(産地の声)vol.1528 2022.1.26
暦の上でですが、あと1週間で節分。寒が明けます。
寒中の田んぼを見回りしてたら、何枚かの田んぼが水浸しでした。この辺の田んぼは清水が湧き染み出た水に鉄分が多く酸化して赤い泥を形成してしまうのです。 その赤泥が災いして草などに絡まって排水が止まってしまうのです。その結果、排水路ではなく逆流して田んぼに入り込んでしまっていたのです。
私達の地域は平地でなく谷津田といって馬蹄形状の谷状に田んぼが開かれた土地柄です。千年以上前に始まった田んぼですが、谷津田の特徴は周囲に大地があり木々の生い茂る山林に囲まれて、その山林から染み出る地下水が豊か?なのです。
山が水分を蓄えていて地下水は豊富なので、掘り井戸を掘れば飲み水にも田んぼの用水にも事欠かないのですが、自然状態でも水が湧くようなところなのです。ですから、ほっておくと年中じくじくとした土壌状態になって、機械を入れるとズブズブと田んぼにはまってしまいます。なので休耕中の冬の田んぼはよく乾かしておかないと春の耕作が難しくなります。
いったん田んぼを乾かしておくと底ができます。地盤ができればトラクターでも田植機でも動けます。なので春になる前に田んぼを乾かして置く必要があります。排水路を整備しても3年と持ちません。草や泥が上部から流れ落ちてきますので毎年のようにどこかは機械を入れ泥掃除の必要があるのです。
トラクターをかけ代掻きして田植えすること以前に、しておかねばならない仕事が秋から今の冬にする仕事です。自然はそのままにしておいてくれません。毎年手直しをして草の始末を繰り返して収穫を迎えることができるのです。
畑とは違って田んぼの土は重く力仕事です。大変なのですが、考えてみれば我々の先祖は一年も休まず数百年と作りつづけてきたわけで、こうした作業は全部手作業でした。それを思えば今は機械が使えるし文句も言えません。
そうした田んぼですが、ムラの人たちも次々と稲作をやめて離農しています。今50枚の田んぼを耕作してますが、昨年また近所から依頼され断っていたのですがなんども頼まれ引き受けることになってしまいました。3枚増えて今年から53枚になります。増やそうと思ったことは一度もなかったのですが、、、。
従兄弟が曰く「今の田んぼつくりはボランティアだよな。採算考えたらやらない方がいい。」と。ほんと、そう思うのですが、どうなのでしょう?
おかげさま農場・高柳