(産地の声)vol.1693 一老農のつぶやき 2025.4.9
今年は水利組合の組合長になってしまった。例に漏れずこの村でも後継者不足で、人が少ないので水利組合も順番で役が回ってくる。毎朝6時半にポンプ小屋まで行き、水を出す役目となる。
水を出すと同時に、早い人は代掻きを始めた。あちこちの育苗ハウスは芽を出し、緑化が進み緑の絨毯になっている。我が家の苗に少々カビが発生した。多くの農家は、殺菌剤を使って予防するが、我が家は無農薬なので打つ手がない。
娘が大騒ぎしたが、とりあえず被服資材を取り除き、湿気を取り除き、太陽に当てた(太陽殺菌!)のだが、何とか止まって良かった。
家の前のさくらも満開で、昨日は保育園のお客さんと、花見をしながらの食事会だった。あちこちでタンポポも咲き始め、草対策が気になる季節となった。雑草も気になるが、野に咲く花も美しい!
夜には、久しぶりに息子や孫も揃って食事をしたが、我が家はほぼ自給自足。今夜の食事は、生野菜サニーレタス、ほうれん草のおひたしに、自家大豆の煮豆、そして蒸かしたサツマイモ、それに小さな焼きサバが登場、そして定番のご飯と味噌汁なのだった。
サバ(これは買うしかない)で思い出す。江戸の国学者=橘曙覧の詠んだ歌、
”たのしみは まれに魚煮て 子ら皆が うましうましと 言いて食う時”
を思い出す。
小さな楽しみだが、家族とうましうましと感動を持てる時間がもてることが素晴らしいと思うのだが、いかがだろうか。
食べ物は全て自然が与えてくれる。自然の恵みをいただき私たち人間のいのちがあることに感謝する。おかげさまの心を忘れないようにしたい。
明日は2回目の種まきの日。無農薬稲作を紙マルチ栽培でやっているのだが、慣行栽培の田植機は早く植えられるのだが、紙マルチはそうはいかない。
一般の田植えより時間がかかる。全部同時に種まきすると老化苗になってしまうので、半月以上ずらして2度蒔きをすることになる。
箱を入れる人、土を入れる人、運ぶ人、並べる人と人数が必要なのだが、仲間や知り合いのおばちゃん達が面白いからと手伝ってくれている。ありがたいことだ。人が多いと賑やかで楽しい。これもおかげさま、だ。
おかげさま農場・高柳功