(産地の声)vol.1453 (その2) 2020.7.15
前回、次回に続くと書いてしまったので続きを書きます。
なぜ有機栽培なのか。人類は地球に存在しない物質を(重金属や化学物質など)作り出してしまった。それが地球の生態系を変え生物にとって取り返しのつかない環境(大地、水質、大気、海洋などの汚染)を作り出してしまう。
よって、近代農法と言われるモノカルチャー農法、化学物質に頼る農法は食物連鎖、物質循環の流れを阻害する要因となる。何よりも人間のなせる行為が核と同じく人間に制御できないことはすべきではない。
前回はそうしたことを書いたつもりです。そしてもう一つは、エネルギーの問題です。私たちは農に携わる者として食べ物を生産しています。40年前のことですが、ビニーハウスや温室と言った自然を制御する環境技術が推進されました。冬場のトマトの例として、生産されたトマトのエネルギーに対して使われたエネルギーを計算すると、なんと100倍のエネルギーが使われているというのです。
近代農業は70年代から急速に発達するのですが、お米にしてもそれ以前は0.7から0.8くらいの投下エネルギーで1のエネルギーが得られたけれど、逆転し始め1のエネルギを得るのに1.2倍から1.5倍のエネルギーが使われるようになったと言うことでした。現在どれくらいになるのか専門家の人に教えてほしいのですが、当時の私たちの考えは獲得エネルギーよりも投下エネルギーが多いと言うことはいずれ破綻するのではないか、ということでした。
私たち人間も生きているだけでエネルギーを消耗します。人間もその他の生き物も食べものがなければ死に至ります。自然の摂理の範囲ならばプラマイゼロで地球の大循環は続き環境は維持されます。
ですが、太陽エネルギーに頼る地球の生き物が、降り注ぐエネルギー以上にエネルギーを使ってしまったら地球環境のバランスが壊れます。そうならないためには天からの恵みに感謝し、自然の摂理に背かない農法の有り様をしていかねばならないのでは、といった考えでした。
今思うと、単に農の世界だけでなく人間の生きようそのものに同じことが言えると思います。未だ続く異常気象の原因はCO2の削減などではなく、人間の飽くなき欲望のために使いすぎているエネルギー消費が問題のような気がします。
世迷い言でしょうか。紙面の都合上ここまでです。
おかげさま農場・高柳功