農の営み

(産地の声)vol.1640 一老農のつぶやき           2024.3.27

 畑もそうだが、野山も季節を感じて芽吹きが始まっている。畑で仕事をしながらの休憩時間が語り合いの時間となる。畦草に座り、野山を見てみると自然は休むことなく生きているのを感ずる。

 連れ合いとよく話すのだが、自然の生き物はちゃんと役目を果たしているなあ、と。太陽が出れば呼吸をし、人間が炭酸同化作用と呼ぶ光合成を始める。太陽エネルギーをお米や麦野菜にため込む。それこそ休むことなくだ。その栄養を人間が食べて生きている。と言うより、太陽エネルギーをため込んでくれるからこそ人間を始めとする動物の命がある。

 緑の豊かさがあってこそ我々人間の命があることを感ずる。人間は自分の務めも果たさず、ああだのこうだのと不平不満を言ったり、時にはその自然を人間の都合で破壊したり、果ては戦争までする、困った存在になっているではないか。

 それに比べて自然の木々や草花は太陽をエネルギーで光合成という役目を果たし、地球の酸素の供給、CO2の吸収、水を蓄え土壌の保全など生き物に欠かせない役目を休むことなく果たしている。

 人間は森の木々以下の生き物になっている様相だ。かっての日本人は、大自然に畏敬の念を持っていた。今の日本人に欠けているのは、そういう大自然に感謝することを忘れてしまったことではないか、などと語るのだが、如何だろう。

 最近雨が多く、晴耕雨読ではないけれど、養老孟司さんの書かれた本を何冊か読んだのだが、「ものがわかるということ」と言う本の中で、都市化が進み、頭中心の社会になった。そして自然と付き合うすべを失ってしまったことなど、面白かった。また、「田んぼはあなたの将来のあなただ」という。田んぼに稲穂が実り、それを食べればそれは自分の体の一部になる。大気も同じ。田んぼの実りも人を取り巻く空気もいずれ人の一部になる、それが「田んぼはあなたの将来」という意味です、と。

 雨の中、キュウリの種まきをした。種を蒔く前にはポットに充分水かけをした方が良い。持ち上げてそこまで水分が浸透したことを確かめる必要がある。(こんなことを書くのは新規就農者のよくある質問のため。)

 ついでに?ナスの移植。同じくポットに土入れして本葉2~3枚の苗を植える。トマトもそうだがナス科は育苗期間が長いし実がなり始めまで100日はかかる。

 農の世界は、自然の営みを知る行為でもある。春になれば春の気候に会わせて、夏を迎えるには、その前に準備をする。自然との折り合いをつける営みなのだ。

                        おかげさま農場・高柳功