時代の変化

(産地の声)vol.1485                                    2021.3.18

 時たま登場する片岡です。髙柳場長が「田んぼで疲れちゃったよ」との事で久々に代筆です。

 私は様々な農業体験教室を運営しながら一般の方と交流をしているのですが、最近、「時代が変わったな~」とつくづく思うのです。

 

 というのも10年ほど前は有機農業に関心を持っている人はごくわずかでした。例えば、髙柳場長とやっている有機農業や食と命の関係などを学ぶ「食と命の教室」に来る人は、どちらかというと「意識の高い人」と呼ばれている人達でした。そういった方々は「環境問題や食べ物の問題などを普段の生活の中ではなかなかしゃべれないんです。そんな事をしゃべれるこういった教室は有り難いです」といった感想が多かったのです。

 ところがここ数年、自然災害が立て続けに起きるようになりました。西日本豪雨などで家が流され、超大型台風が襲来し大停電が起き、昨年のコロナにより「これは本当に地球はおかしくなってしまったんではないか?今の生活を続けていて良いのか?」と思う人が多くなったと思うのです。実際、今では地球温暖化や食べ物の問題などを語る事がそれほど「変わった人」と思われない時代になったと感じます。

 食べ物についても、ちょっと前まではベジタリアンというと変わった人でしたが、今やヴィーガンも普通になってしまいました。もちろん、日本のメディアは肉ブームを煽っていますが、欧米の知識人の中では「肉食は地球温暖化を促進し自然破壊につながる」といった考えが普通です。あと2~3年で日本もそうなるんでしょうね。

 今の若い子達は環境問題を当たり前に考えていて、私の学生時代と大違いです。移住や就農希望者が増えていて過去にない流れを感じます。過去、何度も「農業ブーム」というのがありましたが、もうブームでは無く、ますますこの流れが加速していくことを感じます。

 日本の人口は毎年減っており一億総中流は終わって格差社会が広がっています。就労希望者の1/3が非正規雇用と言いますし、大学を出て大きな会社に入って正社員で、というモデルはとっくに崩れています。ますます貧しくなっていく日本では、経済的に恵まれている人がごく一部になっていく時代です。逆に言えば都会で会社に勤めるだけでなく、自然と共にお金は無くても豊かな暮らしを求める人が増えることは、自然の流れなのかもしれませんね。

 農村は高齢化と後継者不足で耕作放棄地が拡大していますが、孫が農業を継ぎたい、という事例も出てきています。新しい時代はもうそこにきていると感じます。

                          おかげさま農場・片岡弘充