(産地の声)vol.1519 2021.11.17
高柳場長が忙しい時にたまに登場するおかげさま農場の片岡です。暦の上では冬になり、体感でも朝晩はだいぶ肌寒くなってきました。日暮れが早くなり、曇天や小雨の日には気分がさえない時もありますが、ここ最近はとても空気が澄んでいて空がきれいです。特に夕暮れ時の西の空は「美しい!」と叫んでしまうほどです。色彩のグラデーションは、まあとても絵筆では描けないほどです。空気が澄んでいる日は、成田からでも北は筑波山、西南には富士山が見えます。冬は物寂しい季節ではありますが、空気が澄んでいるととても気持ちが良い季節ですね。
さて、農村では稲刈りが終わり、また、葉野菜に殺到していた虫がほぼ収まったので、ほっと一息ついているところです。もちろん、サツマ芋、生姜、里芋といった生来が寒さに弱い野菜を作っている農家は、「霜が降りる前に!」と、目下、全力で収穫と貯蔵をしています。大規模な農家は自前の貯蔵施設を持っていますが、一般的には穴を掘って土中に埋め、注文の度に掘り返して出荷しています。
また、田んぼ地帯では転作作物の時期で、11月は麦播きや蕎麦の収穫に追われ、12月に入ると大豆の収穫に追われます。雨が降るとなかなか乾かず作業が出来ないので、好天が続く事を願いながらの作業です。
昨年、「来年度の米価目標は過去最大の下げ幅に」となり大騒ぎになりましたが、今年は予想通りかなり低い米価になっています。お米を作っても今の日本人はパンや麺類を食べる人が多くなったのでどうにもなりません。そのため今は新潟や富山などブランド産地は別として、稲作農家は作付けの半分以上をお米以外にしている農家も多いのです。主たるものが飼料米といわれているもので、牛さんのエサですね。また、麦や大豆や蕎麦など転作作物を育てることでもらえる補助金で、ほぼ赤字でも先祖から引き継いできた田んぼを何とか守っています。
お米は食べ物の1つとなってしまいましたが、日本人を生き永らえさせてきた有り難い存在です。11/23は勤労感謝の日ですが、本来は新嘗祭という神事の日です。神棚に新穀をお供えし、収穫への感謝の意を伝え、田の神様は山の神様として山に帰って行きます。それでようやく「今年の仕事も1区切り」。昔は季節や暦に沿って日本人は生きていたわけですね。 「農家は1年を1つの単位、自然の流れ、つまり暦に沿って暮らしている。1週間単位、土・日は休み、という会社員とは全く生活が違うんだよ」といった話を髙柳場長から良く聞きます。私も農家同様の生活をして10年、田畑の景色を見ると「今年ももう終わりだな~」と感慨深くなる時節です
おかげさま農場・片岡