感謝の日

(産地の声)vol.1571 一農家のつぶやき。         2022.11.23

 今日は勤労感謝の日。昔は新嘗祭と呼んだ日が戦後のGHQの政策によって、昭和23年から勤労感謝の日となった。新嘗祭の歴史は古く日本書紀にも書かれていたと言うから千年以上の歴史ある日本の伝統文化だった。

 

 私の知る限り全国のどこの神社も行っていて、秋の収穫と全ての仕事に感謝するお祭りである。新穀を神様に奉納して、その後私たちが食べるという順序であり習わしだった。今風に言えば全国津々浦々での感謝祭の日だった。

 今は神様はどこに行ったのかわからなくなってしまった時代で、おかげさま農場を始めた頃、お客さんから”新米はまだか?”という問い合わせがあった時、「何言ってんのかねえ。我々は去年のお米を食べているのに、順番というものを知らないのかねえ」などと話したことを想い出す。

 我が家のことーご飯を炊くたびに、仏様と神様、大黒布袋様、そして荒神様の4カ所に毎日毎回お茶とお水と一緒にお供えする。心情としては、命をつないでくれた先祖、そして収穫を与えてくれる天地自然に対し感謝する。

 前にも書いたが、欧州のことわざに「人間は食べたものでできている」というけれど、その食べ物は人間が種を蒔いているけれど人間が食べ物を作っているわけではない。お米は稲という種が大地に蒔かれ、水と炭酸ガスを元に同化作用でお米という形でエネルギーを蓄える。それを食べて人間の命が保証される。

 それをなし得るのは植物であって人間ではない。宇宙大自然の営みがあって収穫がある。農家は生産者と言ってるけど、真に生産しているのは稲であり野菜達の生命行為なのだ、ということを忘れてはならないと思う。

 近代は科学技術の発展で何でも解決できるかのように発展?してきたが、一方で自然破壊、環境汚染という問題に直面している。地球上の人間以外の生物は自然破壊などしない。人間は地球にとって害虫的存在と思うのだがいかがか。

 

 そろそろ霜が降る季節になり、月初めに蒔いた小麦が芽を出し,晴れた日には鮮やかな緑を見せてくれる。野菜も冬野菜の季節となり、大根やニンジン、ほうれん草など冬野菜がそろい始めた。

 お客さんにお願いーそれなりに誠意を尽くしているつもりですが、もし問題がありましたら遠慮なくご一報ください。一生改善、勉強なので。

                     おかげさま農場・高柳功