(産地の声)vol.1614 一農家のつぶやき。 2023.9.27
1週間はあっという間に来る。先週は、歳に似合わずしばらくぶりで飲んだせいで書くことができなかった。(というのは言い訳!)自らの務めを果たすことができなかった、と言うべき。
この一農家のつぶやき(産地の声)も毎週書き続け、今回で1614回を数えることになった。自分ながらよく続いているものだと思うが、農の営みは自然との関わり合いでもある。
近年の日本人は、自然に対する畏敬の念というか、自然を忘れ、その恵みに感謝することを失念しているのではないか、と思われる(思い込みかも知れないが)
なので農の世界、自然との関わる姿を少しでも知ってもらいたい思いがある。どんなに科学は発達しようが、食べなければ命はなくなる。その命の維持装置が農であり、自然の恵みなのだ。
話変わって、未だに稲刈りが終わらない。何が仕事の進行を阻んでいるかというと、雑草である。我が家は無農薬栽培で、その対策として紙マルチを敷きながら田植えをしている。田植えをしてほぼ2ヶ月すれば分けつし稲が地表を覆うように生育が進む。それで今までは秋の稲刈りになれたのだが、近年新種の雑草が発生してる。
どうも輸入種らしい。これまでになかった雑草で、穂が出てくる頃に発芽して小さなうちはなよなよした草なのだが、稲を超したあたりから一気に太い木になってゆくのだ。茨城から来た同輩が、「我が方でも出始めた。気になる木などとだじゃれを言ってるのだが困ったものだ」という。
「グローバル化がコロナを持ち込んだらしいが、同じように雑菌や雑草、害虫まで持ち込まれていることは、都会に住む人にはわからないだろうな」などと語っていたが、それに加えて温暖化、猛暑続きの天候はいかんともしがたい。
その木になる草は株元が3センチにもなる大草で稲の背丈の1.5倍くらいになるので稲刈りに支障がでる。仕方ないので鎌を持って稲の間を歩きながら一本一本切って田んぼの外に出すしかないのだ。その手間が大変なのだ。
畑の草も相当なもので、今時の草はあっという間に生長する。半月もすれば元に返ってしまうほど成長が早い。早く稲刈りを終わらせてあちこちの草退治をしたいがままならない。
今日早い分の米の検査に行ってきたが、検査員の人曰く「農家をやめる人が出てきて淋しいな」と。農の現実と社会の評価のギャップはこの国の滅亡への道へと進むかも知れない、と思った時だった。(大げさか!)
おかげさま農場・高柳功