農業問題を農家のものとする国

(産地の声)vol.1632 一農家のつぶやき。           2024.1.31

 今日の農業新聞の一面トップの見出しは、「資材価格が過去最高!」「'23年飼料肥料が3年で1.5倍」と。農林省の発表だ。

 一方、農産物の価格は107.8と資材に比べ上昇幅は小さく生産コスト上昇分を農産物に充分転嫁できていない、と。

 

 食糧自給率が3分の1というこの国の施策の貧しさに、一層拍車をかけるのではないか、と危惧する。農業を廃業する人が増え続けているのに。日本人の食べ物が足りなければ輸入すれば良い、としてきた。

 そんな中、国は食糧確保の政策を定めようとしている。世界を見れば、干ばつや洪水、そして山火事など大災害が頻繁に起こる異常気象の中でいくらかは危機感が出てきたのだろう。

 食糧の世界情勢に鑑み、農林省が食糧確保のために農業者に指示できるような法律を考えているという。農家の側からみると、ふざけるな!と言いたくなる。これまでの政策は輸入大歓迎、海外の農産物に負けない経営をしろ、と言うことだった。現実は、もうやってられないと農家が減少し続け、意欲をそいできた。

 景気が良い時は海外から輸入すればいい、と世界競争を煽ってきたのに、都合が悪くなると農家に指示を出してまかなおうとする、ご都合主義のように思える。

 農家をやめるというのは企業で言えば倒産と同じで、いったん倒産したら立ち上がれない。何しろ相手は大地であり、自然を相手の仕事なのだ。急にやれと言われてできるものではない。

 現状の農家の担い手の中心は、平均年齢70歳になっていることも危惧する。そんな現状にしておいて、アドバルーンを上げたからといって、急にできるものではあるまい。

 能登の大地震は、未だ復旧のめどが立たないが、これから南海沖地震、東京直下型地震も予想されている。そんな災害に遭っても持ちこたえる自立力というものが必要ではないのかと思う。

 農業問題と言うより日本人の食と命をいかに守るか、日本という国土の自然環境、生存環境を整えることが今の課題ではないのか。市民一人一人がこの国で安心して暮らせる施策をとり、誇りを持って生きることのできる政治がほしい。

 今の国会討論を聞いて、保守も革新も政治家は何をやっているのだろうか。もっと実のりある議論がほしい、と思うのはおかしいかな。

                     おかげさま農場・高柳功