土の世界も腸の世界も同じ

(産地の声)vol.1236-2   <土の世界も腸の世界も同じ>   2016.4.7

 おかげさま農場の片岡です。成田は桜が満開です。桜並木を通るたびに「あ~、美しいな~」と

1日に何度もつぶやいています。これ程「美しい」という言葉を使うのは1年でも今の時期だけです。

  さて、高柳場長と毎月開催している「食と命の教室」では、3月は毎回「土」について

勉強をしています。その際に「根の国」というビデオをみんなで観ています。土の世界を

顕微鏡で覗いてみた映像なのですが、枯れ葉や根の死骸などを食べる虫が集まり、その

虫を捕食するムカデなども集まり、そういった虫の死骸を分解するバクテリアが集まり

…と見事な生態系が出来ているのです。

 1gの土に1億以上の微生物が住んでいて、まるで小宇宙のような生態系があるのです。

そして、植物の根は微生物が分泌した無数のタンパク質やアミノ酸を根毛から吸収して

育つのです。

 毎年、このビデオを見て思うのは、「畑も人間の胃腸も同じなんだな~」ということ

です。戦後、植物は最終的に無機物を吸収するという理論が農業の世界に広がり、化学

農業が推進されていきました。人間が住む世界でも「栄養学」が広がりました。

 日本では戦後「食べものはエネルギーになるカロリーの源となる」といった考え方が

基本になり、その上で体を作るタンパク質と骨を作るカルシウムなどが重要といった

考えが広がっていきました。農業の世界で化学農業が広がったのと全く同じ流れです。

 一方で、最近「腸内フローラ」という言葉が広がり始めました。腸の中にいる100兆個

を超える微生物群の状態によって、その人の免疫力や体調が変わる、というものです。

 結局は、畑も人間の胃腸も同様に生態系があり、最終的には微生物が出す最終分泌物が

植物や人間の栄養になっているのであって、決して、食品分析表の栄養素で生きている

のではない、ということがわかります。

 例えば、飲む点滴と言われている甘酒は、様々な微生物が排出した分泌物の集合体で

天然のアミノ酸など全部で何百種類も含まれているといわれますが、これほどのものは

人工的には作れません。「微生物の力のおかげ」ですよね。腸の中には1,7kgぐらいの

微生物が住んでいて、うんちも微生物の死骸が多い、ということですからね。

 有機農業の世界、つまり「根の国」も人間の「腸の国」も同じ。無数の微生物が住む

世界なんですよね。

                       おかげさま農場・片岡弘充