(産地の声)vol.1664 一老農のつぶやき 2024.9.11
お米が足りない、と世間は騒いでいたが、当農場の場合、野菜が足りない。
端境期とはいえ以前はもっと充分にあったが、今年はそうなっていない。
会員農家も高齢化し、やめざるを得ない人も出てきた。そういう私も間もなく後期高齢者と呼ばれる仲間になる。
おかげさま農場も今年で37年目となって、かっての仲間は半分くらいは後期高齢者になってしまった。「人のためと言うより、自分の面倒を見ることの方が先になってしまった」と言う話が良く出るようになった。
後継者つくりが不十分だったことが悔やまれるが、現実はそうもいかないことを示している。
つまり、この国は農を評価しない社会だと思える。同時に当の農人が日本人の食を支えてきた農に誇りを持てなかったこと。子弟を農家にしたい、或いは勧めるだけの要因がない。農の未来を描けないのだ。
人間は食べ物でできている。のだが、かって農政ジャーナリストが言ってたことだが、食糧を論ずる人は多いが、それを担う農民のことを論ずる人はいない。と。
前にも書いたが、養老孟司さんは、若い人からこれから先のこと、未来はどうなるかと聞かれた際には、「あなたの未来は田んぼだよ」と語るという。
田んぼというか、自然の恵があっての私たち人間の存在なのだが、そこを疎かにしてはたして未来はあるのか、と思うがどうだろう。
ムラの稲刈りは9割り方終わり、我が家ともう一軒だけとなっている。
先週も書いたが、外来雑草の駆除をしながら娘と二人だけの稲刈りをしている。仲間は、シラサギとツバメ。稲刈りをすると稲の間に住み着いたイナゴやカエル、そして小さな小虫類が飛び出す。それを狙ってシラサギやツバメがコンバインの回りを飛び回っている。
ツバメは生きている虫しか食べない。動きのないものは食べない。人間は食品を分析し、調整剤とか添加物などを使って旨く食べようと化学物質を身体に取り込む。そして病気になっったらお医者さんが治療してくれる。どちらが健康的と言えるのだろうか。
などと妄想をしながら稲刈りをしていたら、コンバインが稲刈りをやめてしまったので、途中でやめた。コンバインの不具合=故障だ。明日、どうしよう。
おかげさま農場・高柳功