時、人を待たず

(産地の声)vol.1226       <時、人を待たず>     2016.1.27

 1月も後数日を残すのみとなってしまいました。年が明けたと思ったらもう一月が過ぎようとしています。以前懇意にしている町内の住職さんが昔「時、人を待たず」という本を著し、その本をいただいたことを思い出します。

 どんな人であろうが時間を止めることは出来ません。仏教は生老病死という事を教えてくれます。人間の死亡率は100%です。犬や猫そして野生の動物から植物まですべての生き物は時間の違いこそあれ同じ道をたどります。そして再び新しい命が生まれます。

 そんな話になるのは、先週久しぶりのクラス会を思い出すからです。中学校を卒業して50年の時が経ち、42名のうち3人が他界しました。前回が35年前ですから長い時間が経っています。

 時間をどう過ごすかはその人次第ですが、時間に追われて、ではなくてその時間を心豊かに過ごしたいものです。畑を見ると大根や菜っ葉など寒さに耐えられなくて枯れ始めたものも目立ちますが、一方この寒さの中で麦での緑は力強さを感じます。山々の木々も常用樹はあまり変わりませんが、落葉樹はその枯れ枝の先にふっくらと新芽の兆しを見せています。植物の方が人間より、生き物としてのその努めををちゃんとわかっているようです。

 自分自身をみるとそんな長い時を想ったり感傷にふけっているわけにはいかないようです。

 そろそろ人参やジャガイモなど植え付け、種まきの準備が始まります。畑に堆肥をまいたり、種の準備、トンネルやマルチングと言った資材の点検準備など、けっこうな仕事があるのです。

 一方で、イベントや勉強会、そして3年前から始めた食と命の教室などの計画準備もあります。村の環境整備事業なども始まって、自分のことだけでなく地域のこともみんなで課題を解決しなければなりません。

 次の時代のために何をしなければならないか、などとけっこう田舎の人たちは考えているのです。時代を引き継ぎ引き渡しが出来るような生き方が出来ればそれに越したことはありません。

 出来ることをやるしかないのですが、先の見えない時代です。すでに山は荒れ放題になっていますが近年田んぼが荒れ始め、次は畑が荒れ始め、かって美しいと言われた日本の景観がこのままでは維持できない、と地方に住む人たちは感じています。                 おかげさま農場・高柳功