本末転倒

(産地の声)vol.1339                    2018.4.11

 先週の続きのような話ですが、今晩はカナダのシュマイザーさんのDVD鑑賞しました。とても理不尽な話です。

 シュマイザーさんはカナダで菜種=キャノーラ油を栽培していた農家です。シュマイザーさんの畑に遺伝子組み換えの種が紛れ込みモンサント社から訴えられたことが事の始まりです。

 

 近所の農家の菜種がこぼれてシュマイザーさんの畑に紛れ込んだのでシュマイザーさんからすれば畑を汚染されたのはこちらの方だ、と訴えたのですが反対に、モンサント社は特許権を立てに特許権侵害だ、として20万ドルの損害賠償を求めたのでした。

 通念上は、畑の主の方が被害者と思われるのに、遺伝子組み換えの種がどのように入ったかは問題ではなく、作ってることが権利侵害(特許権の)だと裁判になったのです。私達の常識からすれば本末転倒です。

 種子は地球の産物です。それに特許権を与えて、しかも勝手にその遺伝子を紛れ込ませておいて、それはないと思うのです。

 さらに遺伝子組み換えでターミネーターテクノロジーとやらで稔りの最後の段階で芽を出さないようにする。種を蒔いても芽がでないようにして、作るなら種苗会社から買わない訳にはいかない、そんな技術まで開発しています。

 研修できている娘さん達と観たのですが、なんとも不気味な世の中になってきたようです。日本は今のところ遺伝子組み換えは認められていませんが、各地で試験栽培が始まっています。

 先週も少し書きましたが、今年の4月には種子法が廃止され、民間に委ねて(種苗会社に)任せる方向に舵を切っています。そして農家が種を取り翌年に使うことも禁止するなんていう話もあります。未来がとても心配になります。

 遺伝子組み換え作物を私は食べたくありませんが、既に日本国民食べている食用油の大半は遺伝子組み換えの油と言っていいでしょう。とは言ってもほとんどの人達はそれを知らないで食べてしまっているようです。

 どうなるか、壮大な人体実験をしているようなものです。TVでは医療費の増大(40兆円を越えた)に対して保険料の値上げや初診料の引き上げなど対策を労しているようですがこれも本末転倒という気がしてなりません。行く末が私達の健康=命、子孫に関わることなのです。

                      おかげさま農場・高柳功