センスオブワンダー

(産地の声)vol.1523                            2021.12.16

 霜柱がしっかりと降るようになりました。最初はうっすらと畑の表面が白っぽくなる程度でしたが、気温が下がるにつれて大地が霜に覆われて土色から雪化粧したかのような畑が広がります。

 

 日本人の8割が都市部に住むようになって、自然の移り変わりやその実態を経験できなくなることが少々心配です。

 センスオブワンダーとは、「神秘さや不思議さに目を見張る心」と訳されています。無農薬栽培の大敵である雑草を始末しようとする忙しさの中、ちょっと足を止めて草むらを見ると、小さなかわいい黄色の花に出会ったり、しぶとく根を張り生き抜こうとする草などに出会うとそこに生命の不思議を感じたりします。

 これから寒が進み1月には寒の入り、そして大寒の日と続き、2週間後には節分立春と続きます。この寒さの中でほうれん草や小松菜などの葉物は寒さに備えて太陽から目一杯のエネルギーを受け止め、身を充実させ栄養を目一杯蓄えるのです。その変わりゆく姿も中々です。

 大根や人参も葉が元気なときは(まだ青く元気)最後の枯れるまで太り続けます。つくる人間は食べるために収穫してしまいますが、そのまま畑におくと春には花芽をつくり花を咲かせます。そして次の季節に備え種を残しで枯れてゆきます。ですからほっておけば芽を出しまた人参として育つのです。

 人間は非情ですから、そんなことお構いなしに人間の都合で生育の途中で奪い取って食べ物にしてしまいます。人間が生きるには食べ物が必要ですが、それらはみな命あるものです。

 その昔、薬師寺の管長高田好胤さんが、人間自分は悪いことしてない、と言う人が多いがそんなことない。お米や野菜そしてお魚や豚さん、牛さんの命をいただいているではないか、と言われました。

 大地自然の恵みをいただいて人間の命がある、と言うことからすれば地球温暖化問題以前に、自然生態系を大事に、自然に対する畏敬の念を持つことが大切なのでしょう。

 自然を無視した人間の行為に自然が揺り戻しと言う形で起きているのが地球温暖化であり、環境破壊という結果でなかろうかと思うのですがどうでしょう。

 そうしたことをセンスオブワンダーの世界で感得できれば、と思うのです。

                        おかげさま農場・高柳