歴史の上にある今

(産地の声)vol.1620 一農家のつぶやき。           2023.11.8

 今日は立冬の日。旧暦で言えば今日から冬が始まる。(旧暦と言うより二十四節気というのが正しいのかな。)庭先の栗や柿の木の葉も落ち、野原の草木も黄葉し、冬の兆しが見える。

 

 農の生活をしていると相手が自然だからか、今の暦より二十四節気が書かれている暦の方が生活に役立つ。例えば、葉を落とし、枝だけの木になると冬を感じ、そろそろ竹を切ってもいいかな、などと思う。竹は、中に必ずと言っていいほど虫がつく。11月になれば虫がつかず、長く使えるのだ。そんな季節を迎えた。

 今日はムラの方から、香取神宮のお札と共にその暦が届いた。我が家は地元大須賀大神とそれにつながる香取神宮の氏子になっている。先祖から引き継いで、それが当たり前とご縁を大事にしてきた。

 一方、檀那寺の方からも真言宗豊山派の暦が届く。これも二十四節気が書かれていて内容はほぼ同じ。また大安吉日と言われるような、6日に日替わりする運命?の日が書かれてもいる。大安、友引、先負、先勝、赤口、仏滅など。

 気象庁の予報によれば、昨日までは、温暖化のせいか夏日という記録的な日だったそうだが、これからは急速に寒くなるそうな。暦通り冬になるのかと観ずる。

 そして住職が立冬を予定してたかどうかは知らぬが、当檀那寺の本山参りにいくことになった。旦那寺との縁は長く、当家の歴史をたどろうとすると檀那寺しかない。前住職に過去帳で調べてもらったことがあるが、たどれたのは江戸時代の元禄までだった。寺の火事もあり、過去のことを記した書類が少ない。

 我が家の檀那寺は、真言宗豊山派に属し、30代そこそこの若い住職が寺を守っている。その住職の誘いに乗っての本山参りで、奈良県桜井市にある長谷寺に参拝する予定。2泊3日の予定で、ついでに伊勢神宮の参拝もする。

 現代は宗教心、信仰心が薄らいでいると言うが、京都の賑わいや伊勢神宮の賑わいなどをTVでみると、そうでもないのではないか、と思う。

 奈良の東大寺や法隆寺などから始まった寺社の存在が、何はともあれこの時代まで引き継いで守った人々がいたということは、それらを支える人々がいたと言うことだろう。そしてその建立当時のままあることで、歴史をたどることができ、かつ今日の観光ブームがあり、今の経済を支えている。

 数百年数千年の単位でものを考えることは少なくなったが、先祖が培ってきた歴史の上に、我々の今現在があることを忘れないようにしたいと思う。

                        おかげさま農場・高柳功