田んぼのお話

(産地の声)vol.1499                                  2021.6.30

 先週も書きましたが、田んぼは栄養成長期から生殖成長期に変わりつつあります。と言っても稲作りをしない人にはよく分からないと思いますからちょっと書きます。

 

 今頃の稲は、分けつが進み稲の葉が田んぼ一面に広がって、田んぼの地面が見えないほどに緑一面になっています。そうして茎も増え葉も増やして、さあ次は穂を出すぞ!と言う体制になってきた状態になってきた、と言うことです。

 早いものは茎の元に、小さな穂が見えます。1ミリか2ミリという小さな小さな穂のこどもです。ここらあたりから草むら状態であった稲が茎を伸ばし始めます。今度は立体的に成長します。茎が伸び空間を無駄なく利用できるようになり、草むらの混み合った状態から効率の良い姿に変身するのです。

 一枚一枚の葉の面積を合計すると田んぼの面積の5倍くらいになるそうです。光合成は葉っぱの面積が大きいほどいいわけですから、立体的になることで効率が上がることになります。稲もなかなか考えている?ようです。

 肥料が多すぎると葉の数が多くなりすぎて倒伏や病気になりやすいので、ほどほどでないといけません。反対に痩せ地だと茎が少なかったり穂が小さくなったりで収量が落ちてしまいます。そこは長年の経験でほどほどに生育調整をすることになります。

 また、研究者によると田んぼ1反(約1000平方メートル)で30度の夏日だと蒸散量は1日5トン位にもなるそうです。稲はその生育によって日に5トンの水を浄化しているとも言えます。雨の元にもなるのですが。

 話変わって昨日の農業新聞に<2020年産の米が4.50万トン余りそうだ>という記事が載っていました。そこで、食用ではなく飼料用にお米を作るように奨励してきた、というのです。

 私にはどうしても分からないことがあります。それは、お米が余ると言うけれど米国からは80万トンものお米を輸入していることが理解できないのです。それも余ろうが余るまいが、毎年買い続けているのです。

 そんなことを考えてもどうにもならないのですが、釈然としません。

 今日も田んぼに行き畝刈をしてきましたが、すくすくと育った稲を見ていると気持ちが和みます。人間界の思惑など関係なく休むことなく自らの務めを果たしている稲に敬服!感謝です。