冬野菜が美味しいです

(産地の声)vol.1625 一農家のつぶやき。           2023.12.14

 ほうれん草や小松菜など冬野菜が美味しくなってきた。皆さんもご存じだろうが、冬野菜は寒くなると寒さから身を守るため、糖分始め栄養をいっぱい貯め始める。葉を厚くしがっちりした体つくりをするのだ。

 

 ざっくり言ってしまえば、冬の寒さに耐え、生き抜ける栄養をたっぷり含むようになってくると言うことだ。旬を食べると言うことは、冬の寒さに耐える生命力を食べると言うことにもなる。

 三浦大根も出始めた。9月の虫食いにあって、だいぶ欠株が出たので、ところによっては巨大な大根になって出荷する箱に入りきれないものがでている。

 今の大根の主流は青首である。昔、師走には三浦大根が主流だった時期がある。三浦大根は、栽培としては大きくなること、畑からの大根抜きが大変なこと、生育が揃わない、出荷の際に割れやすいことなどの特徴がある。要するに扱いにくい品種なのだ。

 食べては煮ても生でもおいしいのだが、そんな特質もあって作られなくなり、主流は青首大根となった。青首大根は片手でも抜ける、しかも揃いの良い育ちをする。なので、作り手にとっても、スーパーにとっても扱いやすい品種と言える。

 しかしながら、三浦大根は美味しい。煮大根にすると格別のおいしさがある。仲間の中では「俺は煮大根が好きで、一日一本食べてしまうよ」という人もいる。

 前述のように今年はとりわけ虫の発生がひどかった。なので、出荷量は半分以下だと思う。12月いっぱい持たないかも知れない。

 虫の発生と言えば、養老孟司さんは虫好きマニアだが、世界の自然界に目を向けると、昆虫が少なくなっているという。人新世の時代になって、自然環境が、生態系が恐ろしく貧弱になって昆虫が目に見えて減っているという。

 例えば蜂は、虫媒花にとって必要不可欠なもので、花を咲かせる植物には受粉が命。その影響は、化学物質=農薬や森林減少などがあるだろうという。

 かって世界中のミツバチが3分の1もいなくなってしまった。死んでしまった、と言うことがあった。その原因がネオニコチノイド系殺虫剤とされ、世界中で、使用禁止に向かっているのだが、この国ではほぼ無制限に使用されている。それでいいのか。 昆虫が生きられないということは人間の生存環境が脅かされることにつながるのだが、無神経な日本人にならなければいいな、と思うのだがどうだろう。

                      おかげさま農場・高柳功