(産地の声)vol.1199 <続く長雨で> 2015.7.8
ここのところ雨続きで野菜が激減しています。農家と言えども天気には勝てませ
ん。全ての農産物は農家が作っていると言いますが、本当のところは自然の力で育
っています。
人間以外の太陽というエネルギー、大地という地球の造形物、そして命にとって
必要な水、呼吸に必要な空気、そして大気を循環させる風。宇宙と地球大自然の営
みがあってこそ私達の食があります。そうしたことを私達の先祖は自然の恵みと呼
び、同時にその自然の恵みに感謝しつつ歴史を刻んできたのだと思います。
日本人は、食事の前に「いただきます」といってご飯をいただいてきました。お
米さんの命をいただく。トマトさんの命をいただく。自然の恵みをいただいて私た
ちの命があります。
人間の命だけ、あるいは人間の都合だけの命があれば人間は生き続けられるかと
いうとそんなことはないでしょう。豊かな生態系、複雑な食物連鎖というまだまだ
解明されない生命活動の豊かさがあったればこそ私達人間が誕生し、生き延びてこ
られたのでしょう。
話がそれましたが現実は、雨が続くと太陽が顔を見せないので光合成ができませ
ん。一方高温の夏の季節なのに20度前後という初夏の気温による生育停滞にも
なります。そして降り続く雨のおかげで畑は水浸しになり、根が呼吸困難になり根
腐れが進行します。こういう環境は病気などを呼び込みます。
野菜を待っているお客さんには申し訳ないのですが、欠品続きになりそうです。
人為では解決できない天候です。いまTPPが進行しつつありますが、地球上に全
く気候の違う、社会的条件の違う、あるいは歴史的経緯の全く違いなど全く無視し
て均一の基準でグローバル化推進が金科玉条のように宣伝していますが、そんなこ
とが長い歴史の中で通用するのだろうかと思えてなりません。
孫悟空は5万里を一瞬のうちに飛んでみせるといったものの、行ったのはお釈迦
様の手のひらの中だった、という西遊記の一節のような社会情勢なのかも知れませ
ん。例えれば孫悟空という「何でもできる」という孫悟空に対しそんなものではな
いとたしなめるのが大地自然というお釈迦様。
戦争などもってのほか。天下泰平、五穀豊穣、家内安全を祈願してきた我が村の
鎮守様の方がはるかに真理を説いています。今は、ひたすら太陽が出て天候回復を
祈っています。古事記の岩戸に隠れた天照皇大神を待つ心境です。
おかげさま農場・高柳
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