冬は温野菜です

(産地の声)vol.1322     <冬は温野菜です>    2017.12.20

 何規格だったか忘れましたが(確か横文字だったような)、TVでオリンピックの食材が足らなくなるという報道がありました。何でもロンドンオリンピックの時から始まったと言うのですが、イギリスでは狂牛病騒ぎなどがあって、安全な安心できる食材のために規格を作り、それに合致する食材を、と言うことらしい。

 

 

 2020年にこの国でもオリンピックが開催されるので規格にあった食材を求めていて、都内の農家に協力を呼びかけての取材の様子でしたが、協力体制が中々進まないようでした。

 それにしても何でオリンピックだからと騒ぐのでしょうか。だとすると国民が今現在食べている食材は何なのだ、と素朴な疑問がわきます。問題なしとして流通・消費しているのではないか、と思うのです。

 今の日本人が食べているものではいけないというのならそれこそ現状を見直さなければならないでしょう。世界から集まる人には良いものを提供して今の日本人はほっておかれるのでしょうか。などと考えてしまうのです。

 有機栽培も認証制度の中で少しづつですが伸びてきていますが、それも同じく「安心、安全」をうたっていることが多いようです。だとすれば、そうでないものは安心安全でないものと言うことにならないか、などと考えることも出来ます。

 世界から集まる人のために、ちゃんとした食べ物を提供しようという趣旨は良く理解できます。が、解釈の使用によってはダブルスタンダードと言うことにならないか、と思うのです。食べ物はオリンピックで集まる世界中の人であろうと日本人であろうと等しく人間の命・健康の問題です。

 欧州の格言に、「汝とは食べたものそのものである」と言うことがあります。食べ物を大事にすることは大切ですが、その成り行きには妙に引っかかります。TVでは都内の農家の「その認定には数十万円かかり、オリンピックが終わったその後はどうなるのか」という疑問に答えられないままでした。

 

 日本海側や北の地方は大雪に見舞われていますが、当地も冷え込みが厳しく零下3度.4度と大地が凍り付いています。元気だった大根の葉も寒さでしおれ始めています。一方、ほうれん草や小松菜などはこの寒で身が引き締まり美味しさが増しています。白菜が不作で、大根や里芋の煮込みを毎日フウフウ言って食べていますが、これが美味しいです。冬は温野菜の季節です。

                       おかげさま農場・高柳功