(産地の声)vol.1691 一老農のつぶやき 2025.3.26
おせんべいを焼いている。とは言っても自分では焼くことはできない。それなりの道具か機械がないとせんべいにならないのだ。
当家は、食べ物には結構こだわる。添加物は、特に化学添加物には拒否反応の家族達なのだ。なので、市販の物を買う時には、必ず裏書きを見る。たかがおせんべいに何でいろんな添加物が必要なのか。と思ってしまうのだ。
そこで、ならば自分でやれば良いのだ、となってお米とお醤油だけのおせんべいを作り始めた。オーガニック農家に教えてもらい、有機米=無農薬栽培米だけを焼いてくれる業者さんを紹介してもらい直売所で販売し始めた。
今日は、そのせんべい屋さんが焼き上がったよ、と言うので東京まで受け取りに行ってきたのだった。当農場には、ガン患者さんとか化学物質過敏症の方とかのお客さんが来る。昨年だったか、おせんべいを100袋ほしいというお客さんが現れた。1袋10枚入っているので、いくら何でもそんなに買わないでもいいのでは、と言ったら、過敏症なので食べるものがない。このせんべいは問題なく食べられるのでほしいのだ、という。
化学物質過敏症のお客さんは大変だ。前にも、そういうお客さんがいたが、ここのトマトだけは食べられるから、と言う。
こんな仕事をしているといろいろな人がいるもんだと勉強になる。ずっと前だったが、子供が虫好きで、青虫の幼虫を飼っているのだが、次々と死んでしまう。なので青虫の死なない野菜がほしいと言うのもあった。
どうかと思ったが、キャベツを送ったら、虫が順調に育って子供が喜んだ、と言うことだったが、これはなるべくやってほしくない、と仲間達の声だった。
急に春めいてきて、我が家も種まきが始まった。サニーレタスや小カブなど出荷していたが、そろそろ終わりに近づいて、田んぼの仕事が急がれるようになった。東北から四国九州と山火事が続いているが、田んぼの畦の枯れ草の始末は燃やすしかない。日中は、娘と連れ合いと畦草燃やしをし、夕方に東京まで行ったのだった。火を使うと言うことは、火を消す事が大事なので、火を付けることよりどうしたら類焼しないか、そちらの方が重要な事になる。それが済んだら次には、畦塗りをし、水漏れがない措置をし、一方で水の取り口の修繕をしたり、次は耕耘、代掻き、そして田植えと続く。畑も草退治が待っていて、猫の手も借りたいほどと言う状況に入る。
野菜達も端境期になり心配だが、巡る季節に合わせて仕事をするしかない。 おかげさま農場・高柳功