(産地の声)vol.1574 一農家のつぶやき。 2022.12.14
岸田首相が「国民自らの責任として対応すべき」との発言には驚いた。おかしな話だ。私も国民の一人だが、違うのではないか。国民の責任として税金も納めているし国民のために農という務めを果たしている。
防衛費の増額など頼んでいない。頼みもしないことを国民のためと論じるのは筋が通らない。国際平和のために政府が尽力するのは当たり前であるし、国家間のことは外務省や首脳会談などでその使命を果たすのが務めではないのか。
非武装国家として戦後75年。2%の防衛費(軍事費を)なんて誰が決めたのか。マスコミも同類のようだ。財源がどうのと財源問題ばかり議論しているが、そもそもGDPの2%の軍事費にすると言うことの方が問題であって、財源論はその次のことではないか。本質を議論せず、方法論でいいのか。
私の伯父は海軍の飛行機乗りだったが太平洋の藻屑となって遺骨も残らなかった。父は志願兵として北支方面に出兵、陸軍航空隊に属しソ連の進軍で命からがら逃避行をして辛くも帰国できた。そのような伯父と父を持つ私は戦争への道は反対であり平和外交の道を支持したい。
地球にとって人間は環境を食い荒らす害虫のような存在なのではないか、という思いをずっと持ってきたが、戦争はよく言われるように最大の環境破壊だ。我々、市井の人間は、もめ事があればともかく話し合い、お互いの考えや意向を理解し、どこかで折り合いをつけてきた。
素朴に、一国のリーダー達が、お互いを理解し合おうとしないのか不思議でならない。数千年の歴史を積み上げてきた人間が競争や強権を振りかざす姿を見ると、どうも人類は劣化しつつあるのではないか。とても悲しいし落胆する。
そんなことより現在の日本は食糧自給率3割の国に成り下がり、世界的には食糧不足に陥る時代になっている。先日のTVでアメリカの学者が日本はかなり危機的状況になるかも知れない、との発言があったが今の国内農業の脆弱性からすると真実性が高い。
かっての太平洋戦争で310万人が犠牲になったと聞くが、その7割が餓死や病気で亡くなった。要するに戦闘で亡くなったのではなく食い物がなくて亡くなったのだ。今の日本はGDPの倍以上の借金を抱えて、なお兵糧も心許ない国家と言えるのではないか。ならばなおのこと軍事費の増加などでなく、しつこくも外交や国際政治の中で努力してほしいと考えるのだが、どうだろうか。
おかげさま農場・高柳功