遺伝子組み換え厳密化!?

(産地の声)vol.1510                                          2021.9.16

 おかげさま農場の片岡です。高柳場長が稲刈りで忙しいので久々の登場です。さて、先月末の「食と命の教室」で、場長が配った記事が刺激的だったので共有させて頂きます。

 

 1つは、「除草剤を作物にかける時代に入っている」ということです。ラウンドアップという農薬が世界的に使われてきたのですが、アメリカでは訴訟問題が多発して大変な問題となっています。除草剤は「草を枯らすため」にあるのですが、大産地では「小麦を枯らすため」に使われています。刈り取り前にかけると一律に枯れるので途中で発芽したりせず収穫も楽だそうです。

 ただ、アメリカの各地、あるいはEUでは残量農薬基準を厳しくしたので、日本にもっと売ろうと圧力がかかり、4年ぐらい前に日本は残留農薬基準を6倍までゆるくする「規制緩和」しました。

 この事で海外産小麦を使っている日本の菓子やパンは残留農薬がほぼ100%検出されていますが、「基準内」として全く問題にされていません。髙柳場長は「毒の規制緩和なんて馬鹿なことがあるか!」と怒っています。

 もう1つは、2023年4月から「遺伝子組み換えで無い」と表示出来る基準が厳格化されるそうです。今までは「意図せざる混入=混入率が5%未満なら遺伝子組み換えでないと表示して良い」というものだったのが、「未検出=実質0%」でないと表示出来なくなるそうです。

 一見、良い話に聞こえますが、実際は0%というのは大手流通の仕組みでは不可能。(EUでさえ0.9%)。日本が主に輸入しているアメリカやカナダの大豆、トウモロコシ、ナタネなどの作付けの約90%はもはや遺伝子組み換えです。つまり、ほとんどの集積所では遺伝子組み換え作物が入り込みます。

 そうなると、5%未満ならなんとか達成出来ていたのが、実質0%は不可能になります。大手メーカーの大量生産商品は外国産を使わなければコストが合いません。「遺伝子組み換えでないと表示出来ないなら、その表示自体を止めることになる、という仕掛けであろう」と記事の執筆者は書いています。凄い話ですね~。

 まあ、国産、もっといえば顔が見える生産者に限れば全く問題無い話です。スーパーに並ぶような大手メーカーの商品からは本当にNON-GMOの表示が無くなる日が来るのかもしれませんが、逆にローカルに生きていくのが自然で健康的だ、と思う人が増えてくるきっかけの1つになれば良いな~と思います。

                          おかげさま農場・片岡