(産地の声)vol.1581 一農家のつぶやき。 2023.2.8
節分が過ぎいくらか寒さが和らいでいる感がする。前の畑の麦も厳冬から気温の上昇を受けていくらか伸長しているのがわかる。
季節の上では春を迎えているのだろう。木々の芽も脹らみかけているようだ。
今日は、県主催の生涯大学に招かれ無農薬の話をしてきた。演題は「居住区と環境保全・有機農業の実際」というもの。
毎年、県が募集して開催されるもので、陶芸教室やボランティア活動、街つくりコースなどがある。各教室2.30名くらいで1年間学び生きがいのある高揚を目指す、となっている。
参加者は高齢者が対象で、退職した人や仕事を持っていない高齢者のみなさん。昨年も生涯大学の卒業生のグループに頼まれて話してきましたが、無農薬有機農業には関心が深まっているように感ずる。
昨年、卒業したの皆さんは面白くて、行政の人の話は面白くない、実際にやっている人の話が聞きたいと頼まれたのだが、実際に始めるとなると理屈だけでは何をどうしてやったらいいのか分からないという。
そうだと思う。種まき一つにしても、どんな土=畑の状態であればいいのか、種を蒔くにしても一粒でいいのか二粒がいいのか、はたまた深さはどれくらいがいいのか。種蒔く間隔はどれくらいなのか、など実際になると戸惑うことが多い。
我々農に従事しているものでも、経験がない場合は経験のある人に聞いてからでないと始まらない。ジャガイモばかりを作っていてもほうれん草を作ろうとすると初心者となってしまう。
ともあれ始めると、なるべくなら農薬を使わないで無農薬有機栽培でやりたいとなるのは自然な流れだと思う。食べ物なのだから。
農薬と呼ばれるものは基本的に毒と言える。無農薬や有機栽培、自然栽培と呼ぶ栽培は、毒を排除することと自然の力で育った生命力あるものを食べようと言うことだと思う。
何度も書いていることだが、「人間は食べた物でできている」ことは真理と思う。人間の命もそうだが、自然環境の保全も大切だ。「あとに続く者たちのため」にもきれいな自然環境を残しておくことは、今を生きる者にとって務めではないのかと思う。などと話してきた。
食べ物に限らず豊かな自然環境を本来の形にして次世代に渡したいと思う。
おかげさま農場・高柳功