(産地の声)vol.1227 <農村に確かなものを求める時代> 2016.2.4
おかげさま農場の片岡です。高柳場長から突如「今回は片岡君が書いてよ」と頼
まれ、今回、産地の声を書かせて頂くことになりました。
私はおかげさま農場のホームページの作成・更新や、農場の現場の声を届ける
「おかげさま通信」などを書いたりしています。また、高柳場長とは4年前から
「食と命の教室」という、有機農業を実践しながら、田んぼ、麹作り、稲ワラ納豆
作りなど農村の暮らしを学んだり、高柳場長から「食べ物と命の関係」「日本人の
昔から続いてきた生活文化」など色々なお話を聞きながら、参加者同士でも意見を
出しながら学び合う教室を開催しています。
先週、その「食と命の教室」の過去の参加者を集めた同窓会を開いたのですが
久々に集まった皆さんから「ここに来るまでは頭がくらくらして体が重かったのが
ここに来たら体が楽になって元気になっちゃいました」とか「私にはこういった
逃げ場があるけど、一般的な世の中の人にはこういった逃げ場が無い人もいるん
ですよね」といったようなお話を頂きました。みなさん、一様に「ここに来ると
心も体もくつろぐんです」と言います。
今はお金や会社が優先され、個人の生き方や家族と共に過ごす時間などを後回しに
しなくてはいけないと思い込まされている時代ですが、その傾向はますます強く
なっていると感じます。だからこそ、大地に根ざし、食べるものと住む場所があり
先祖から続く家族や地域の歴史の中で自分の立ち位置を把握しながら、日々手仕事を
して暮らしている「確かな」農家の生き方や農村に「お金や会社中心ではない生き方」
を求めている人が増えているのだと思います。
かくいう私も、大学卒業後、大都会東京で10年以上、毎日終電まで働く生活を
していましたが、その時はコンビニ弁当や外食の日々で、食べ物と体のことなど
ましてや食べ物を生産する農家のみなさんのことや大地の事など気にもしません
でした。しかし、成田に戻り、農家のみなさんと一緒に色々な仕事をしていく中で
お金で済ませていたことを1つ1つ自分の手仕事に切り替えていくことで、自分で
暮らしを作っていく充実感、安心感を覚えるようになりました。
ちょっと前までは、日本中の誰もが行っていた「手作りの生活」がまだかろうじて
残っている農村の価値は、これからますます高まっていくと思います。少し前までの
日本人の暮らしを守っている方々がまだ残っているうちに、多くの方々に農村に足を
運んでもらいたいと思っています。
おかげさま農場・片岡弘充