(産地の声)vol.1454 新しい生活様式 2020.7.22
おげさま農場の片岡です。高柳場長が忙しい時などにたまに登場します。今年は、というか今年もおかしな気候が続いています。私が東京から戻り農村を基盤に生活をし始めたのが10年前ですが、その頃から毎年「こんな年は初めてだ」という言葉を農家のみなさんから聞いてきました。
10年前は「夏にこんなに雨が降らない年は初めてだ」という言葉を良く聞きました。昔は3日晴れたら必ず夕立が来ていました。暑ければ水蒸気が上がって雲になり、雨を降らす、という当たり前の循環が起きていたのです。ただ、世界的には30年以上前からおかしな気候になり始め、「不都合な真実」という映画があったように、世界では「地球温暖化問題」が取り上げられていました。当時は「そんなの嘘だ」という学者も多かったのです。
ところが世界的に森林火災、大地の砂漠化、局所的集中豪雨、ヒマラヤや北極・南極の氷塊の融解などが多発し、10年ぐらい前には「地球温暖化」は世界的な課題として認知されました。
ただ、日本では地震以外の大規模災害はなかったためか、「今年は暑いな~」ぐらいで「この気候は異常だ」という人はほとんどいませんでした。
しかし年を追うごとに夏の干ばつから春の干ばつ、秋の長雨、暖冬とどんどん日本の気候もおかしくなり、ついに2年前の西日本豪雨、昨年の超大型台風で、日本人も「おかしいんじゃないか?」と気づく人が増えた気がします。
そして今年はコロナです。ここまで来ると「地球がおかしくなってしまった」という農家のみなさんが10年以上前から訴えていたことが、ようやく日本人全員の共通認識になった気がします。逆にいえば、ここまでの状態にならないと気づけなかった、というのもあると思いますが。
昨年は、地球環境サミットに向けてヨーロッパを中心に大規模なデモがありましたが、特にドイツでは子供達が学校をボイコットしたり、地球温暖化を促進する肉食を止めたり、大きな変化がありました。また、ヨーロッパ全体で温暖化ガスを出す飛行機に乗る事を「飛び恥」といって恥ずかしいという意識が広がりました。日本では小泉環境大臣の「セクシー発言」ぐらいしかメディアでは紹介されず、「環境後進国」というレッテルを貼られてしまいました。
今、コロナで「3密を避ける新しい生活様式」が提唱されていますが、本当は自然を破壊し後進国から食べ物やモノを買い叩いて無駄に廃棄する生活、地球を汚し温暖化を促進してきた今までの生活様式を変えることが必要なのではないでしょうか?子孫の事を考えながら自分の務めを果たそうと一所懸命に生きてきた、自然に感謝し自然と共に生きていた、かつての日本人の暮らしこそが、本当の「懐かしいけど新しい生活様式」だと思います。
おかげさま農場・片岡弘充