生物季節観測

(産地の声)vol.1483                                     2021.3.3

 本回は急遽ゴーストライターAが、ウーフの歓迎会で久しぶりにブランデーを飲んでダウンした場長のピンチヒッターに入ることとなりました。不慣れな物書きですが、どうぞよろしくお願い致します。

 

 最近はどんどん日が延び、季節の変化が著しいですね。まだまだ霜が降りたり冷たい風が吹く中でも、野の草は少しずつ活気づいて、仏の座が日の光を浴びて薄赤紫の花をあちこちに咲かせています。ハウスのサニーレタス(終盤です)も小さくて心配していた小カブも大きくなっています。

 そんな中、今日はウーファさんの来訪と共に現代農業が届きました。いつも読んでいる訳ではないのに(汗)、その中に気になるエッセイを見つけました。生物季節観測の縮小という内容です。

 知らなかったことは、昭和28年から生物季節観測が行われており、それは全国58地点で植物34種目、動物23種が対象でした。桜の開花やモミジの紅葉、ウグイスや蝉の初鳴き等を職員が目視で観測し記録、気象庁に報告するものです。それらの観測資料は農業や環境保全に関わる人に広く使われ、農家にとっては品種の選択、作付けや収穫時期の判断に活用できる資料だったとのこと。

 気になったのは、人力で観測・記録し蓄積するという手堅い手法。IT主流の現代で忘れかけていた温かく何か心から信頼できる感覚、そして、地道なお仕事のおかげが私達の暮らしに繋がっていたんですね。

 ところが、気象庁は全般見直し(近年の環境変化に伴い、対象植物を確保すること、対象動物を見つけることが困難だからと言う理由)をし、今年1月1日より観測対象を減らし、動物観測は廃止、対象植物も6種9現象のみとなりました。筆者の古川武彦さんは今回の見直しで、これまでのデータの継続性が失われること、進行中の温暖化による動植物の生態系変化の監視が手薄になり、またそれは農業関係者にも大きな痛手になるのでは、と危惧しています。

 私が気になるのは、なんでもかんでも合理的業務縮小していいものか。観測する植物の中には栗、桑、シバ、シロツメクサ、動物には殿様蛙、ミンミンゼミ、モズ、アキアカネ、トカゲなど懐かしさも覚えるような日本の四季感覚と、日本人の情緒を育ててきてくれた財産とも思えるような選択肢、これをたってしまっていいのかと言う疑問です。幸い気象庁が市民に生物観測のノウハウを提供し、市民参加のナンチャラを推進していく方向を検討しているようで多少安心しました。

 が、これに限らず、浮ついた情報あふれる社会で、知らずに失われていくかも知れない、、日本の大事な部分を見逃さずに守っていきたいなと感じた今日でした。  GA