寒い日が続きます

(産地の声)vol.1686 一老農のつぶやき           2025.2.19

 田耕をしてたのだが、手がかじかんでしびれた。予定では2枚の田をトラクターをかけるつもりだったが、家に戻る。2度目の寒波襲来と言うが、ほんとに寒い。まだ雪が無いだけましなのだろうが、寒さは身体に応える。

 

 今、報道は米問題で賑やかなこと。しかし、農村に暮らす身からすると何かピント外れな話しかしてないなあ、と感ずる。今更、何を言ってるんだろう、と思う。あの太平洋戦争から1970年までお米は統制品として扱われた。つまり農の現場からすると、生産者の意思など関係なく、国民のためにと国家が統制管理していた。

 全国の農民が国民の為だからと増産に励み、足りるとなったらいきなり減反政策となった。30年間統制管理され、今度は作るな!ということになり、稲作農民は急激に減少した。今、稲作農民の3分の2は70代以上の耕作者で担われている。あと10年もしないうちにそのメンバーはいなくなる。誰がお米つくりをするのだろう。

 報道は、お米が高いことばかりテーマにしているようだが何を基準にしてるのだろう。知る限り稲作農家はお米の高騰?に心から喜んでいない。今の日本人の消費量からすれば年60kg食べていると言うが、それが5kgで4千円と騒いでいるが、年間にすると一日あたりいくらになるだろうか。計算すると一日あたり130円程度になるが、缶ジュース1本分くらいの出費だ。お茶のみ話で、「日本国民は、缶ジュース一缶の値段になったことが問題と騒いでいる。なんかもう笑えるなあ!笑ってしまうしかないよなあ」などと冗談のような、変な話になってしまう。

 昨年まではそれ以下の値段だった。山形の方では時給10円、新潟の方では時給300円くらいだったなんて話になってる。今までがそうだったから後継者は誰もやろうとはしない。少子化が叫ばれているが、農の現場は農家消滅に向かってる。

 当地のお役人は、農家は補助金があると言うが、それが本当に農業経営の強化になっているのか分かろうとしない。マスコミは価格論しか論じない。

 世界を見れば、先進国で日本のような食糧、農業政策をしている国はない。食糧政策の要諦は二つ。一つは農地、もう一つはそれを担う経営体だ。EUの予算の半分以上は農業予算と聞く。アメリカは自由と言うが、国土保全庁が50年計画で農地を保全し、市場価格が下落すれば直接補助して経営体の維持に務めている。

 この国は自給率向上と言ってきたがスローガンだけで実効はなし。それに使われたお金はどこに行ったんだろう。嫌な話、投機的な輩がはびこって来やしないか心配になる。お米だけじゃない。野菜も同じだ。これで、大地震などに襲われたら日本人はどうなるのだろう。とても心配です。      

                       byおかげさま農場・高柳功