉がもち米を使ってぼた餅を持ってきてくれた。もち米5とうるち2の割合でご飯、そして小豆あんこをかけて食べたぼた餅は美味しかった。

 お彼岸なのでお墓参りするために、お墓の草退治をしに行ったのだが近くの山間に自然に生えてきた栗の木があって、草刈りをしようとしたらいっぱい栗が落ちているではないか。なので急遽栗拾いとなってお墓掃除は後回しになった。

 仕事も延々と続くが、楽しみは食べること。8月から稲刈りまでは午前と午後に1個づつスイカを食べてきた。20株の小玉スイカ植えて一株4玉あれば80玉とれる。それを冷蔵庫に入れて食べ続けるのだが、酷暑の夏の中冷たいスイカは何よりのごちそうだ。へたな飲み物よりもはるかに身体に沁みる。

 スイカの後は柿だ。柿も好物なので毎日食べ続ける。栗拾いが始まったので、これも毎日栗を食べる。山栗なのだがこれが中々美味しい。庭先のイチジクも間もなく食べられるだろう。秋の味覚を存分に堪能できるのは、農家の特権かも知れない。

 と、まあ食べ物の話になってしまったが、収穫の秋を迎えた。皆さんはお店でだろうが、こちらは採り入れをしながら食べるのが違うところかな。

 ハウスのモロヘイヤは虫だらけ。冬に備え虫たちの捕食活動は活発だ!

                   おかげさま農場・高柳功