野菜が揃わない時期です

(産地の声)vol.1643 一老農のつぶやき           2024.4.17

 先週は桜が咲いた、と書いたが1週間がたって、桜の花は散り始め葉が茂るようになってしまった。2日ばかり前にお客さんが来て、「散り始めているがまだ桜見にはなるな」 などと語っていたが、今はほぼほぼ散った感じ。

 

 急に暖かくなったと思ったらタンポポの後には、ポピーの花が咲き始めた。芥子の一種だというが、オレンジっぽい色の可憐な花だ。これはこれで楽しめる花だ。菜種畑に顔を出したら、黄色の花びらが一面に咲いて満開の様相。見頃だ!。なので今年も菜種油が順調に絞れそうだ。

 一方、田んぼの育苗ハウスも順調に育って、田植えが急がれる。昨日ようやく田の耕耘が終えたばかりで、次は代掻きの仕事が待っているのだが、野菜の育苗ハウスには、トマトやナス、キュウリの苗が育っていて、これも植え付けを待っている。毎度書いているが、農家の仕事は種を蒔いたが最後、人間の都合ではなく作物の都合に合わせて仕事をしなければならない。苗を見ていると全部すぐ植えて!と言われているような気がする。

 一方、端境期で収穫物が少なくなっている。宅配の10種類が揃わないかも知れない。野菜を待っているお客さんには申し訳ない気がする。ごめんなさい、と言うしかない。

 この忙しい時に、園児の田植え体験のイベントを引き受けてしまった。都市生活の中で自然を忘れ、土に触れる機会の少なくなった今、いくらかでも自然や土に触れる体験をさせておきたいという、園長先生の熱意を受けてやることになった。中途半端にやるのではなく、田植えから除草、稲の花を見たり刈り取りまでやろうというのだから、ちょっと準備が必要になる。ついでにやるというわけにはいかない。子供達が自然にその場に入れるような配慮も必要だと思うし、慣れない田んぼで事故もあってはいけない。

 最近の若者を見てるといかに自然に触れていないのか、と思えることがしばしばある。養老孟司さんに言わせれば、都市は人間の意志だけの社会となって、自然を体感できなくなっている。自然は人間の意志とは無関係で存在する。

 分からないと言うことが分からない。教科書の知識で分かろうとするから分からない。だからこちらから見れば「分かってないなあ!」となるのだが、園長先生もそういう現実を痛いほど感じているに違いないと思える。なので、そういう取り組みも大事ではないか、と言うことで体験イベントが始まります。

                     おかげさま農場・高柳功