農業は実業

(産地の声)vol.1392                        2019.4.24

 この季節は、植え付けや種まきなどの一年で一番忙しい季節です。地球の動きに合わせて仕事をするわけですから致し方ありません。

 

 太陽系の一惑星である地球は、太陽の周りを時速10万キロという早さで回っています。地球自体も赤道付近は時速千キロ以上でまわっているのですが、私達はそれを自覚できません。

 地球が傾いていることによって太陽の当たる位置が違って春夏秋冬という季節があるのです、と地球物理学者が言ってましたが、これは凄いことです。もし地球の地軸が傾いていなかったら、季節はなくなるわけです。

 そういう季節の変化があってこそ、秋の実りへと誘ってくれることに感謝!です。

 私達農家は、人間の都合より、作付けする作物の都合に合わせて仕事をします。田んぼの季節は、稲の成長に合わせて耕作、田植えとなるのですから、5月の連休なんて全く縁がありません。(何度も書いていますが)

 食べてくれる人に分かってほしいのは、そういう自然のサイクルがあって私達人間の食べ物が得られる、と言うことです。農家の働きもありますが、天の恵があって人間の生命がある事です。

 自然の営みはがあって私達人間がある。その逆はないのです。そういうことを意識しなくとも生きられる時代と思っていたら大間違いです。自分はやらないでも、誰かが作っているから食べられる=命があることを忘れないで欲しいと思うのです。

 人類の歴史から学ぶことは、いかに食を得るために努力してきたのか。その豊かさを争うために戦争までしてきた歴史があります。日本中の何処に行っても田や畑があります。自然と人の暮らしの調和した景観はかけがいのないものだと思うのですが、今この国は、自然を守る農業後継者が少なくなって、あちこちに荒れ地が広がっています。

 その昔、仕事には実業と虚業がある。農業は実業だ。商業や公務員などサービス業と言われる仕事は何も生み出さない。虚業と言うけれどそれが悪いことではなくて、実があって初めて商業なども成り立つのだ、と。

 そんなことを思い出しながらの田んぼの代掻き作業の一日でした。

                      おかげさま農場・高柳功