(産地の声)vol.1258 <稲刈りが始まります> 2016.9.7
台風が去りそろそろ稲刈りを始めようと機械の整備を始めたら台風13号がこちらに向かっています。明日は熱帯低気圧に変わるというのですが、一日中雨の予報です。中々予定通りにはいかないものです。
稲刈りに必要な機械は、刈り取りのコンバイン、もみを乾燥する乾燥機、籾を米にするもみすり機、お米の中の石を取り除く石取り機、選別して計量するコメットという機械と続きます。その流れで玄米になります。さらに玄米を貯蔵する米蔵の掃除など稲刈りと呼ぶ一連の作業体制なのです。売り上げから見た稲作は経営とは呼べないほど採算が悪く、仲間曰く「先祖代々の田んぼの維持のためでボランティアのようなものだな」などと語り合っています。
ここ4.50年を振り返ると農政に振り回されたお米つくりだった感があります。我が家は、田んぼだけでなく乳牛も飼い、野菜つくりもするその昔、複合経営と呼ばれた経営だったのですが、田んぼ地帯の仲間は規模拡大で乗り切ろうとしていました。
その仲間は稲作主体の経営で3町歩の田んぼから始め、当時としては大きい規模だったのですが、さらに2町歩を買い足して5町歩の経営にするため、国の融資を利用しました。そしたら2年もしないうちに減反政策が始まりました。
その彼に会う機会があり「減反やっているのか?」と聞くと「やってない!」「2町歩を買い足して2千万の借金が出来てしまった」「行政の減反割りで4割減というとちょうど買い足した田んぼの面積になるんだ。」「何のために規模拡大したのか分からなくなってしまう。しかもその借金を誰が返してくれるんだ!」と怒り心頭でした。(30年くらい前の話です)
5、6年で農家への国の目標は変わるのです。3町歩が5町歩なら経営できると言われ、達成したと思ったら今度は8町歩あればとなり、次は10町歩あればと言われ、次は15町歩あればと切りのない目標を立てられて、今はTPP対策にと、国際競争に勝てる農業をやれ!と変化し続けています。
たぶんTPPとなれば日本の農村は壊滅的なものとなるでしょう。既にその兆候はあちこちに現れています。農村地帯立ちゆかなくなるということは、地方の景観、美しいと言われた日本の自然も荒廃へと向かうことになります。
歴史と伝統に誇りを持ちたいと思ってきましたが、そうした思いも無残に崩れ去りそうです。仲間も10年後の村はどうなっているのか見通しは立たない、といいます。どうなるのでしょう。 おかげさま農場・高柳功
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