来るものは拒まず

(産地の声)vol.1229      <来るものは拒まず>     2016.2.17

  寒さが一時春めいた日がありましたが再び寒がぶり返しました。庭に駐めておいた車の窓にはびっしりと霜が張り付きました。出かけようと思っても前も後ろも見えません。風呂場の残り湯を持ってかけて霜退治しました。

  ここのところお客さんが多くやるべき仕事が半分くらいしか出来ません。我が家は伝統的に「来るものは拒まず」です。お客さんが来ればまずは、お茶、です。 午前中は、出荷のサニーレタスの収穫荷作りをしてお茶。オーストリアのウィーンから来た学生さんのカップルです。

 日本人はお茶でイギリス人は紅茶です。ドイツ人は何を飲む?ビールか?と聞くと、手を振って違う違うと大笑いです。コーヒーを飲むのではなく水か牛乳かな、という。

 どこの国でも食文化があるように飲料文化?があるのではないかと思って聞いたのですが、あまり我が家のようにお茶の時間といった文化は少ないように感じます。

 午後は、今月から始まる「食と命の教室」の打ち合わせです。今年で4年目になりますが10名程度で少しの農作業や味噌や納豆作りなどをして、食や自然のことを語り合う時間です。

 打ち合わせが終わらないうちに、となり部落の知り合いが来て、田んぼをつくってほしい、直してほしいと来たのです。その田んぼはトラクターが深みにはまり、コンバインも深みにはまり、やりようがないとやめてしまった田んぼです。

 水が湧いて他の田んぼが乾いているのにそこだけは水が引かず、だばだばの状態なのです。頼まれても引き受けられないようなどうしようもない田んぼですので内心「困ったなあ」と思っていたのですが、地主さんの方ですべて直すのでやってほしい、先祖からの田んぼだから荒らしておくには忍びない、と言うのです。何度も来るので断るに断れないのです。

 福島から避難してきたTさんが大きなユンボを持っているのでその田んぼを見てもらいました。Tさんが出来ないと言ってくれたら断れます。そんな下心もあったのですが、3人で田んぼを見に行ったら、Tさんが「周囲を深く掘れば乾くんじゃない!」となったものですからとなり村の知り合いさんは、「じゃあ頼むよ!」となって手を引けない状態になってしまいました。

 「来るものは拒まず」という伝統もこなしてゆくのもなかなか、です。

                       おかげさま農場・高柳功