塩の話

(産地の声)vol.1697 一老農のつぶやき           2025.5.7

 九十九里の方から塩が届いた。水産会社が塩をつくり始めた。10数年前千葉市の方で、アースデイマーケットというイベントの中で知り合い、仲良くなったのだった。塩は、生き物にとって大事な食べ物だ。この国は、塩田での塩つくりが主流だったはずなのに、どういうわけか塩田を廃止に追い込み、作らせなくしたひどい国だ。

 

 1971年だったか、この国は法律を持って、塩田を廃止させた。産業発展のためだというが、昔調べたところでは、日本の塩消費量は1500万トンに及ぶという。今、食塩として市販されている塩は、輸入塩で電気分解のような(よくは知らないが)方法で、実質は塩化ナトリウム99%という化学物質と言える。

 自然塩の塩は本来100種類くらいの元素があるという。だから塩化ナトリウムの塩は塩とは呼べない代物なのだ。

 地球の歴史は46億年と言うが、高等生物は海で誕生した。海水濃度0.9%の時に生物が誕生し、その塩類濃度は20億年という歴史の中を細胞が頑固に引き継ぎ生命がある。我々人間も同じくその体液は0.9%の塩分を維持して生きている。腎臓だったか膵臓だったか、体液0.9%を保つ働きをしているという。余分であれば取り除き、小水となって体外に排出される。(これも自然塩であれば、と言うことらしい)厚生省は減塩ばかり強調しているが同意できない。我が家は塩辛いものが食べたくなったら食べて、取り過ぎなど全く気にしない。

 かって牛を飼っていたことがあるが、牛には餌場に岩塩を置いておいて、好きな時に嘗めたい時に嘗めるようにしていた。それでいいのだ、とはお付き合いしていた獣医さんが教えてくれた。

 人間も同じで、(同じ哺乳動物だ)身体が求めているときは補充した方が良い。栄養学者の川島四郎さんも15gは取った方がいい、と言ってたなあ。

 お医者さんが10g以下とか、今は7gでいいとかいってるが、本当だろうか。何より急病で病院に担ぎ込まれると、必ず点滴療法が取られる。点滴の中身は何だと言えば、塩水で、しかもそれで蘇生するとはいったいどういうことか、となる。

 塩水で人間が生き返るのだ。お医者さんの中にも塩を(ただし自然塩)を充分取るように、そして体温を高めることが健康にとって大事という人もいる。

 長々と塩の話になったが、その塩つくりの塩と我が家の無農薬米を物々交換しようとなって、今に続いている。塩の研究家によると、岩塩は、雨風の中で養分が抜けやすいので、日本人の海水からの塩がミネラル豊富という。自然塩は、うま味があって美味しいよ。          byおかげさま農場・高柳功