農業の問題は農家の問題!?

(産地の声)vol.1611 一農家のつぶやき。         2023.9.6

 当地の田んぼは8割りかた稲刈りが進んだ。残りは数軒の農家の分だけだ。我が家の田んぼも残っている。昨日は稲刈りだったが、田んぼに見えるのは数人の農家だけだった。淋しい感じがする。30~40年前は賑やかだった。あちこちで稲刈る人々が声を掛け合い賑やかだったのだ。それが今は・・・・・。

 

 そんな風景の中で40年ほど前のことを想い出していた。フランスに渡航した際のフランス人の語る農業観と日本の中での農業に対する考えの違いにカルチャーショックを憶えたのだった。

 当時、日本では減反政策でお米を作るなと(正確には作り過ぎるなというべきか)ほぼ強制的に行政が田んぼに乗り込み?、一枚一枚の田んぼを図って、計画以上の面積は成熟前に刈り取らせるという強攻策をとった。供給過剰だからと言うのだがその前までは、1俵でも多く獲れ、と言う政策だったのに、である。

 そんな国の政策に矛盾を感じていたので尋ねた。フランスの当局者は「フランスは農業国です」というので、「ではお国ではどれくらいの自給率ですか?」と尋ねたら、「180%です」という。「それで問題はないのですか?」と問うと、「問題にはならないです。それでフランス人は安心できるのですから」という返答だった。それを聞いて、日本の政策も訳があるのかなと言う思いもあったのだが、国の違いによってこうも農業観が違うものかと思ったのだった。

 その後、何度かフランスには行ったが、たまたま従兄弟がフランスとの合弁企業に勤めることになって、現地でフランス人の価値観について話す機会があった。日本ではGDPがどうのこうのと話題になっているが当地ではどうかと聞いたら、「そんなことは専門家がやること。普通のフランス人はそんなことに関心を持たない」と言う。では、どういうことに関心を持っているんだろう?と聞いたら、ざっくり言ってしまえば、食べるものと住むところが安心できることかな?という。世界がどうなろうが食べ物と住むところがあれば生きてゆける、と言う考えだろう、という。

 話は飛ぶが、各地で豪雨が続いているが新潟県では雨が降らず川が干上がり稲が枯れ始めていることの報道が続いている。が、あくまでも農家の問題としてしか報道しないし、国民も農家の問題としか認識されないようだ。

 日本人とフランスの決定的な認識の違いは、農業問題が出るとフランス人は俺たちの食べ物の問題と反応する。この違いは何だろう。なんなんでしょうか?

                     おかげさま農場・高柳功