無着成恭先生が崩御

(産地の声)vol.1605                    2023.7.26

 おかげさま農場の片岡です。久々に登場します。私が師として仰ぐ存在の1人が、高柳場長ですが、その高柳場長にも師匠が数人います。その1人、無着成恭さんが96歳で他界されました。「無着成恭」という名前を知っている若い方は少ないと思うので簡単に説明すると、お寺のお坊さんです。若い頃は学校の先生をしていて、「やまびこ学校」という教え子達の学級文集が日本全国で有名になり、その後、私立の学校に請われて教壇に立ったり、「こども電話相談室」というラジオ番組で人気を集めた方です。

 

 お話が面白く、そしてお坊さんということで、全国各地に講演で飛び回っていました。私も一度、高柳場長と一緒に講演に行ったことがあるのですが、今の学校教育や社会に対する批判を独特のユーモアと仏教の教えを交えながらお話しするので、笑いと感心が絶えない時間でした。そんな無着先生の言葉を高柳さんからも良く聞きますので、いくつかあげてみます。

・「本物の食べ物は腐るんです。腐らない食べ物はダメです。つまり生き物を食べる事が大事です」

・「人間、誰にも人には言えない哀しみがある。特に50歳ぐらいになれば、見た目は明るくても、家族、健康、人間関係、お金など、何かしら重荷を背負いながら生きているんです」

・「戦争まではこれが正しいと教えられていたことが、終わった瞬間に全て間違っていると言われたんです。教育とはいったい何なんだ?と思いました。そして、日本の教育は国家のための教育であって人間のための教育じゃなかったんだ、という事に気づきました」

・「私は教師をやっていたからわかるんですが、日本という国は指導要領で『農業を教えない』と決めた国なんです。だから今の人達は農業について理解が足りないんではなく、そもそも教えられていないのです。だから、感謝や理解が無いんです。全ては教育のせいなんです」

 高柳場長という私から見たら先人も、その師からいろいろな教えをもらって今があるんだな、という事がわかりますし、その師の言葉を私も聞かせてもらえる。有り難い事だな、と思います。昔は祖父母、村の長老、あるいはお寺の住職など、「何かあったらあの人に相談しろ」という人が身近にいるのが普通だったようです。今はそういった師を持つ事が難しくなってしまった時代かもしれません。                                               おかげさま農場・片岡弘充