お彼岸中です

(産地の声)vol.1587 一農家のつぶやき。         2023.3.22

 お彼岸中だ。我が家は彼岸の中日にお墓参りするのが恒例の行事。我が家のお墓は広すぎる。故あって広いので刈り払い機で草退治してお墓の掃除となる。一軒墓なのに60坪もあるのだから管理も結構な仕事量となる。

 

 当日(中日)、家族全員でお線香とお花を持ってお参りする。彼岸とは悟りを得た世界で、此岸は我々のいる煩悩と悩みにまみれた世界というが、やってることは先祖供養のようなもの。

 10代溯れば、千人の先祖が20代溯れば百万人もの先祖になる。そうした先祖のDNAを受け継いで今の自分がある。奇跡的な命だよ、と坊さんは教えてくれる。墓石を見ると5代前は全部高柳源右衛門となっている。文化文政時代、享保時代、元禄時代の墓石に刻まれているのは皆、高柳源右衛門の名前。要するに代々、名を世襲してきたということらしい。

 彼岸の中日は、別名春分の日だ。途端に春めいてくる。先にフキノトウ、水仙の花が咲き、最近、田んぼの畦や土手にはタンポポが真っ黄色の花を咲かせ始めた。睡蓮や拳の花も咲き始めた。ホトケノザは小さく目立たないが紫色の、それなりにきれいな可愛い花が咲く。

 我が家の家の前の桜の花も咲き始めたではないか。2、3日前に見たときはつぼみが見え始めたと思ったのだが、娘が「咲き始めたよ!」という。近年では最も早い開花だ。

 田んぼの準備も進み、種籾の浸種も始まった。15日に浸種開始、種まきは25日を予定している。そうなると田んぼの準備も始めなければならない。排水の詰まったところをユンボを使って排水路の泥上げ、畦の草燃し、畦塗り、そして施肥耕耘とつづく。天気予報が傘マークが続くようなので焦っている。今の段階で田んぼがぬかると深くなってしまいまずいのだ。ある程度、水が抜けている間に耕耘まで済ませたいのだが、どうもそう上手くいかない感じがする。

 肥料屋さんが来て、肥料も値上がりが進み、倍になっているものもあるという。前にも書いたが、畜産農家では廃業をせざるを得ない農家もでてきたと言うが、耕種農家である我々も締めてかからないと危ういかも知れない。

 どうなってしまうのだろう。卵の値段が上がって卵抜きの食べ物がでてきたと言うが、農家はそれどころではない。軍備のためには簡単にGDPの2%と決めてしまえる国なのだから国民の食と命のため2%使えばいいのに、とは客人の話でした。                        おかげさま農場・高柳功